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了
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おお
ふりがな文庫
“
了
(
おお
)” の例文
しかし、
駆黴剤
(
くばいざい
)
の
浸染
(
しみ
)
はかくし
了
(
おお
)
せぬ素姓をいう……、いまこの暗黒街を
統
(
す
)
べる大
顔役
(
ボス
)
二人が、折竹になに事を切りだすのだろう。
人外魔境:08 遊魂境
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
それを引受けた犬殺しは、商売だから論外に置くとしても、彼等はそれを引受けて、見事やり
了
(
おお
)
せるつもりで出て来たのか知らん。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
……おれはどうしてこんなおれの姿をこいつに隠し
了
(
おお
)
せることが出来なかったのだろう? 何んておれは弱いのだろうなあ……
風立ちぬ
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
何でも明日にでも牝牛を売るような口ぶりにはみんなも驚いて笑い出した。だがとにかくすっかり中心人物になり
了
(
おお
)
せた。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
特にあの身を投げようとまでした、美しい娘、わざと命の親の鳴海を、竹町の乳母の家に案内して、自分の家も名前も隠し
了
(
おお
)
せた不思議な賢こい娘。
悪人の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
このまちへ一歩踏みこむと肩の重みがすっと抜け、ひとはおのれの一切の姿勢を忘却し、逃げ
了
(
おお
)
せた罪人のように美しく落ちつきはらって一夜をすごす。
ダス・ゲマイネ
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
吾子
(
わこ
)
よ。吾子の
為
(
し
)
了
(
おお
)
せなんだ
荒
(
あら
)
び心で、吾子よりももっと、わるい
猛
(
たけ
)
び心を持った者の、大和に来向うのを、待ち押え、
塞
(
さ
)
え防いで居ろ、と仰せられた。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
「処士の身分で
華美
(
きらびやか
)
な振舞、世の縄墨を乱す者とあって、軽く追放重くて流罪、遁れ
了
(
おお
)
すことはよもなるまい」
正雪の遺書
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
淡しとは単に
捕
(
とら
)
え難しと云う意味で、弱きに過ぎる
虞
(
おそれ
)
を含んではおらぬ。
冲融
(
ちゅうゆう
)
とか
澹蕩
(
たんとう
)
とか云う詩人の語はもっともこの
境
(
きょう
)
を切実に言い
了
(
おお
)
せたものだろう。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
が、どうなりそれをやり
了
(
おお
)
せると、彼はなるだけ体を動かさない工夫をして、遠くの物音に
聴耳
(
ききみみ
)
を立てた。おりおり男衆の騒いでいるらしい声がきこえて来た。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
隠し
了
(
おお
)
せた犯罪や、人に云い得ずに死んだ秘密の数々が、
血塗
(
ちまみ
)
れの顔や、首無しの胴体や、井戸の中の
髪毛
(
かみのけ
)
、天井裏の短刀、沼の底の白骨なぞいうものになって
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
しかし又泰然と偶像になり
了
(
おお
)
せることは何びとにも出来ることではない。勿論天運を除外例としても。
侏儒の言葉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ただ無計画に筆をつけはじめ、勢いに駆られてめくら滅法に書き
了
(
おお
)
せたというに過ぎない。終始漫然として断片的な資材を集めたに過ぎない。釘も打たず
鎹
(
かすがい
)
もかけていない。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
然しその瞬間に彼は偽善者になり
了
(
おお
)
せてしまっているのだ。彼はその心に
姦淫
(
かんいん
)
しつづけなければならないのだ。それでもそれは智的生活の平安の為めには役立つかも知れない。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
ですから、誰かが窓から品物を渡してくれさえすれば、私は巧くやり
了
(
おお
)
せてごらんに入れます。あの子はあとで眼を覚して、魔法使でも来ていたのだろうと思うでございましょう。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
それを事も無げに
詠
(
よ
)
み
了
(
おお
)
せているのは、大体そのころの男女の会話に近いものであったためでもあろうが、それにしても吾等にはこうは自由に詠みこなすことが出来ないのである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
