“了:しま” の例文
“了:しま”を含む作品の著者(上位)作品数
泉鏡花26
江戸川乱歩24
野村胡堂23
国枝史郎22
国木田独歩13
“了:しま”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > 演劇 > 大衆演芸21.0%
芸術・美術 > スポーツ・体育 > 戸外レクリエーション16.2%
文学 > 日本文学 > 記録 手記 ルポルタージュ11.8%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
私は顔一杯に弱々しい微笑をたたへて、なじられでもしたやうな、兄の強い口調をはぐらかしてしまはうと思つてゐた。
イボタの虫 (新字旧仮名) / 中戸川吉二(著)
どんなにわかりのわるものでも最後しまいにはおとなしくみみかたむけることになってしまいます。
わたくしはいつしかこの神様かみさまを『おじいさま』とお申上もうしあげるようになってしまいました。
が、たづさかへところものは、玄關げんくわんでニキタにみんなうばはれてしまふ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
火事だアッと怒鳴るか、怒鳴らぬに、蜂の巣を突ついた様な騒ぎで、近所合壁は一瞬時に、修羅のちまたと化してしまった。
越後獅子 (新字新仮名) / 羽志主水(著)
「そんなに悪戯いたずらをすると、山𤢖にってしまいますよ。」と、亡母なきははからおどされたことも有った。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
オヽくのかくなら少しお待ち、サ此飯櫃このおはちふたなか悉皆すつかりいておしまひ。
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
私、眠くなってしまったわ、だからアーメンと言ったら、貴下あなた怒っちゃったじゃアありませんか。ねエ朝田さん
恋を恋する人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
作「與助おやじなんざアヒョロ/\してるから川の中へほっぽり込んでしまうがそれも矢張やっぱり金づくだがね」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
——そういう非難と一緒に、防ごうにも防ぎきれぬ太い腕力がやって来て、なにもかもひと叩きに叩きつぶしてしまったのである。
山県有朋の靴 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
しまひには家養の習慣も忘れ、荒々しい野獣の本性ほんしやうに帰つて、行衛ゆくへが知れなくなつてしまつたのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
『君。もう一つ訊くがね。工場の裏で二人に逢った時に、何故話を丸くしないでこんなむごい事をしてしまったのかね?』
カンカン虫殺人事件 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
これ廿にぢう四年の六月が初刊しよかんであつたが、例の九号にもおよばずしてまためてしまつたのです
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
自分等が知つてから二年ばかりつて、其学校はつぶれてしまひ、跡には大審院の判事か何かが、その家を大修繕して
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
半歳近く病褥とこに就いたり、起きたりしてうつら/\日を送っているうちに、持合せの金は大方消費つかってしまった。
緑衣の女 (新字新仮名) / 松本泰(著)
そうしてイバニエス氏は詩の所々ところどころを、いつもこんなように……にして、ぼかしてしまう癖を持っているのです。
それから双方さうはうともくちつぐんでしまつたので、しばらくのあひだまたしんとしました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
「旦那、この踏石をどけてしまうて、他のもんに代へたらどうだす。」と、定吉は火氣と煙とに、額から汗をたらしながら言つた。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
「私にかまはず、其綱をつておしまひよ。私ア磔柱の上から、福屋の屋根にペンペン草の生えるのを見てやりたい」
「え、本当か、それは、有難いな、いよいよ話が決れば、この水茶屋の株などは人にやってしまって、お前の好きなところへ一軒」
黄金を浴びる女 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
いつもなら、夜の説教でもない限り、もう九時頃になると寝てしまうのですが、今夜はなんだか気になって寝る訳にも行きません。
盗難 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
さくらかはくどころか、いへすみはうへすつこんでしまつて茫然ぼんやりして居る。
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
母親は華麗はで御暮おくらしや美しい御言葉のなかに私をひとり残して置いて、柏木へ帰ってしまいました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
新聞しんぶん今朝けさまへつくしてしまつたし、ほん元氣げんきもなし
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
