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了
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しま
ふりがな文庫
“
了
(
しま
)” の例文
手
(
て
)
を
見
(
み
)
ると
竦
(
ぞつ
)
とする。
鱗
(
こけ
)
のある
鉛色
(
なまりいろ
)
の
生物
(
いきもの
)
のやうに、
眼
(
め
)
の
前
(
まへ
)
にそれが
動
(
うご
)
いてゐる。
噫
(
あゝ
)
、
切
(
き
)
つて
了
(
しま
)
ひたい。
此手
(
このて
)
の
触
(
さは
)
つた
所
(
ところ
)
も
忌
(
いま
)
はしい。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
大抵は無愛想なような、人の善さそうな爺さん連で、若い顔は
罕
(
まれ
)
であるが、彼等は日が暮れると、各自の箱に錠を卸して帰って
了
(
しま
)
う。
愛書癖
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
どうやら支離滅裂になつて
了
(
しま
)
ひさうで、どうも申分が多いが、外に之に代るべきものもないから、一時は相応に研究する者もあつた
エスペラントの話
(新字旧仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「まあお待ちなさい。あなたは一体つゝしみをしらない。私がまだ話して
了
(
しま
)
はないうちに何を云ふのです、私はあなたの先生ですぞ」
嘘言と云ふことに就いての追想
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
一時間近く経って後、彼は再び
人混
(
ひとごみ
)
の中を分けて煙草の煙と共に漂って居た。露店が尽きて橋へ来た。彼は惰性で橋を渡って
了
(
しま
)
った。
乗合自動車
(新字新仮名)
/
川田功
(著)
▼ もっと見る
此の婚礼に就いて在所の者が、先住の
例
(
ためし
)
を引いて
不吉
(
ふきつ
)
な噂を立てるので、
豪気
(
がうき
)
な
新住
(
しんじう
)
は
境内
(
けいだい
)
の暗い
竹籔
(
たけやぶ
)
を
切払
(
きりはら
)
つて桑畑に
為
(
し
)
て
了
(
しま
)
つた。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
「坊樣暗う御座いますよ」と言つたぎり、女と共に登つて
了
(
しま
)
つたから僕も
爲方
(
しかた
)
なしに其後に
從
(
つ
)
いて暗い、狹い、急な梯子段を登つた。
少年の悲哀
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
幸ひ子供心にも、
匂
(
にほ
)
ひを嫌つて食べなかつたから助かつたものの、さうでもなければ、一たまりもなくやられて
了
(
しま
)
つたところでせう。
銭形平次捕物控:006 復讐鬼の姿
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
『向うにいる中はダメでしたけども、此方に来てから水が性に合ったと見えて、たちまちここでおばァさんになって
了
(
しま
)
ったんですね』
日本橋附近
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
そんな
素直
(
すなお
)
な
考
(
かんが
)
えも
心
(
こころ
)
のどこかに
囁
(
ささや
)
かないでもなかったのですが、
次
(
つ
)
ぎの
瞬間
(
しゅんかん
)
には
例
(
れい
)
の
負
(
ま
)
けぎらいが
私
(
わたくし
)
の
全身
(
ぜんしん
)
を
包
(
つつ
)
んで
了
(
しま
)
うのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
其時長次郎は下の方に少し傾斜の緩い平地らしい所が見えたので、杖を投げ下ろしたが一溜りもなく下の谷底まで滑り落ちて
了
(
しま
)
った。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
むろん
此等
(
これら
)
の人達は、すでに地上とはきれいに絶縁して
了
(
しま
)
い、彼等の墓石の上に、哀悼の涙を
濺
(
そそ
)
ぐものなどは、
最早
(
もはや
)
只
(
ただ
)
の一人もない。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
その話はね、誰れでも五月蠅く聞くんだ、その癖皆んな途中で
莫迦
(
ばか
)
らしいと笑って
了
(
しま
)
うんだ。それで僕もあまり話したくないんだ。
息を止める男
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
其
(
それ
)
が
少
(
すこ
)
し
過
(
す
)
ぎて、ポカ/\する
風
(
かぜ
)
が、
髯面
(
ひげつら
)
を
吹
(
ふ
)
く
頃
(
ころ
)
となると、もう
気
(
き
)
が
重
(
おも
)
く、
頭
(
あたま
)
がボーツとして、
直
(
ひた
)
と
気焔
(
きえん
)
が
挙
(
あが
)
らなくなつて
了
(
しま
)
ふ。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
何故かというに僕の肉体には本能的な生の衝動が
極
(
きわ
)
めて微弱になって
了
(
しま
)
ったからである。永遠に堕ちて行くのは無為の
陥穽
(
かんせい
)
である。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
母親なんか、その為に死んで
了
(
しま
)
ったかも知れない。あるいはそうなるまでにおれ達兄弟のたれかが、親父を殺して了ったかも知れない。
疑惑
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
六区と吉原を鼻先に控えてちょいと横丁を一つ曲った所に、
淋
(
さび
)
しい、
廃
(
すた
)
