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了
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をは
ふりがな文庫
“
了
(
をは
)” の例文
一向
(
ひたぶる
)
に
神
(
しん
)
を労し、思を費して、日夜これを
暢
(
のぶ
)
るに
遑
(
いとま
)
あらぬ貫一は、
肉痩
(
にくや
)
せ、骨立ち、色疲れて、
宛然
(
さながら
)
死水
(
しすい
)
などのやうに沈鬱し
了
(
をは
)
んぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
文芸的素質のない人は如何なる傑作に親んでも、如何なる良師に従つても、やはり常に鑑賞上の盲人に
了
(
をは
)
る外はないのであります。
文芸鑑賞講座
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
上り
了
(
をは
)
つて一休みしながら、下までの深さを考へると、箱根の大路から堂ヶ島へ下りる位、或はそれより一二丁少しくらゐのものであつた。
華厳滝
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
其論文の構造は如何にも華麗にして
恰
(
あたか
)
も
蜃気楼
(
しんきろう
)
の如くなれども堅硬なる思想の上に立たざるが故に、一旦
破綻
(
はたん
)
を生ずれば破落々々となり
了
(
をは
)
る者あり。
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
三年間休んだのは、右腕を切られた後の養生と、左腕を自由に使ひこなす迄の練習期間で、それが
了
(
をは
)
ると再び百軒一萬兩の大願へ
驀進
(
ばくしん
)
したのでした。
銭形平次捕物控:157 娘の役目
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
十二日の旅が
了
(
をは
)
ると、漸く薔薇のにほひがし始めた。それからぢきに、シバの市をめぐつてゐる庭園が見え出した。
バルタザアル
(新字旧仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
と立ちつゞく
小家
(
こいへ
)
の前で歌つたが金にならないと見たか歌ひも
了
(
をは
)
らず、元の
急足
(
いそぎあし
)
で
吉原土手
(
よしはらどて
)
の
方
(
はう
)
へ行つてしまつた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
この教育の六年の間、猶書かまほしき事なきにあらねど、今より顧みれば、皆流れて毒水一滴となり
了
(
をは
)
んぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
余は二作を読み
了
(
をは
)
りける後、
奇
(
く
)
しくも実想相分るゝ二大家の作に
同致
(
アイデンチヽイ
)
の跡瞭然見る可き者あるを認めぬ。
「伽羅枕」及び「新葉末集」
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
何事も自分には話してくれはしないから解る筈もない。何か自分には隠して居るのではなからうか……。彼の女は、五六日前に読み
了
(
をは
)
つた藤村の「春」を思ひ出した。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
あはれ暮風一曲の古調に、
心絃挽歌
(
しんげんばんか
)
寥々
(
れうれう
)
として起るが如く、一身ために愁殺され
了
(
をは
)
んぬるの時、堤上に石と伏して幾度か狂瀾の飛沫を浴びたるも、我と此古帽なりき。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
用意
(
ようい
)
了
(
をは
)
れば
直
(
たゞ
)
ちに
走
(
はし
)
りて、
一本榎
(
いつぽんえのき
)
の
洞
(
うろ
)
より
數十條
(
すうじふでう
)
の
蛇
(
くちなは
)
を
捕
(
とら
)
へ
來
(
きた
)
り、
投込
(
なげこ
)
むと
同時
(
どうじ
)
に
目
(
め
)
の
緻密
(
こまか
)
なる
笊
(
ざる
)
を
蓋
(
おほ
)
ひ、
上
(
うへ
)
には
犇
(
ひし
)
と
大石
(
たいせき
)
を
置
(
お
)
き、
枯草
(
こさう
)
を
燻
(
ふす
)
べて、
下
(
した
)
より
爆※
(
ぱツ/\
)
と
火
(
ひ
)
を
焚
(
た
)
けば
蛇くひ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
自分が久しぶりで歸つた故郷の第一日は、かくて不愉快なものになり
了
(
をは
)
つた。新聞社へ送る難詰文を書き終り、手帳をとぢて寢臺に入つても、安らかに眠る事は出來なかつた。
貝殻追放:002 新聞記者を憎むの記
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
目元
(
めもと
)
に
宿
(
やど
)
れる
露
(
つゆ
)
もなく、
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
りたる
決心
(
けつしん
)
の
色
(
いろ
)
もなく、
微笑
(
びせう
)
の
面
(
おもて
)
の
手
(
て
)
もふるへで、
一通
(
いつゝう
)
二通
(
につう
)
八九通
(
はつくつう
)
、
殘
(
のこ
)
りなく
寸斷
(
すんだん
)
に
爲
(
な
)
し
了
(
をは
)
りて、
熾
(
さか
)