不思議にも斯の思想かんがへは今度の旅行で破壊ぶちこはされてしまつて、始めて山といふものを見る目がいた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
最早稲田も灰色、野も暗い灰色に包まれ、八幡のもりのこんもりとしたけやきこずえも暗い茶褐色に隠れてしまった。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
故郷の広い屋敷跡——山——畠——田——林——すべてそういう人手に渡ってしまったものは、是非とも回復せねばならぬ。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
其内ある日近所の辰さん兼さんが簌々さくさく簌々と音さして悉皆堤の上のをって、たばにして、持って往ってしまう。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
僕はこの手紙を書いてしまふと、僕の家に充満した焼け出されの親戚しんせき故旧こきうと玄米の夕飯ゆふめしを食ふのです。
書いた物は散佚さんゐつしてしまふし、あるひ記憶きおくから消え去つてしまつた事実などが多いため
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
泉原は最初のうちこそ堅くなっていたが、段々心やすい気持になって、彼がマーゲートへ来た理由を打明けてしまった。
緑衣の女 (新字新仮名) / 松本泰(著)
たゞちにみんいきころしてだまつてしまひました、あいちやんはこゝろおもふやう
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
これ所謂いはゆる有財餓鬼うざいがきてえんだらう、なにしろ此儘このまゝはうむつてしまふのはをしいや
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「何ういたしたもんでござりまへう。」と、助役は最早裁判官の前へ出た男のやうに、對話をする力が拔けてしまつてゐた。
太政官 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
それは少くとも唯物論もしくは唯物論的立場である。何ぜなら、唯心論及び唯心論的文学は、最早や完全に現れてしまったからである。
こう言って喬介は、何か失望したらしく首をうなだれてふさぎ込んでしまったが、やがて何思ったか元気で顔をげると、
カンカン虫殺人事件 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
しかしかく好訳であるが、私版を五百部刊行しただけで、遂に稀覯書きこうしようち這入はひつてしまつた。
睡気ねむけたちまち香油のびんを離れて瓦斯ガスの光に溶けてしまへやが変に底無しのふちのやうになった。
床屋 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
なるほどおこり出して見ると、校長なんというものは、実際恐いものなんだ。豚はすっかりおびえてしまい、
フランドン農学校の豚 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
無論うした仕事に失敗は伴い勝ちで、われ等としても、止むなく中途で見棄ててしまわねばならぬ人物は沢山ある。
すべてのよろこび満足まんぞく自負じふ自信じゝんも、こと/″\く自分をツてしまツて
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
それに、その「偶然」と考へる処に、あらゆるものを「無意味」にしてしまふところに、一種微妙な科学の権威があつた。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
ときとゞまつて院長ゐんちやうとも書物しよもつうへ途絶とだえてしまつたかのやう。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
……つまり何んです、何んでもないので、彼女あなた——私の奥さんですが、家出をしてしまったのでございますよ……
奥さんの家出 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
かれがそう言ったとき始めて、別のしゃりこうべは気がついて、嬉しそうにこんどは遠慮もなく菫をへし折ってしまった。
しゃりこうべ (新字新仮名) / 室生犀星(著)
其時長次郎は下の方に少し傾斜の緩い平地らしい所が見えたので、杖を投げ下ろしたが一溜りもなく下の谷底まで滑り落ちてしまった。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
「まあお待ちなさい。あなたは一体つゝしみをしらない。私がまだ話してしまはないうちに何を云ふのです、私はあなたの先生ですぞ」
「信ちゃん、僕はもう出ない、このまま帰ってしまうから、後を支配人マネージャーと相談して、いいようにしてくれ」
天才兄妹 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
或年雲飛うんぴ用事ようじありて外出したひまに、小偸人こぬすびとはひつて石をぬすんでしまつた。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
なにがさて萬金かへじと愛惜あいせきして居る石のことゆゑ、雲飛は一言のもとに之を謝絶しやぜつしてしまつた。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
どういうものであろう——ある関係を承諾してしまうと、あるところからは一つ一つが屈服する立場に廻るものなのだ。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
