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睹
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み
ふりがな文庫
“
睹
(
み
)” の例文
後
事
(
こと
)
露
(
あら
)
われ夫
惧
(
おそ
)
れて妻を離縁したと載せ、スプレンゲルはある人鬼がその妻を犯すを
睹
(
み
)
、刀を
揮
(
ふる
)
うて斬れども更に斬れなんだと記す。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
而
(
しか
)
るに
形躯
(
けいく
)
を
変幻
(
へんげん
)
し、
草
(
そう
)
に
依附
(
いふ
)
し、
天
(
てん
)
陰
(
くも
)
り雨
湿
(
うるお
)
うの
夜
(
よ
)
、月落ち
参
(
しん
)
横たわるの
晨
(
あした
)
、
梁
(
うつばり
)
に
嘯
(
うそぶ
)
いて声あり。其の
室
(
しつ
)
を
窺
(
うかが
)
えども
睹
(
み
)
ることなし。
牡丹灯籠 牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
露伴、幸田氏のものされたる、「いさなとり」を
繙
(
ひもと
)
けば、その壮観、目に親しく
睹
(
み
)
るがごとき詳細なる記述に接す、われ敢てここに
贅
(
ぜい
)
せず。
松浦あがた
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
勝手に書いたとは何を申すぞ、この一
埓
(
らつ
)
、表立って江戸大公儀に聞えなば、家名断絶、
秩禄没収
(
ちつろくぼっしゅう
)
は火を
睹
(
み
)
るより明らかじゃ。
旗本退屈男:08 第八話 日光に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
少しく時勢を
睹
(
み
)
る明のある者には疑う余地のないことに違いない、これは人力を以てはいかんともなし難い勢いだと思う
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
その名器を手にし、その耳にせし人を前にせる貴婦人の興を覚ゆることは、殿の
悪作劇
(
あくさげき
)
を親く
睹
(
み
)
たらんにも劣らざりき。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
ところが今
睹
(
み
)
た対象は
毫
(
ごう
)
もそんな感じを引き起さなかった。
相除
(
そうじょ
)
の対照でもなければ
相乗
(
そうじょう
)
の対照でもない。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
米国は
迺
(
すなは
)
ち
業
(
げふ
)
の国なり。始めより
肯
(
あへ
)
て国際間の武威を
弄
(
ろう
)
せず。而して各国之を
畏
(
おそ
)
る。何が故に畏るゝ、曰く、国民の元気充溢し、百般の業の上に其真勇を
睹
(
み
)
ればなり。
想断々(2)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
料理法研究のためにとて中庭に仮の料理場を設け、テンピ、七輪、西洋鍋に至るまで来客の
睹
(
み
)
る前に順序
能
(
よ
)
く並べられ、
篤志
(
とくし
)
の料理人両三輩各受持の仕事に取かかる。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
また嶺松寺という寺号をも忘れていた。それゆえわたくしに答えた書に常泉寺の
傍
(
かたわら
)
と
記
(
しる
)
したのである。
是
(
ここ
)
においてかつて親しく嶺松寺
中
(
ちゅう
)
の
碑碣
(
ひけつ
)
を
睹
(
み
)
た人が三人になった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
ただその敵愾の本領に至っては、少しも変ずることなく、いわゆる侵略主義を以て、国権を外に
耀
(
かがや
)
かし、弱を撃ちて強に及ぶの策を執りしや、火を
睹
(
み
)
るよりも明らけし。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
伊予にありましては土居、
得能
(
とくのう
)
、勤王の兵を挙げますこと、火を
睹
(
み
)
るより明らかにござりまする
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そして世の中の文運は、未だ其実蹟を
睹
(
み
)
ない先に、既に進んで、短歌の本質を理想してゐた。其が、一度は、過去に於て明らかに実証せられてゐた事実に、符合する事である。
短歌本質成立の時代:万葉集以後の歌風の見わたし
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
翁がいかにその買方に道具屋の言のごとく紳士的であるとしてもないとしても、かなりに目のよく利く好者であることは、私の
睹
(
み
)
る目をもってしても間違いは無いつもりである。
