)” の例文
普通は何か形式がないと頼りないので、田植には若苗の三つの束を、秋には刈稲を取り分けておいての上などにこれを祭るのである。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
国大夫人蜜を米に塗り金盤に盛り自ら擎げ持ちて食わせ、第一の大臣は一番貧乏くじで親ら金のを執りて智馬の糞を受けるのだ。
まだ、朝早あさまだき、天守てんしゆうへからをかけてかたちくもむらがつて、処々ところ/″\物凄ものすさまじくうづまいて、あられほとばしつてさうなのは、かぜうごかすのではない。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ほどな「れぷろぼす」のたなごころが、よく眠入ねいつたわらんべをかいのせて、星空の下から悠々と下りて来たこともおぢやると申す。
きりしとほろ上人伝 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
手拭をあねさんかぶりにして、粉物を入れたを小脇にし、若い女の人は甲斐甲斐かいがいしく外へ出て、外から戸を締めようとしました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
饂飩うどん屋のガラスのはこの中にある饂飩の玉までがあざやかである。往来には軒先にむしろいたり、を置いたりして、それに消炭けしずみしてある。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
母と彼男あのをとことの間に、を高く頭の上に載せ、少許すこしづつ籾を振ひ落して居る女、あれは音作の『おかた』(女房)であると話した。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
それからしよく供物くもつ恰好かつかうよくして總代等そうだいられてつた注連繩しめなはもみからもみつて末社まつしやかざりをした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
相伝ふ、昔はその民家の悪気を追ふとて、を二口合せて、獅子の頭に擬似して戸々を巡り、その祭りおわるときは、燎火にて焼棄やきすてたるなりと。
獅子舞雑考 (新字新仮名) / 中山太郎(著)
池田さんへ寄ったらほかほか湯気のたつのそばでおばあさんが麦を蒸していた。ねせておいて醤油をつくるのだそうだ。
島守 (新字新仮名) / 中勘助(著)
その時鍋の柄を片手に持ち片手で柄をトントンと叩くとオムレツが段々端へ寄ってその時鍋をのようにあおればひとりで柏餅かしわもちのようになります。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
わたしどもの沙地すなぢの上に雪が降ると、わたしは雪を掻き出して小さな一つの空地を作り、短い棒で大きなを支え、小米を撒きちらしておきます。
故郷 (新字新仮名) / 魯迅(著)
「オオ!」と顔を寄せあうと、二人の間へ、ザア——とけたような砂礫されきが落ちてきた。それをかき落して、また穴口を作りながら、甲賀世阿弥。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
亭主は四十五六位の正直な男で、せつせとで大豆や小豆あづきに雑つてゐる塵埃ごみふるつてゐるのを人々はよく見かけた。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
そうこうしているうちに、向うから一人の掘子ほりこが来た。ばらのあかがねをスノコへ運ぶ途中と見えて例のいてよちよちカンテラをりながら近づいた。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
島がを振るように震動し、焼山から火を噴いて、三日の間、灰と岩石を降らした。みな東の入江に逃げ、三日三晩、首まで海につかって熱気をふせいだ。
藤九郎の島 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「お前等、えい所へ行くんじゃ云うが、結構なこっちゃ。」古いや桶を貰った隣人は羨しそうに云った。
老夫婦 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
人形どもは鎌でそれを刈りとって穂をこき、籾をつき、それをにかけてまたたくまに数升の米にした。
怪しき旅僧 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ところどころ籾殻もみがらであおっている。鶏は喜んであっちこちこぼれた米をひろっている。子供が小流で何か釣っている。「ふなか。」「ウン。」精の友達らしい。
鴫つき (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
一と渡り日常に要る器物がさまざまな姿を見せて山と陳列されます。や、ざるや、靴や、くしや、鳥籠や、虫入れに至るまで、あらゆるものが買手を待っています。
北支の民芸(放送講演) (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
古莚ふるむしろに山と積んだ、汚ない細かい鉄屑かなくず塵埃ごみと一緒にで釜の中へはかりこまれると、ギラギラした銀色の重い水に解けてゆくのを、いくら見ていてもきなかった。
わちきは母と一緒に上野の先のという処へ参りましたは、前々ぜん/\勤めていた家来のうちで有りますから、そこへ往って暫く厄介になって居ます内に、母がわずらい付きましたが
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
家族を率いて次から次へと雨露を凌ぐに足る様な適当な岩窟いわやや、塚穴つかあななどを見付けて臨時の住家すみかとし、ざる竹籠たけかごなどを造っては、その付近二三里の場所を売って歩く。
とおくの百舌もずの声なのか、北上きたかみ川のの音か、どこかでまめにかけるのか、ふたりでいろいろ考えながら、だまっていてみましたが、やっぱりどれでもないようでした。
ざしき童子のはなし (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
眞つくろな空から粉のやうな雪が、誰かの言葉だが、まるでから撒くやうに降つてくる。
地方主義篇:(散文詩) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
兄はきまった癖で口小言を言いつつ、大きなで倉からずんずんもみを庭に運ぶ。あとから姉がその籾を広げて回る。満蔵は庭の隅から隅まで、藁シブを敷いてその上にむしろを並べる。