んにもえ
立
(
た
)
つ
炭火
(
すみび
)
の
中
(
なか
)
へ
打込
(
うちこ
)
みつ
打込
(
うちこ
)
みつ
軒もる月
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
認
(
したゝ
)
め
了
(
をは
)
りて
此
(
この
)
一通の段落を見るに「と
存候
(
ぞんじそろ
)
」の
行列也
(
ぎやうれつなり
)
、
更
(
さら
)
に一つを加へて
悪文
(
あくぶん
)
と
存候
(
ぞんじそろ
)
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
大磯
(
おほいそ
)
近
(
ちか
)
くなつて
漸
(
やつ
)
と
諸君
(
しよくん
)
の
晝飯
(
ちうはん
)
が
了
(
をは
)
り、
自分
(
じぶん
)
は二
個
(
こ
)
の
空箱
(
あきばこ
)
の
一
(
ひとつ
)
には
笹葉
(
さゝつぱ
)
が
殘
(
のこ
)
り一には
煮肴
(
にざかな
)
の
汁
(
しる
)
の
痕
(
あと
)
だけが
殘
(
のこ
)
つて
居
(
ゐ
)
る
奴
(
やつ
)
をかたづけて
腰掛
(
こしかけ
)
の
下
(
した
)
に
押込
(
おしこ
)
み、
老婦人
(
らうふじん
)
は三
個
(
こ
)
の
空箱
(
あきばこ
)
を
丁寧
(
ていねい
)
に
重
(
かさ
)
ねて
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
わが「松浦あがた」の記はまさに
了
(
をは
)
るといへども、なほ
私
(
ひそ
)
かに飽かぬここちの
禁
(
とど
)
めがたきものあり、そは人の未だこの地に遊びて、爽快なる大気のうちに嘯きしことを聞くの少なきを悲むがために。
松浦あがた
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
五月十日 朝浣腸し
了
(
をは
)
りて少し眠る 心地僅ニよし
牡丹句録:子規病中記
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
食事が
了
(
をは
)
つて、彼女が、伝票を持つて行くと
けむり(ラヂオ物語)
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
あはれや
千尋
(
せんじん
)
の底の藻屑となり
了
(
をは
)
んぬ。
新頌
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
とかくに
業
(
ごう
)
は
了
(
をは
)
りたり。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
宮は奥より手ラムプを持ちて
入来
(
いりき
)
にけるが、机の上なる書燈を
点
(
とも
)
し
了
(
をは
)
れる時、
婢
(
をんな
)
は台十能に火を盛りたるを
持来
(
もちきた
)
れり。宮はこれを
火鉢
(
ひばち
)
に移して
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
若し
今日
(
こんにち
)
の社会制度に
若干
(
じやくかん
)
の変化を生じたる
後
(
のち
)
、あらゆる童子の養育は社会の責任になり
了
(
をは
)
らん
乎
(
か
)
、この傾向の
今日
(
こんにち
)
よりも一層増加するは言ふを待たず。
娼婦美と冒険
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
主人御名前を隱し
了
(
をは
)
せたと思つたのが拙者の
淺墓
(
あさはか
)
さだ、——それは兎も角、あの謎の文句を、立歸つて主人主計樣に御目にかけたところ、御病中ながら以ての外の御立腹。
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
介の維幾、息男為憲を教へずして、兵乱に及ばしめしの
由
(
よし
)
は、伏して過状を弁じ
了
(
をは
)
んぬ。将門本意にあらずと
雖
(
いへど
)
も、一国を討滅しぬれば、罪科軽からず、百県に及ぶべし。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
爾後
(
じご
)
世界の歴史は
匇々
(
さうさう
)
兵馬の声を載せて其鉄筆に五百有余頁を記し
了
(
をは
)
んぬ。長くも亦短かゝりし一歳半の日子よ。海に戦へば海に、陸に闘へば陸に、皇軍の向ふ所常に勝てり。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
靜
(
しづ
)
かに
足
(
あし
)
を
淨
(
きよ
)
め
了
(
をは
)
りていざとばかりに
誘
(
いざな
)
はれぬ、
流石
(
さすが
)
なり
商賣
(
しやうばい
)
がら
燦
(
さん
)
として
家内
(
かない
)
を
照
(
て
)
らす
電燈
(
でんとう
)
の
光
(
ひか
)
りに
襤褸
(
つゞれ
)
の
針
(
はり
)
の
目
(
め
)
いちじるく
見
(
み
)
えて
時
(
とき
)
は
今
(
いま
)
極寒
(
ごくかん
)
の
夜
(
よ
)
ともいはず
背
(
そびら
)
に
汗
(
あせ
)
の
流
(
なが
)
るぞ
苦
(
くる
)
しき
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
アヌンチヤタが
痍負
(
てお
)
ひたるベルナルドオに
吝
(
おし
)
まざりし接吻は、今
憶
(
おも
)
ふも猶胸焦がる。サツフオオの美はアヌンチヤタに似て、その戀情の苦は我に似たり。波濤はこの可憐なる佳人を覆ひ
了
(
をは