素人製陶本窯を築くべからず:――製陶上についてかつて前山久吉さんを激怒せしめた私のあやまち――
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
針金を伸ばしてぶつぶつ切って先を
尖
(
とが
)
らせただけの針では、レコードのためによくないのは火を
睹
(
み
)
るよりも明らかな話で、レコードの溝は御承知の通り底が円くなっているから
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
その他に至りては、これを
睹
(
み
)
ること、
宛
(
さなが
)
ら外国の山岳の如くなるは、遺憾にあらずや。
山を讃する文
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
彼はあの晩いの一番に現場へ飛んできて消防夫や近隣の者と一緒に最後まで消火に努めた——一同この眼で
睹
(
み
)
たのだから、それ以上正確なことはないと、異口同音に陳述したのだ。
消えた花婿
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
日本
(
にほん
)
の
經濟界
(
けいざいかい
)
は
其
(
そ
)
の
爲
(
ため
)
に
破壞
(
はくわい
)
されて
居
(
ゐ
)
ることは、
殆
(
ほとん
)
ど
火
(
ひ
)
を
睹
(
み
)
るより
明
(
あきら
)
かなことである。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
加速度は段々増して来ました。過去に於ける如き抵抗は全く絶滅あるいは減退致しました。今日以後の沖縄人に向象賢や蔡温以上の仕事の出来るのは火を
睹
(
み
)
るよりも
明
(
あきら
)
かであります。
琉球史の趨勢
(新字新仮名)
/
伊波普猷
(著)
私達は夏が来るまで親しく其装飾された山谷の模様を
睹
(
み
)
る
可
(
べ
)
き自由を欠いているが、山は其間にこの豊富な材料の幾割かを費消して、象嵌す可きは象嵌し、はたそれぞれ蝕鏤し彫刻して
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
もし、綱一本の手違いがあったら、もし、畳み方一つに
誤
(
あやまち
)
があったら……。黒吉の体は木葉微塵となってしまうことは、火を
睹
(
み
)
るよりも
瞭
(
あきら
)
かなのだ——なんという恐ろしい仕事であろう。
夢鬼
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
孔子
(
こうし
)
曰
(
いは
)
く、
(二〇)
『
伯夷
(
はくい
)
・
叔齊
(
しゆくせい
)
は
舊惡
(
きうあく
)
を
念
(
おも
)
はず、
怨
(
うら
)
み
是
(
ここ
)
を
用
(
もつ
)
て
希
(
まれ
)
なり。
仁
(
じん
)
を
求
(
もと
)
めて
仁
(
じん
)
を
得
(
え
)
たり。
又
(
また
)
何
(
なに
)
をか
怨
(
うら
)
みん』と。
余
(
よ
)
、
(二一)
伯夷
(
はくい
)
の
意
(
い
)
を
悲
(
かな
)
しむ、
(二二)
軼詩
(
いつし
)
を
睹
(
み
)
るに
異
(
あや
)
しむ
可
(
べ
)
し。
国訳史記列伝:01 伯夷列伝第一
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
それからここへ来るたびに、雨風に打たれて
木肌
(
こはだ
)
の
目
(
め
)
が灰色に消えて行くのを
睹
(
み
)
こそすれ、不思議の
因
(
もと
)
が洗われたという話は聞かず、新しい犠牲の名が毎まい人の口の端に上るばかりであった。
釘抜藤吉捕物覚書:06 巷説蒲鉾供養
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
火を
睹
(
み
)
るよりも明らかに解り切っているのだ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
門を
出
(
い
)
でゝ 天日を
睹
(
み
)
る
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
支那の書に角ある蟾蜍の話あるは虚構とするも、予輩しばしば
睹
(
み
)
た南米産の大蛙ケラトリフス・コルナタは両眼の上に角二つある。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
その室を窺えども
睹
(
み
)
ることなし、
蠅営狗苟
(
ようえいくこう
)
、
羊狠狼貪
(
ようこんろうたん
)
、
疾
(
はや
)
きこと
飃風
(
ひょうふう
)
の如く、烈しきこと猛火の
若
(
ごと
)
し。喬家の子生きて猶お悟らず、死すとも何ぞ
恤
(
うれ
)
えん。
牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
私は現にさう云ふのを
睹
(
み
)
てゐる! 睹てゐるから今貴下方がかうして一処に死ぬまでも離れまいと云ふまでに思合つた、その満足はどれ程で、又そのお互の仕合は
