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終
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しま
ふりがな文庫
“
終
(
しま
)” の例文
痛い所へさわられた様な気がしたんだね——君の話を中途で
止
(
や
)
めさせて
終
(
しま
)
ったが、今、おれは、その同じ疑いに悩まされているのだ。
疑惑
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
父も母も驚いて、大騒ぎして、薬をのんで、はきだして
終
(
しま
)
えと言って、すすめたが、むっつりした兵さんは、やっぱり我慢していた。
あまり者
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
彼は遂にやむをえず、かたまりの
外
(
そと
)
へ出て、後ろの方に立って人の事で心配しているうちに、
博奕
(
ばくち
)
はずんずん進行してお
終
(
しま
)
いになる。
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
音信
(
たより
)
も出来ないはずの音信が来て、初めから
終
(
しま
)
いまで自分を思ッてくれることが書いてあッて、必ずお前を迎えるようにするからと
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
暗いところで小父の
脱棄
(
ぬぎす
)
てを畳んでいながら、二人の言合いをおそろしくも浅ましくも思ったお庄は、
終
(
しま
)
いに突っ伏して笑い出した。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
降ると見ばの歌を聞いたとて毒を飼われて
終
(
しま
)
った後に何になろう。
且
(
かつ
)
其歌も講釈師が示しそうな歌で、利休が示しそうな歌ではない。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
一々事実にくっ付けて一分一厘
隙
(
すき
)
のないようにキチキチとキメツケて行く苦しさに、いつも書きかけては
屁古垂
(
へこた
)
れさせられて
終
(
しま
)
います。
涙香・ポー・それから
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
表へ出れば、表門からであろうが、勝手口からであろうが、待ち構えている渡辺刑事に直ぐ見つかって
終
(
しま
)
う。そう
周章
(
あわ
)
てるに及ばない。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
思いの
丈
(
たけ
)
を書き綴って、
人伝
(
ひとづ
)
てに送っても返事が来ず、
到頭
(
とうとう
)
お
終
(
しま
)
いには、多与里の姿を見ただけでもうるさそうに顔を反ける左京です。
奇談クラブ〔戦後版〕:02 左京の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
是
(
これ
)
等が黄色な
灯
(
ひ
)
で
照
(
てら
)
されて居るのを私は云ひ知れない不安と恐怖の目で見て居るのであつた。
終
(
しま
)
ひには両手で顔を覆ふてしまつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
全戸皆がこんな掘立小屋で、何時まで経つても或ひは藁葺だとか瓦葺だとか、家らしい家にならないし、全く嫌になつて
終
(
しま
)
つたんですな。
私有農場から共産農団へ
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
「ウン。——」長造は、言おうか言うまいかと、
鳥渡
(
ちょっと
)
考えたのち「こう世間が不景気で
萎
(
しな
)
びちゃっちゃあ、何もかもお
終
(
しま
)
いだナ」
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
元来がそう云う情ない依頼をあえてするくらいですから曲折どころではない、
真直
(
まっすぐ
)
に行き当ってピタリと
終
(
しま
)
いになるべき演説であります。
現代日本の開化
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
雛妓
(
おしゃく
)
の黄色い声が聞えたり、踊る姿が
磨硝子
(
すりガラス
)
を
透
(
とお
)
して映ったりした。とうとうお
終
(
しま
)
いには雛妓が合宿へ遊びに来るようになった。
競漕
(新字新仮名)
/
久米正雄
(著)
いがみ合っている仲だとすると絶えず姿を見ているだけ憎みも怨みも益々溜まって、不和が一層不和になり、
終
(
しま
)
いの果てには
衝合
(
ぶつか
)
り合う。
死の復讐
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
俳句は客観写生に始まり、中頃は主観との交錯が色々あって、それからまた
終
(
しま
)
いには客観描写に戻るという順序を履むのである。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
「おくみさん、旦那は今晩は
終
(
しま
)
ひごろの電車でなくては帰られないでせうから、もう先にお
寝
(
やす
)
みなさいな。今日はあなたもお
疲
(
くたぶ
)
れだし。」