隣の嫁 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
正午前の田舎の日光は廊下の左右の戸口からさし込んでまぶしかった。柱にもたせて洗った米がに一ぱい水を切る為に置いてあった。粒米はもう陽に膨れてかすかな虹の湯気を立てて居た。
百喩経 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
あんた方は連枷からさをで麦を打ち、るのが仕事だったのに、今のものは機械で打ち、唐箕とうみを使っている。あんた方はお祭の日にしか休みを取らなかったのに、今のものは、それをぶつくさ言う
母はそれをあふる様だと穀物の塵を箕ではたく音にたとへて言つた。通りすがりに聞きつけて「お桐さん苦しいかの。」と一寸立止つて行く者もあつた。けれども誰も長く停る者はなかつた。
厄年 (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
(第五)さら或はの如きかたちにして長徑一尺許の者。(之を石皿と呼ぶ)
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
麥をあふりわける時の匂もする。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
其頃そのころからつかした)
このしろうおをいたゞき 杜国
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
「世間の人が、お金が無くって困ると口癖に言いやるけれど、いくらお金が無いと言いやる人でも、に一杯や二杯は持っていることだろう」
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
當日たうじつしろ狩衣かりぎぬ神官しんくわんひとり氏子うぢこ總代そうだいといふのが四五にんきまりの惡相わるさう容子ようすあとつい馬場先ばゞさきすゝんでつた。一にん農具のうぐつてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
辰さんは弟に命じて籾をに入れさせ、弟はそれを円い一斗桝に入れた。地主は腰をかがめながら、トボというものでその桝の上を丁寧にで量った。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
新左衛門のすくみ居たるを、小屋の外よりの如き手を出してつかみ上げ、遙かに投げ飛ばしたりと思へば気絶す。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
わしもちっと冷える気味でこちらへ無沙汰ぶさたをしたで、また心ゆかしにくるわを一まわり、それから例のへ行って、どうせこけの下じゃあろうけれど、ぶッつかり放題
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
自分達がそのそばまで近づいた時、黒い影の一つが、左の足と共に、精一杯前へ出した力をうしろへ抜く拍子ひょうしに、大きなを、はすげ返した。箕は足掛りの板の上に落ちた。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
人々が何十年も、土足で踏みつけ踏みつけして、凹凸を作っている倉内の地面にも、掘れば、なお食するに足る物がしまわれていた。でより分け、ふるいにかけて、洗いあげる。
日本名婦伝:谷干城夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
買わないでおくにしては余りに美し過ぎる。もう一つは大きなである。箕も南鮮のは翼が張って形に特色がある。中でもこの任実のは仕事がよく材料がよく色がよかった。
全羅紀行 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
同じ都会人にもで振る籾殻もみがらのように風に吹き寄せられる人種もあれば、粘り撓みしながらも最後の一筋だけは頑強に根付く人種もあり、どうしても蝶ちゃんは後の人種だと言ったのを、うわの空で
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
かかへ女出て来ぬ花菖蒲
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
音作はの中へ籾を抄入すくひいれて、其を大きな円形の一斗桝へうつす。地主は『とぼ』(丸棒)を取つて桝の上を平にはかつた。俵の中へは音作の弟が詰めた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ところが、の形の、一方はそれ祭礼まつりに続く谷のみちでございましょう。その谷の方に寄った畳なら八畳ばかり、油が広くにじんだていに、草がすっぺりと禿げました。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
を抱えたままで振返ると、そこに真黒い人影が、いっぱいに立ちはだかっているのを見ました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
秋田県の農具で見るべきものはであります。南秋田郡太平おいだら村黒沢の産が一番でありましょう。真白な「いたや」で綺麗に編みます。角館近くの雲然くもしかり村も同じ技を有ちます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
苗代なわしろの真中であったのが、後々水口みなくちから田のくろの一部に移り、さらに家の中でうすを伏せをあおのけ、または床の間や神棚の上でも、祭をするようになったものと私は見ている。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
彼等かれら目鼻めはなにしみるあをけぶりなか裸體はだかまゝ凝然ぢつとしてる。けぶり餘所よそれゝばあふつていへうちむかはせた。おつぎは勝手かつて始末しまつをしてそれから井戸端ゐどばたで、だら/\とれるあせみづぬぐつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「お父上が当らなければ、誰かが出て、難局に当りましょう。すぐれた剣人は、一世にそう何人も出るものではないが、なあに、大目付ぐらいやる政道家は、で掃くほど代りがあります。よい加減に、御退役なされてはどうですか」
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)