しま)” の例文
新字:
にがい/\くすりでしたが、おなかいたときなぞにそれをむとすぐなほりました。おくすりはあんなたかやまつちなかにもしまつてあるのですね。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ピータ なんぢゃ、けんしまうて洒落しゃれけ? よし! すれば、名劍めいけんしまうて名洒落めいじゃれ打挫うちひしいでくれう。さ、をとこらしう試合しあうてい。
かくしてくにも、なんなかも、どんなはこ安心あんしんならず……じやうをさせば、此處こゝ大事だいじしまつてあると吹聽ふいちやうするも同一おなじります。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そこで敵の將軍はその詐りを信じて弓をはずし兵器をしまいました。その時に頭髮の中から豫備の弓弦を取り出して、更に張つて追い撃ちました。
もちは四かく庖丁はうちやうれるとぐに勘次かんじ自分じぶん枕元まくらもとをけしまつて無斷むだんにはおつぎにさへすことを許容ゆるさないのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
あいちやんは脚下あしもと生物いきものころすのをおそれて其甕そのかめはふさうとはせず、其處そことほりがけに蠅帳はへちやうひとつにれをしまひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
そりや無論むろん道具よ。女に道具以上の價値かちがあツてたまるものか。だがさ、早い話が、お前は大事な着物を虫干むしぼしにして樟腦しやうなうまで入れてしまツて置くだらう。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
晝のうちはあんなにほか/\とあたゝかくしてゐながら、なんとなくたもとをふくかぜがうそさむく、去年きよねんのシヨールのしま場所ばしよなぞをかんがへさせられたりしました。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
しまつとくつてもう斯うなつたら反古だわ。塀和さんなんかこれからだけれど、私達はもうおしまひですわ」
俳諧師 (旧字旧仮名) / 高浜虚子(著)
あの日はまた穀倉の暗い二階の隅に幕を張り薄青い幻燈の雪をうつしては、長持のなかにしまつてある祭の山車だしの、金の薄い垂尾たりををいくつとなく下げた、鳳凰のはね
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
しかしバーンズは、直ぐに教室を出て、本をしまつてある小さい奧の室に入ると、一方の端がゆはへつけてある一たばの小枝を持つて半分もたないうちに戻つて來た。
木につたのを盜んで來るのか、何處かの家にしまつてあるのをさらつて來るのか、ハツキリとは分らないが、どうしても正しい品ではないと思ふと、母は今まで喰べた美味おいしい御所柿を
石川五右衛門の生立 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
幅物をしまひ込むには打つてつけの日和ひよりぢや、執事の了海に言ひつけると、書院に掛けてあつた王若水の唐子の大幅が無いといふのぢや、——それから大變な騷ぎになつて、寺中を搜し廻る。
そうして主人の居間へ行くと、袋戸棚をそっと開け大切そうにしまい込んだ。
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
彼等は餘分の顏をどうするかしら? 彼等はそれ等をしまつて置かう。
貴婦人は其一枚の切符を丁寧に四つに疊んで、紙入の中にしまつた。
我が最近の興味 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
かれ與吉よきちにさへしろくすりしんで醫者いしやからもらつたまゝしまつていたのであつた。卯平うへい凝然ぢつとして勘次かんじまゝまかせた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ところで、夫人ふじんむかへたあとを、そのまゝ押入おしいれしまつていたのが、おもひがけず、とほからず、紅葉先生こうえふせんせいれう用立ようだつた。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
フェアファックス夫人はこの家にしまつてある樣々の肩掛や衣裳や窓掛等の事を話す爲めにばれた。
乙樂人 もし/\、もう加減かげんその鈍劍なまくらしまはっしゃれ、駄洒落だしゃれ最早もうぬきにさっしゃれ。
「そんなにして了ふのは惜しいぢやありませんか。しまつといたらいゝでせう」
俳諧師 (旧字旧仮名) / 高浜虚子(著)
しまうて、どうやら酒宴さかもりが——
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
えゝ、おつうことれてつて、みなみくなあいたやうだが、をけえたまゝふたしたつきりしまつてくから、わしやどのつくれえあるもんだかもしねえが
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
その後でなめらかな象牙紙ざうげがみを取れ——お前は、一枚、圖畫箱の中にしまつて持つてゐる。
またなんとか可恐おそろししまでね、ひとぬ、と家屬かぞくのものが、くび大事だいじしまつて、他人たにんくびきながらつて、死人しにんくび繼合つぎあはせて、それうづめると習慣ならはしがあつて、工面くめんのいゝのは
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)