れたような区域を作っているのが非常に私の気に入って
了
(
しま
)
った。
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
相変らず宗匠、駄弁を
弄
(
ろう
)
している間に、酔が好い心持に廻ったと見えて、コクリコクリ。
後
(
のち
)
には胴の間へ行って到頭横になって
了
(
しま
)
った。
悪因縁の怨
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
駄賃が少し余計に
入
(
はい
)
ったりなんかすると、すぐ酒をひっかけて来る。そんなときは
何時
(
いつ
)
もの無口屋が、とてものお
喋
(
しゃ
)
べりになって
了
(
しま
)
う。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
自分はもと洛中を騒がした鬼だが、余り
悪戯
(
いたづら
)
が過ぎるとあつて
貴方
(
あなた
)
の御先祖安倍晴明殿のために、この橋の下に
封
(
ふう
)
ぜられて
了
(
しま
)
つた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
たゞ沙漠の
砂
(
すな
)
の
燩
(
や
)
けてゐるやうに、頭が
熱
(
ほて
)
ツてゐるばかりだ。そして何時
颶風
(
はやて
)
が起ツて、此の體も魂も
埋
(
うづ
)
められて
了
(
しま
)
うか知れないんだ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
李陵
(
りりょう
)
自身が希望のない生活を自らの手で断ち切りえないのは、いつのまにかこの地に根を
下
(
おろ
)
して
了
(
しま
)
った数々の恩愛や義理のためであり
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
酔
(
よい
)
に乗じて
種々
(
いろいろ
)
の
捫着
(
もんちゃく
)
を
惹起
(
ひきおこ
)
している
中
(
うち
)
に、
折悪
(
おりあし
)
くも
其処
(
そこ
)
へ冬子が来合わせたので、更にこんな面倒な事件を
演出
(
しいだ
)
す事となって
了
(
しま
)
った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
路端
(
みちばた
)
の
飯屋
(
めしや
)
は昼前の
大繁昌
(
おほはんじやう
)
で、ビスケットを袋に詰める者もあれば、
土産
(
みやげ
)
にウォットカを買ふ者もあり、又は其場で飲んで
了
(
しま
)
ふ者もある。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
衆と共に仕事をされる場合には小酒井さんは身を
以
(
もつ
)
って
率
(
ひき
)
いました。ですから自然と衆人が小酒井さんを頭目の位置に据えて
了
(
しま
)
いました。
小酒井さんのことども
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
藁きれをひつぱつてゆく蟻でも、屋根の上でチウ/\鳴いてゐる雀でも、ジユウルの注意を引きつけてすつかり夢中にさせて
了
(
しま
)
ふのです。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
所がこの、道子の自由な行動は、
仮令
(
たとい
)
夫には無視されて居たにしろ、世間には遂に無視しては
居
(
お
)
られぬ位のものになって
了
(
しま
)
ったのでした。
彼が殺したか
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
耳許へ口を押付けて叫んだが、老人は奇怪な言葉を最後に、絶命して
了
(
しま
)
った。——祐吉は老人の脈を
診
(
み
)
たり、瞳孔を
検
(
しら
)
べたりしていたが
天狗岩の殺人魔
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
が、
焼麩
(
やきぶ
)
と
小菜
(
こな
)
の汁で
膳
(
ぜん
)
が済むと、
最
(
も
)
う
行燈
(
あんどう
)
を
片寄
(
かたよ
)
せて、
小女
(
こおんな
)
が、堅い、
冷
(
つめた
)
い寝床を取つて
了
(
しま
)
つたので、
此
(
これ
)
からの
長夜
(
ながよ
)
を、いとゞ
侘
(
わび
)
しい。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
それは残念であったなどと
大
(
おおい
)
に笑った、とてもこれが半死の病人と思えようか、烈しく興味を感じてはほとんど病を忘れて
了
(
しま
)
うのである
竹乃里人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
『良いやうでも百姓はあきまへん。
家
(
うち
)
でも
田地
(
でんぢ
)
を少し
有
(
も
)
つてますが、税が高うて引合はんよつて、賣つて
了
(
しま
)
はうか言ふてますのやがな。』
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
苦
(
くるしみ
)
を
輕
(
かろ
)
んずるとか、
何
(
なん
)
にでも
滿足
(
まんぞく
)
してゐるとか、
甚麼事
(
どんなこと
)
にも
驚
(
おどろ
)
かんと
云
(
い
)
ふやうになるのには、
那
(
あれ
)
です、
那云
(
あゝい
)
ふ
状態
(
ざま
)
になつて
了
(
しま
)
はんければ。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
才あるこれからの男は求めて埋もれて
了
(
しま
)
うに堪えられなかった。我が身が気の毒であった。今は
蒼
(
あお
)
ざめた昂奮が噴きあげるようであった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
向島
(
むかうじま
)
の
武蔵屋
(
むさしや
)
の
奥座敷
(
おくざしき
)
が
閑静
(
しづか
)
で
宜
(
よ
)
からう、
丁度
(
ちやうど
)
桜花
(
さくら