一度彼女かのをんなの冷酷なる微笑に魅せられた者は自己の破滅は予期しながら何時の間にかひきつけられてしまふ。
新橋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「まアどうしてそんな遠くで買ったの。……オヤお前さん今日お米を買うおあしつかってしまやアしまいね」
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
対岸むこうの三人は喫驚びっくりしたらしく、それと又気がついたかしてたちまち声をひそめ大急ぎで通り過ぎてしまった。
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
が、虎共は一時間ほど巡査のきもを冷させたのち、やっと諦めて何処どこかへ行ってしまった、というのである。
虎狩 (新字新仮名) / 中島敦(著)
ヒイと泣叫なきさけぶ声が悲しげに響いて、あれ/\と見るうちに、遠く筑波つくばの方へかすんでしまつた。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
田端の静かな家のまわりだけしか知らなかった赤児は、眼をまるめ、びくびくさせ、しまいに泣き出してしまった。
童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
夫すら大勢が寄ってたかって、いつの間にやら大宮の南一里に聳立しょうりつする武甲山の異名にしてしまった程だ。
秩父の奥山 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
下手な謡曲などをうなって、一文二文の合力に命を繋ぐより、思い切った敵討にでも出逢でくわして、威勢よく死んでしまえ——。
大江戸黄金狂 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
顔利かおききであった伯父の名が、世話になったことのあるその男を反対に彼女の味方にしてしまうことができた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
名古屋へ行こうか、それともこの際……いっそ自分の生家さとの方へ帰ってしまおうか、と彼女は叔父の家の門へ行くまでも思い迷った。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
自分のことは文句なしに差しいて、こうした板囲いの家を邦夷のために建てねばならぬとし、建ててしまった。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
切物きれものは危い、よく探さっしゃい、針を使ってさえ始める時としまう時には、ちゃんと数を合わせるものだ。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
藁きれをひつぱつてゆく蟻でも、屋根の上でチウ/\鳴いてゐる雀でも、ジユウルの注意を引きつけてすつかり夢中にさせてしまふのです。
——にもけないまでわすれてしまつて、温泉宿をんせんやど亭主ていしゆんで、たづねたのが
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
お清は笑いながら奥へ入ってしまった。人通りのすくない往来には、小禽ことりあさっていた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
十歳じつさいとき髪剃かみそりいたゞいたが、羅甸ラテン御経おきやうはきれいに失念しつねんしてしまつた。
「この焼けるような身体からだを、山吹色の黄金こがねで包んでしまって腹の底から冷え冷えして見たいのです」
黄金を浴びる女 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
お石は四方あたり構わず泣き出してしまいました。音羽の森に夕づく陽が、この一克者らしい娘の襟に射して、妙に涙をそそる情景です。
裸身の女仙 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
甲乙ふたり噴飯ふきだして、申し合したように湯衣ゆかたに着かえて浴場ゆどのに逃げだしてしまった。
恋を恋する人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
外にどんな苦労が在つても可いから、どうかこの苦労だけはなくなしてしまひたいとつくづく思ふのです。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
今少してば、おれの中の人間の心は、獣としての習慣の中にすっかりうもれて消えてしまうだろう。
山月記 (新字新仮名) / 中島敦(著)
自分は愈々いよ/\弱ツてしまツた、先へ進むでいのか、あとへ引返していのか、それすらわからなくなツて了ツた。
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
うとし、暮方くれがたではあり、やがてくらくなつてしまつた、と権七ごんしちふ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
日本の土を踏んで、数々の日本人に会つてゐるうちについその取つて置きの挨拶は何処かへ落してしまつたらしい。
だがしかし何処かであの作にいて、批評をした者があったのだが、それを私が見落としたというなら、早速頭を下げてしまいます。
印象に残った新作家 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