言いかえると、この説の誤解され易い点は、それが一見したところ、飜訳の生理とか心理とか
云
(
い
)
ったものから、論理面だけを単純に
切取
(
きりと
)
り
了
(
おお
)
せているように見えるところにあると思う。
翻訳の生理・心理
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
夫人の変装術に巧妙なのは知っているが、こうまで巧みに化け
了
(
おお
)
せるとは思わなかった。しかし他人ならいざ知らず、助手が見破れなかったのは少々心細い、私は何だか気まりが悪くなった。
鉄の処女
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
彼はその精神的野心を一同に隠し
了
(
おお
)
せるほど賢くなかったのである。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
大噐晩成先生はこれだけの
談
(
はなし
)
を親しい友人に告げた。病気はすべて治った。が、再び学窓にその人は
見
(
あら
)
われなかった。
山間水涯
(
さんかんすいがい
)
に姓名を
埋
(
うず
)
めて、平凡人となり
了
(
おお
)
するつもりに料簡をつけたのであろう。
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
その朝私はどうにか配達をやり
了
(
おお
)
せた。
朴歯の下駄
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
高々と枯れ
了
(
おお
)
せたる
芒
(
すすき
)
かな
五百五十句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
首尾よく縁の下へ潜り
了
(
おお
)
せたか、それともその辺に忍んで立聞きをしているのだかわかりませんが、とにかく、それっきり姿を消してしまいました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
自由にあこがれてこの美しい令嬢は、父と、家名とに
反
(
そむ
)
いて、文筆労働者の群に投じ、とうとう名を変えて東京新報の女記者になり
了
(
おお
)
せて居たのです。
女記者の役割
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
この落ちつきがなければ、男子はどんな仕事もやり
了
(
おお
)
せる事が出来ない。伊藤博文だって、ただの才子じゃないのですよ。いくたびも
剣
(
つるぎ
)
の下をくぐって来ている。
花吹雪
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
それは果して私達を本当に満足させ
了
(
おお
)
せるものだろうか? 私達がいま私達の幸福だと思っているものは、私達がそれを信じているよりは、もっと束の間のもの
風立ちぬ
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
まんまと首尾よく私を欺し
了
(
おお
)
せる一方に、事情を知っている鮮人朴を射殺しながら、情夫の樫尾と共にどこへか姿を
晦
(
くら
)
ました
稀代
(
きだい
)
の毒婦であった……という事実が
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
しかも、その源氏名の
濃紫
(
こいむらさき
)
と云う名を、万延頃の細見で繰ってみれば判る通りで、当時唯一の
大籬
(
おおまがき
)
に筆頭を張り
了
(
おお
)
せただけ、なまじなまなかの全盛ではなかったらしい。
絶景万国博覧会
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
やり
了
(
おお
)
せたじゃありませんか?——そんなことはどうでも
好
(
い
)
いことです。さあ、早く御逃げなさい
アグニの神
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
音さえ出なけりゃと云うが、音が出なくても
隠
(
かく
)
し
了
(
おお
)
せないのがあるよ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
おれは、此世に居なかったと同前の人間になって、
現
(
うつ
)
し
身
(
み
)
の人間どもには、忘れ
了
(
おお
)
されて居るのだ。憐みのないおっかさま。おまえさまは、おれの妻の、おれに
殉死
(
ともじ
)
にするのを、見殺しになされた。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
二十年はおろか三年だって
勤
(
つと
)
め
了
(
おお
)
せる人はないだろう。
チェーホフ序説:――一つの反措定として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
最後まで助け
了
(
おお
)
すつもりならば、人の手や、馬の力を借る必要はない。あくまで自分の背に負い通して行くこと。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ビックリ仰天して逃出すと、頭の上から大鷲が蹴落しに来る。枝の間を
伝
(
つたわ
)
って逃げ
了
(
おお
)
せたと思うと、今度は
身体
(
からだ
)
中に
蝨
(
だに
)
がウジャウジャとタカリ初める。
山蛭
(
やまひる
)