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
「漣もお伽噺ばかり書いてるようでは
最
(
も
)
うお
終
(
しま
)
いです、その内には必ず本統の小説を書きます」と、或時私に語った事があった。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
あ「いゝえお
母
(
っか
)
さんは今日は
五度
(
いつたび
)
御膳を
食
(
あが
)
って、
終
(
しま
)
いにはお鉢の中へ手を
突込
(
つッこ
)
んで
食
(
あが
)
って、
仕損
(
しそこ
)
ないを三度してお
襁褓
(
しめ
)
を洗った」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その次が
留
(
と
)
めの肉といって一番
終
(
しま
)
いにロース物が出るかあるいはサラダが出る場合ですからロースポーク即ち豚のロースに致しましょう。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
自分は——と言い出すにきまっているから、どうせあとで知れることではあるが、今は何とかこのまま押しつけて
終
(
しま
)
わなければならない。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
短
(
みじか
)
い
冬
(
ふゆ
)
の
日
(
ひ
)
はもう
落
(
お
)
ちかけて
黄色
(
きいろ
)
な
光
(
ひかり
)
を
放射
(
はうしや
)
しつゝ
目叩
(
またゝ
)
いた。さうして
西風
(
にしかぜ
)
はどうかするとぱつたり
止
(
や
)
んで
終
(
しま
)
つたかと
思
(
おも
)
ふ
程
(
ほど
)
靜
(
しづ
)
かになつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
額安
(
かくやす
)
に、手取早く味覚の満足を
購
(
か
)
ふといつた風になり勝なので、感覚の
敏
(
さと
)
さが
段々
(
だん/″\
)
と
弛
(
ゆる
)
んで、
終
(
しま
)
ひには
痺
(
しび
)
れかゝつて来るのではあるまいか。
茸の香
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「君の様にそう頭から嬉しがって
終
(
しま
)
えば何んでも面白くなるもんだが、矢代君粽の趣味など嬉しがるのは、要するに時代おくれじゃないか」
浜菊
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
船長
(
キャプテン
)
の前で一等運転士の作った
出鱈目
(
でたらめ
)
の契約書に
署名
(
サイン
)
する時、何ということなしに為吉はシンタロ・サカモトと書いて
終
(
しま
)
った。
上海された男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
ねえ、私のお話を半分きりにして置くといふのは、それをお
終
(
しま
)
ひまでする爲めに朝食の
卓子
(
テエブル
)
に出て參りますといふ保證みたいなものでせう。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
おさやんは町の裁縫師匠の処へ
縫物子
(
ぬひものこ
)
になつて行くことになりましたから二人は
終
(
しま
)
ひまで一所の学校へは通へませんでした。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
『
願
(
ねがは
)
くは
陛下
(
へいか
)
よ』と
云
(
い
)
つて
軍人
(
ネーブ
)
は、『
私
(
わたし
)
が
書
(
か
)
いたのでは
御座
(
ござ
)
いません、その
證據
(
しようこ
)
には、
終
(
しま
)
ひに
名
(
な
)
も
何
(
なに
)
も
書
(
か
)
いて
御座
(
ござ
)
いません』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
純之進は
無言
(
だま
)
ったまま、娘に構わずに寝て
終
(
しま
)
った。娘はまめまめしく布団の
裾
(
すそ
)
を
叩
(
たた
)
きなどしたが、純之進から言葉が無いので、手持なく去った。
丹那山の怪
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
『英語を交ぜて書いたのは面白いぢやありませんか、初めのマイデヤサーだけは私にも解るが、
終
(
しま
)
ひの文句は何といふ意味です? 甲田さん。』
葉書
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
そして
終
(
しま
)
いには、彼等が内地でそうされたと同じように「小作人」にされてしまっていた。そうなって百姓は始めて気付いた。——「
失敗
(
しま
)
った!」
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
と一つ
頷
(
うなず
)
くと、もうそれで診察はお
終
(
しま
)
いだった。もちろん尾田自身でも自ら癩に相違ないとは思っていたのであるが
いのちの初夜
(新字新仮名)
/
北条民雄
(著)
彼
(
かれ
)
は
起上
(
おきあが
)
つて
聲限
(
こゑかぎ
)
りに
※
(
さけ
)
び、
而
(
さう
)
して
此
(
こゝ
)
より
拔出
(
ぬけい
)
でて、ニキタを
眞先
(
まつさき
)
に、ハヾトフ、