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
然
(
しか
)
し比較的幅のあるそして長い頂上——夫も決して平板単調ではない——
就中
(
なかんずく
)
大汝
(
おおなんじ
)
の附近に三々又五々、
恣
(
ほしいまま
)
に横時縦錯せる巨岩の堆積は、山頂稀に
睹
(
み
)
る荒寥
跌宕
(
てっとう
)
の風物でなければならぬ。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
耳には音を聞き、目には物を
睹
(
み
)
る、
之
(
こ
)
れ快楽を願欲するの最始なり。
明治文学管見:(日本文学史骨)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
それからダニール・ウィルソンいわく、新世界へ欧人移り入りて旧世界でかつて見ざる格別の異物を
睹
(
み
)
た時、その鳴き声を
擬
(
まね
)
て名を付けた例多し。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
崇
(
たふと
)
く優くも、高く
麗
(
うるはし
)
くも、又は、
完
(
まつた
)
くも大いなる者在るを信ぜざらんと為るばかりに、
一度
(
ひとたび
)
は
目前
(
まのあたり
)
睹
(
み
)
るを得て、その倒懸の苦を
寛
(
ゆる
)
うせん、と心
爇
(
や
)
くが如く望みたりしを
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
しばしば細長い枝に身を打ち付け廻った後、地上へドッサリ堕つる
睹
(
み
)
て
可笑
(
おか
)
しさに堪えなんだとあるから、猴の木伝いもなかなか容易でないと見える。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
猿は人に近付かぬ故その天然の性行を
睹
(
み
)
た学者は少ない。したがって全然信認は如何だが、昔から永々その産地に住んだ支那人の説は研究の
好
(
よ
)
き資料だ。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
トルコのソリマン二世一日睾丸抜いた牡馬が戯るるを
睹
(
み
)
、
宦者
(
かんじゃ
)
も丸を去ったばかりでは不安心とて、その根部を切り尽さしめ後帝世々その制を沿襲した。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
予壮時諸方のサーカスに随い行きし時、黒人などがほめき盛りの牝牡猴に種々
猥
(
みだ
)
りな事をして示すと、あるいは喜んで注視しあるいは
妬
(
ねた
)
んで騒ぐを毎度
睹
(
み
)
た。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
少しく首を転じて寝ながら
睹
(
み
)
ると、黒紋付の綿入れを着た男が抜刀を
提
(
ひっさ
)
げて老爺を追うに、二人ながら手も足も動かさず、
眉間尺
(
みけんじゃく
)
の画のごとく舞い上り舞い下りる。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
かかる無法の合祀励行によって、果たして当局が言明するごとき好結果を日本国体に及ぼし得たるかと問うに、熊楠らは実際全くこれに反せる悪結果のみを
睹
(
み
)
るなり。
神社合祀に関する意見
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
ローラン・ダーヴィユーまた述べたは、かつてアラビヤのある港で、一水夫が灰一俵
揵
(
かた
)
ぐるとて一つ取り
外
(
はず
)
すと、聴衆一同無上の不浄に汚されたごとく争うて海に入るを
睹
(
み
)
た。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
明治二十四、五年の間予西インド諸島にあり
落魄
(
らくはく
)
して象芸師につき廻った。その時象が些細な蟹や鼠を見て
太
(
いた
)
く不安を感ずるを
睹
(
み
)
た。その
後
(
のち
)
『五雑俎』に象は鼠を
畏
(
おそ
)
るとあるを読んだ。
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
カーナーヴォン卿その株を
睹
(
み
)
由来を聴いて、英人なら謝恩のためこの樹を保存すべきに葡人はこれを伐った、所
異
(
かわ
)
れば
品
(
しな
)
異るも甚だし、以後ここの人がどんな難に遇うを見ても我は救わじ
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
自ら
睹
(
み
)
た所を記していわく、この鐘に大なる
𤿎裂
(
ひびわれ
)
あり、十年ばかりも以前に、その裂目へ扇子入りたり、その後ようやくして、今は
毫毛
(
ごうもう
)
も入らず、
愈
(
い
)
えて𤿎裂なし、破鐘を
護
(
まも
)
る野僧の言わく
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
睹
漢検1級
部首:⽬
14画
“睹”を含む語句
逆睹
目睹
睹易
一睹
環睹蕭条