)
も散つて
了
(
しま
)
うた四
月
(
ぐわつ
)
廿一
日
(
にち
)
ごろと決したが、
其披露文
(
そのちらし
)
の
書方
(
かきかた
)
が誠に
面白
(
おもしろ
)
い。
落語の濫觴
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
Kは斯う云って、口を
噤
(
つぐ
)
んで
了
(
しま
)
う。彼もこれ以上Kに追求されては、ほんとうは泣き出すほかないと云ったような顔附になる。
子をつれて
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
とにかく、幕府はすぐ瓦解して
了
(
しま
)
い、明治政府は成立
間際
(
まぎわ
)
の事なので、この戦争についても、戦記の正確なものが乏しいのは、遺憾である。
鳥羽伏見の戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
今までポンプを押していた職工の一人が、
突飛
(
とっぴ
)
もない声で叫んだ。矢島は、ガックリと顔を伏せてその場へ坐り込んで
了
(
しま
)
った。
カンカン虫殺人事件
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
あの
涙
(
なみだ
)
の
池
(
いけ
)
で
泳
(
およ
)
いでからは
何
(
なに
)
も
彼
(
か
)
も
變
(
かは
)
つたやうで、
硝子
(
ガラス
)
洋卓
(
テーブル
)
も
小
(
ちひ
)
さな
戸
(
と
)
のあつた
大廣間
(
おほびろま
)
も
全
(
まつた
)
く
何處
(
どこ
)
へか
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せて
了
(
しま
)
ひました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
薔薇
(
ばら
)
にも
豌豆
(
えんどう
)
にも数限りもなく虫が涌く。地は限りなく草を
生
(
は
)
やす。
四囲
(
あたり
)
の自然に攻め立てられて、
万物
(
ばんぶつ
)
の
霊殿
(
れいどの
)
も小さくなって
了
(
しま
)
いそうだ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
が、かうして、忘れよう/\と努力して、それを忘れて
了
(
しま
)
つたら、
却
(
かへ
)
つてどうにも出来ない空虚が、
俺
(
おれ
)
の心に出来て了つた。
良友悪友
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
当家には公儀へ内密に
夥
(
おびただ
)
しい金銀が隠してあるということを承わってその検分に来た、さあ隠さずそれを出して
了
(
しま
)
えば
内済
(
ないさい
)
ですましてやるが
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そういう非難と一緒に、防ごうにも防ぎきれぬ太い腕力がやって来て、なにもかもひと叩きに叩きつぶして
了
(
しま
)
ったのである。
山県有朋の靴
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
今日ではこのアーチの下をば無用の
空地
(
くうち
)
にして置く
丈
(
だ
)
けの余裕がなくなって戸々勝手にこれを改造もしくは破壊して
了
(
しま
)
った。
銀座界隈
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
童子は
初
(
はじ
)
めからお
了
(
しま
)
いまでにこにこ
笑
(
わら
)
っておられました。須利耶さまもお笑いになりみんなを
赦
(
ゆる
)
して童子を
連
(
つ
)
れて
其処
(
そこ
)
をはなれなさいました。
雁の童子
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
約十尺ばかりの大穴が船腹に開くと見るまに、傷附いた船は高い
浪
(
なみ
)
の中に沈んで
了
(
しま
)
つたのである。その時はまだ非常に寒い季節の中にあつた。
アリア人の孤独
(新字旧仮名)
/
松永延造
(著)
直視するとこちらが石に化して
了
(
しま
)
ふから、盾の鏡に映る像を目標として近づき、
矢庭
(
やにわ
)
に剣を抜いて切り附くるとメヂューサの首は宙に飛んだ。
毒と迷信
(新字旧仮名)
/
小酒井不木
(著)
武内
(
たけのうち
)
と
識
(
し
)
つたのは、
新著百種
(
しんちよひやくしゆ
)
の
挿絵
(
さしゑ
)
を
頼
(
たの
)
みに行つたのが
縁
(
ゑん
)
で、
酷
(
ひど
)
く
懇意
(
こんい
)
に
成
(
な
)
つて
了
(
しま
)
つたが、
其始
(
そのはじめ
)
は
画
(
ゑ
)
より人物に
惚
(
ほ
)
れたので
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
鼻の恰好が即ちその人の人格の表現であるとイキナリ決定して
了
(
しま
)
うのは、あまりに早計でチト物騒ではあるまいかと考えられるようであります。
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それで何の事もなく済んで
了
(
しま
)
うのであることは恭三は百も承知して居たが、それを実行することが
頗
(
すこぶ
)
る困難の様であった。
恭三の父
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
かれがそう言ったとき始めて、別のしゃりこうべは気がついて、嬉しそうにこんどは遠慮もなく菫をへし折って
了
(
しま
)
った。
しゃりこうべ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
“了”の意味
《名詞》
(リョウ)了承。承知。
(出典:Wiktionary)
了
常用漢字
中学
部首:⼅
2画
“了”を含む語句
了解
了簡
終了
不了簡
了見
読了
御了解
仕了
了然
明了
角倉了以
喫了
了簡方
道了
結了
御了簡
了得
秦吉了
完了
速了
...