が吸付きに来る。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
承れば、その頃京都では、大石かるくて
張抜石
(
はりぬきいし
)
などと申す唄も、
流行
(
はや
)
りました由を聞き及びました。それほどまでに、天下を欺き
了
(
おお
)
せるのは、よくよくの事でなければ出来ますまい。
或日の大石内蔵助
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「話したまえ、少しでも我々の耳へ入ったら、隠し
了
(
おお
)
せるものでは無い」
古城の真昼
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
若
(
も
)
し相手がそんな姑ではなくて、もっと率直な圭介だったら、彼女は彼を苦しめるためにも、自分の感じている今の孤独の中での蘇生の
悦
(
よろこ
)
びをいつまでも
隠
(
かく
)
し
了
(
おお
)
せてはいられなかっただろう。……
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「なぜ、あんなツマらないことをしたのだ、盗むくらいなら盗み
了
(
おお
)
せたらいいだろう、わざわざ人の前へ持って来て吐き出して見せるなんぞは、憎い仕業だ」
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
第一の夫は
行商人
(
ぎょうしょうにん
)
、第二の夫は
歩兵
(
ほへい
)
の
伍長
(
ごちょう
)
、第三の夫はラマ教の
仏画師
(
ぶつがし
)
、第四の夫は僕である。僕もまたこの頃は無職業ではない。とにかく器用を看板とした一かどの
理髪師
(
りはつし
)
になり
了
(
おお
)
せている。
第四の夫から
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その皮を
剥
(
む
)
き損ずるか、剥き
了
(
おお
)
せるかによって議論も定まるし、自分たちの腕も定まるのでありました。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
果して馬自身でやり
了
(
おお
)
せるかどうか、疑問に思われます
馬の脚
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかし、こうなってみると、これから後、どこまでムク犬が逃げ
了
(
おお
)
せられるかどうかは疑問であります。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
この分では、道中、相当にかくし
了
(
おお
)
せて、京都へ着く時分には、地髪で通れるようになるだろう。
大菩薩峠:30 畜生谷の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
案
(
あん
)
の
定
(
じょう
)
、悪い奴。悪い奴なればこそ、こうして腕を切られても逃げ
了
(
おお
)
せたと見えますなあ」
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
仮りにも人間の手を経て作られたワナは、さる小動物の
蠢動
(
しゅんどう
)
によって、左様に
容易
(
たやす
)
く改廃さるべきものではないのに、二つとも、完全に逃げ
了
(
おお
)
せたのは、見えない眼前の事実。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
斯様
(
かよう
)
に捕方に囲まれずとも、このままで逃げ
了
(
おお
)
せるものではない、山野を駈けめぐっているうちに、飢えと疲れが眼の前へ来て、やがて見苦しいザマで引戻されるにきまっている
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
無論、いいかげんのお座なりでごまかし
了
(
おお
)
せる相手ではなし、そうかと言って、駒井甚三郎に引合わせようなどは以てのほかです。会わせないと言えば、こだわりをつけるに相違ない。
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
一度、馬喰町の火事の時、馬にて火事場へ乗込みしが、今井帯刀という御使番にとがめられて一散に逃げたが、本所の津軽の前まで追いかけおった、馬が足が達者ゆえ、とうとう逃げ
了
(
おお
)
せた。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
不足を
唱
(
とな
)
えたのはああいう勝気な女の常で、そのくせ、よくあの暮しに辛抱して世話女房をつとめ
了
(
おお
)
せたものだ……情に強いようで実はきわめて
脆
(
もろ
)
い女である、自分を誤ったのがあの女の罪か
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
果して隠れ
了
(
おお
)
せてこの地を逃げ延びることができればそれは結構であるけれど、もうその評判がお松の耳にまで聞えるようになっては、この狭い天地でさえも危ない——とお松はそれを考えると
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
“了”の意味
《名詞》
(リョウ)了承。承知。
(出典:Wiktionary)
了
常用漢字
中学
部首:⼅
2画
“了”を含む語句
了解
了簡
終了
不了簡
了見
読了
御了解
仕了
了然
明了
角倉了以
喫了
了簡方
道了
結了
御了簡
了得
秦吉了
完了
速了
...