會計
(
くわいけい
)
、
代診
(
だいしん
)
を
鏖殺
(
みなごろし
)
にして、
自分
(
じぶん
)
も
續
(
つゞ
)
いて
自殺
(
じさつ
)
して
終
(
しま
)
はうと
思
(
おも
)
ふた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
衣食のことよりも更に自分を動かしたのは折角これまでに
計営
(
けいえい
)
して校舎の改築も美々しく落成するものを
捨
(
すて
)
て
終
(
しま
)
うは
如何
(
いか
)
にも残念に感じたことである。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
まだ出発
間際
(
まぎわ
)
までにはいくらかの時間があった。かねて岸本はこの都を去る前に、一番
終
(
しま
)
いにもう一度見て行きたいと思うほど好きな
薔薇園
(
ばらえん
)
があった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
その人が
労
(
つか
)
れてしまうとまた他の人を引っぱりだしてやらせる。皆が嫌がると
終
(
しま
)
いには一人で、オフィリヤでもハムレットでも墓掘りでもやってしまう。
松井須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
何
(
ど
)
うです、一緒に来ませんか、森でナトゥール・テヤーテルがあるんで、これから
終
(
しま
)
いの幕を撮しにゆくんです。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
見物がいくばくとも数知れず出たのでしたから、ちょっと見られぬ有様でして、
終
(
しま
)
いには柳橋の芸者が、
乙姫
(
おとひめ
)
になってこの水神祭に出るという騒ぎでした。
江戸か東京か
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
そんな人達ならば何とか口を利くでしょうが、初めから
終
(
しま
)
いまで一度も口を利いたこともないので、座敷のうちは気味の悪いほどにしんとしているんです。
半七捕物帳:09 春の雪解
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
トルストイ、ドストイエフスキーに比して、更に Dawn をメレジコウスキーから期待されたゴオルキイも、ねつから行くところまで行かずに
終
(
しま
)
つた。
小説新論
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
些事とは云ふものの、それは矢張り、充分に、彼女の考へを直ぐに
擾
(
か
)
き乱して
終
(
しま
)
ふだけの可能力は供へてゐた。
惑ひ
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
その人の物語を
終
(
しま
)
いまで聞いたものは立ちどころに神隠しにかかってしまうなどと云う噂もあって、都の人達は顔さえ見るのも恐しがっていたようでした。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
これは
終
(
しま
)
いがまずかったが、もっと高尚な、巧妙な方法で大奥を動かして、権勢を握った坊主がいくらもある。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
今日の二勇士の
首途
(
かどで
)
を見んと、四方から
雪崩
(
なだれ
)
のごとく押しよせて、すでにその日の九時頃には、さしもに広き公園も、これらの人々を持って埋まって
終
(
しま
)
った。
月世界競争探検
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
私の腹を見抜いた本屋は
終
(
しま
)
いまでうんと云わないのである。私はよけいに腹を立て、正札通りの金を投げつけるように置き、「問答集」を抱えて飛び出した。
指導物語:或る国鉄機関士の述懐
(新字新仮名)
/
上田広
(著)
彼は二三度まぶし
相
(
そう
)
に、またたきしたがすぐ顔をふせて
終
(
しま
)
った。暗い影がその赤黒い顔をさっと走り通った。
雪
(新字新仮名)
/
楠田匡介
(著)
私はこの本のお
終
(
しま
)
ひのところで、君達に良寛さんの偉いところが、わかつたかどうか、きくつもりである。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
佐伯氏は、つまずいてはいくどもやり直しながら、
終
(
しま
)
いまで吹きおえると、蘆の中へそっと
木笛
(
フリュート
)
を置いた。
キャラコさん:03 蘆と木笛
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
根吉 おかみさん、もし辰三郎が帰ってきたら、こう成れば仕方がねえから、覚悟して
終
(
しま
)
えというがいい。
一本刀土俵入 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
日本料理店へ行くと、はなから
終
(
しま
)
いまで魚ばかりという家がある。それがみんな生臭いか水っぽいかだ。
猫料理
(新字新仮名)
/
村松梢風
(著)
終
常用漢字
小3
部首:⽷
11画
“終”を含む語句
始終
終夜
終日
臨終
終局
最終
終焉
終始
終了
始中終
終末
終宵
終幕
命終
末始終
終生
初中終
終身
終極
一部始終
...