“了(しも)” の例文
不断(ふだん)から人様の合力で飯を喰ってるものにさせるが宜い、長いようでも日脚は早い、こんなことをいってると刀豆が段々虫に喰われて了(しも)うようだ、やれやれ。
厄払い (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
いかにも済んで了(しも)うた、済んで、このような窘窮(きんきゅう)が来たのじゃ、打開の道を、われらは蝦夷への移住と考えた、したが、おぬしらは、それを薩長政府への愁訴と考えておる
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
勝手を働く女房が、用事了(しも)うて襷(たすき)を外し、前垂(まえだれ)にて手を拭き拭き、得衛の前へとんと坐り
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
養父(ようふ)も義弟も菊五郎や栄三郎寧(いっそ)寺島父子になって了(しも)うた堀川の芝居の此猿廻わしの切(きり)にも、菊之助のみは立派(りっぱ)な伝兵衛であった。最早彼は此世に居ない。片市も、菊五郎も居ない。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)
月か……。月にかこつけて了(しも)うたか。いやよいよい。乱世じゃ。乱世ともならば月を
十万石の怪談 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
小官吏(こやくにん)になればああも増長されるものかと乃公も愛憎(あいそ)が尽きて了(しも)うた。
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
『でも、養家を出ぬ先なら兎(と)に角(かく)、遺書(かきおき)までして、出て了(しも)うたもの』
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)