)
んぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
各
(
おのおの
)
その手に在るを抜きて、男は実印用のを女の指に、女はダイアモンド入のを男の指に、
擐
(
さ
)
し
了
(
をは
)
りてもなほ離れかねつつ、物は得言はでゐたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
午
(
ひる
)
ごろ茶の
間
(
ま
)
にパンと牛乳を
喫
(
きつ
)
し
了
(
をは
)
り、
将
(
まさ
)
に茶を飲まんとすれば、忽ち大震の
来
(
きた
)
るあり。母と共に
屋外
(
をくぐわい
)
に
出
(
い
)
づ。
大正十二年九月一日の大震に際して
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
娘お秀は平次の情けに護られて、
辛
(
から
)
くも繩目を
免
(
まぬか
)
れましたが、八五郎の心持を無視して、何處へともなく姿を隱してしまつたのです。多分
有髮
(
うはつ
)
の
尼
(
あま
)
で一生を
了
(
をは
)
るつもりでせう。
銭形平次捕物控:157 娘の役目
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
将門背走相防ぐ
能
(
あた
)
はざるの間、良兼の為に人物を
殺損奪掠
(
さつそんだつりやく
)
せらるゝの
由
(
よし
)
は、
具
(
つぶ
)
さに下総国の
解文
(
げもん
)
に注し、官に
言上
(
ごんじやう
)
しぬ、
爰
(
こゝ
)
に朝家諸国に
勢
(
せい
)
を合して良兼等を追捕す可きの官符を下され
了
(
をは
)
んぬ。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
嗚呼
(
あゝ
)
、此拿破里の市も、今よりは同じ夢中の物となり
了
(
をは
)
るならん。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
が、これが感服それ自身に
了
(
をは
)
る感服でない事は、云ふまでもない。彼はこの後で、すぐに又、切りこんだ。
戯作三昧
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
さア、私を縛つて下さい。お舟さんに罪はない、——私も隱せるものなら隱し
了
(
をは
)
せるつもりだつたが、お舟さんが私を
庇
(
かば
)
つて、自分で罪を
背負
(
しよ
)
ひさうぢや、もう我慢が出來ない
銭形平次捕物控:097 許婚の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼はその音楽の
了
(
をは
)
るのを待ち、蓄音機の前へ歩み寄つてレコオドの貼り札を
検
(
しら
)
べることにした。
或阿呆の一生
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
忠實さうな老爺が、話
了
(
をは
)
つて到頭ボロボロと泣き出して了ひました。
銭形平次捕物控:002 振袖源太
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
されど予が身辺の事情は遂に予をして渡英の計画を
抛棄
(
はうき
)
せしめ、
加之
(
しかのみならず
)
予が父の病院内に、一個新帰朝のドクトルとして、多数患者の診療に忙殺さる可き、退屈なる椅子に
倚
(
よ
)
らしめ
了
(
をは
)
りぬ。
開化の殺人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
言葉が
了
(
をは
)
らぬうちに、女の姿は、路地の闇にヒラリと飛込みました。
銭形平次捕物控:250 母娘巡礼
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
若しこの詩人の足あとを
辿
(
たど
)
る多少の力を持つてゐたらば、——彼はデイヴアンを読み
了
(
をは
)
り、恐しい感動の静まつた後、しみじみ生活的
宦官
(
くわんぐわん
)
に生まれた彼自身を軽蔑せずにはゐられなかつた。
或阿呆の一生
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「大きな聲で怒鳴れ。眞晝の横山町だ、逃げ
了
(
をは
)
せるわけはない」
銭形平次捕物控:166 花見の果て
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
これは又同氏の作品を時々
平板
(
へいばん
)
に
了
(
をは
)
らせてゐる。が、この一点に注目するものはかう云ふ作品にも満足するであらう。世人の注目を
惹
(
ひ
)
かなかつた、「
廿代一面
(
にじふだいいちめん
)
」はかう云ふ作品の一例である。
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
平次の調べはそれで
了
(
をは
)
つたわけではありません。
銭形平次捕物控:296 旅に病む女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その日の調べは、それで
了
(
をは
)
りました。
銭形平次捕物控:110 十万両の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“了”の意味
《名詞》
(リョウ)了承。承知。
(出典:Wiktionary)
了
常用漢字
中学
部首:⼅
2画
“了”を含む語句
了解
了簡
終了
不了簡
了見
読了
御了解
仕了
了然
明了
角倉了以
喫了
了簡方
道了
結了
御了簡
了得
秦吉了
完了
速了
...