じま)” の例文
結局高輪の方で検視して葬ったんだそうだけれども、身許などまるで分らずじまいさ。そんな事で行方不明なんて人が世間にザラにあるんだね
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
凌雲閣には餘り高いのに怖氣おぢけ立つて、到頭上らず。吾妻橋に出ては、東京では川まで大きいと思つた。兩國の川開きの話をお吉に聞かされたが、甚麽どんなことをするものやら遂に解らずじまひ。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
そんな平凡な生活をする位なら、いっそ首でもくくって死ンじまえ、などと蔭では嘲けったものだったが、嘲けっているうちに、自分もいつしか所帯染しょたいじみて、人に嘲けられる身の上になって了った。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「つまり、それも原因は分らずじまいなのですね」
廃灯台の怪鳥 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
本当ほんとに一井戸川いどかわへでも飛込んじまおうかと思いましたよ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)