名門の出であったが、国内事情がそうなれば、そういう娘ほど悲惨で、とうとう街の天使の身上に堕ちてしまった。
世界の裏 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
これをると是非ぜひはず、だまつてフイと消失きえうせるがごとしまつた。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
隣の寺の森に去年から急に鴉がやって来て、一番高い樹の上でああお・ああおと鳴くのを聞いていて、すぐ、それを模倣まねしてしまった。
懸巣 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
幸ひ子供心にも、にほひを嫌つて食べなかつたから助かつたものの、さうでもなければ、一たまりもなくやられてしまつたところでせう。
大抵は無愛想なような、人の善さそうな爺さん連で、若い顔はまれであるが、彼等は日が暮れると、各自の箱に錠を卸して帰ってしまう。
愛書癖 (新字新仮名) / 辰野隆(著)
夕立が来そうだから降られない中にと、直に頂上を指して出発したが、未だ斜面の下までも行かぬうちにとうとう大雷雨に襲われてしまった。
北岳と朝日岳 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
見れば、子供がかかえて行ってしまいそうな小さな荒削あらけずりのほこらが枯草の中に立って居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
須貝 あの人の前じゃあ、うっかりしたことは言えませんね。年が下だと思って安心してると妙なところでたたきつけられてしまいますよ。
華々しき一族 (新字新仮名) / 森本薫(著)
四五日しごにちつた、が豪傑連がうけつれんなん仕出しだしたこともなく、無事ぶじにあそんでしづまつてしまつた。
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
うすると私達も、いつかは茸のやうな這麼こんなほのかな風味に舌鼓したづゝみを打つ興味に感じなくなつてしまふかも知れぬ。
茸の香 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
といわれたので、そこでさめざめと泣き出してしまった。法然もあきれて、暫くは言葉も出なかったが、やがて、
法然行伝 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その当時愛宕の塔以外では聖は望めなかったので、愛宕の塔が震災でなくなってしまったから、もう聖は見られないものかと思って居りました。
望岳都東京 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
いろいろ不都合なことがあるにもかかわらず、小栗桂三郎は自殺して果てたと、警察も世間も信じ切ってしまうのも無理のないことでした。
流行作家の死 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
そして、さんざん想像をめぐらした結果は、いつも「なあに大したことはない」とみくびってしまうのです。
赤い部屋 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
だが、到頭とうとうある日、私は家の横の細い路地で、ヒョッコリと、裏の女房に出逢ってしまったのである。
毒草 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
覗きからくりの絵板が、カタリと落ちた様に、一刹那いっせつなに世界が変ってしまった。庄太郎しょうたろうはいっそ不思議な気がした。
灰神楽 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
やアというとうちに地震がって打潰ぶっつぶされてしまいます、なんにしてもうちにいると面倒だからげて下さい、え
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「帰らん? 帰らんけりやよろしい。もう明日あすからは貴方のここへ足蹈あしぶみの出来んやうに為てしまふから、さうお思ひなさい」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「こうして——一生——山の中に埋れてしまうのかナア」それを考えてみたばかりでも、彼には堪え難かった。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
紅——青——黄——と一口に言ってしまうことの出来ない、強い弱い種々さまざまな火の色が、そこにも、ここにも、都会の夜を照らしていた。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
本当に顔をあからめて如何どうあっても是非をわかってしまわなければならぬと云ういった議論をしたことは決してない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
うすると何うしても坐って居らなければならぬ文学者と云う者ほど、詰らない稼業はなくなってしまう。
「串戯ではなかったがい。俺はな、あの、しまいかけた見世物小屋の裏口にしゃがんで聞いとったんだ。」
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
現に根本三之助の乱暴を働いた頃にも、その村の相談役で、千曲川ちくまがは投込はふりこんでしまへと決議した人の一人であつたといふ。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)