)” の例文
「なにが、無態だ。なんじらの馬鹿げた迷妄を、の勇をもって、ましてくるるのがなんで無態か。鍛冶かじを呼んで、くさりを切らせろ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そちがおればこそも枕を高くして、安臥やすうしておられるのだ。決して、寝所の帳か番犬のように、忘れ果てていたわけじゃない」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「朕の不徳は、ただ自らをうらむほかはないが、不才なりといえ、いずくんぞ祖宗の大業を棄つるに忍びん。ただ公計に議せよ」
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「鳴るわ。四更のせいか、常よりもいちだんと冴えて鳴る。……さい、が一さし舞おう程に、そなた、敦盛あつもりの一節をそれにて調べよ」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「相談するがよい。が世話しようという聟どのは、ふしぎや寧子が生家とも同苗どうみょうの木下藤吉郎。そちもよう見知ってる男じゃが」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「はははは。許す、許す。もう顔を上げい。——いや待て待て、革足袋かわたびひもが解けておる。権六、ついでに結んでくりゃれ」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「久しゅう会わんので、もこんどの機会にはと、たのしみに立ち寄るわけだが……。そうそう、菊王はまだ、頼春を見知っておるまいな」
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「オ、左中将よの。よいところへ見えた。後刻、そちの陣所の彼岸所ひがんじょへ、に代って、公卿たちをつかわすところであったが」
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
吉宗が生あるうちには、きっと、牢に人なき世を作って見せるであろう。それを以て、過去の怨念おんねんの民は、をゆるしてくれよ
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そちもまた、いささかの心をみ誤っているのではないか。いや、そもそもから、事は、そちにもはかるべきであったろう。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……とは申せ、が都返りのため、そちがさかしまに朝敵となり賊軍視されてはなるまい。ついては、ちんの位をこのさい皇太子にゆずっておこう。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
汝らはおのおの一万騎をつれて、今夜、側面から祁山の本陣へかかれ。は正面から当って、一挙に彼の中核をつき崩さん
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お言葉ではござるが、のような浪々武士とは違い、将軍家御指南の宗家、その儀は迷惑、平にご用捨にあずかりたい」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「むしろ、こよいの不慮は、の本意ぞ。かかることでもなければ、めったに、動座も思い立てぬ。すぐ、したくせよ」
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
親房の一徹いってつにはからして少々まいる。第一政治の直裁は、人間でなければできぬ。——其許そこがしきりと憎む尊氏にも、よいところはあると思う。
「前の月には、西美濃の津島祭つしままつり堀田道空ほったどうくうたちまで、祭見に参って、も忍びすがたで、踊りぬいたが、踊りはよいもの、日吉祭が待ち遠いのう」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼はもう今の位置に事足りて、ただ余生の無事安穏を祈っておるため、そんな保守的な論をにもすすめるのかもしれん
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
は亡き義朝が末子、幼名を牛若といい、兄頼朝とは平治の乱にわかれ、鞍馬に育ち、奥州みちのく秀衡ひでひらもとにて人となり、今、源九郎義経と名のる者。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おさしつかえなくば、のやしきへ、ちょっと、お立寄り下さらぬか。路傍ではお話しできぬかずかずな話もある」
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「はははは、疑うはもっともじゃが、そち一身にかかわったことではない。何も申さず立帰って、石舟斎にが書面をわたし、そのうえのこととせよ」
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そうか。……そちの言葉を聞いて、もどうやら先生の庵を訪うてみたくなった。童子、わしを案内して参らぬか」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「犬猫ではあるまいに、じぶんが産ませた子を忘れているやつがあろうか。……道誉からは聞いておる。そちにはもうひとりの男の子があるはずだ」
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いまは会うこと成らぬが、が隠居でもした後には、ゆるゆる会ってつかわそう——と、かように惣左衛門どのへっしゃったことがおありだそうで」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
人もあろうに、あなたを鎌倉方へ二の足か、などと申したのはの言いすぎ。つゆ、そのような疑いは持たぬ。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「一守護の権限などで、扱いをままにできるはずはない。それも不審。いちどその男を、の前に連れまいれ」
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が参る時に、そちの乗馬によう似た栗毛が、駒繋ぎにつないであったが——やはりそちのものであったか」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「さ。申してみい。が、何で悪の源か。詭弁きべんは、ゆるさんぞ。いささかたりと、口濁くちにごしたら斬り捨てるぞ」
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
受け継いでくれいというような相談でもあるのかな? ……。そうかも知れぬ。を措いて、秀吉が天下人などに坐ったらおかしい。第一、世間がゆるさぬわさ
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
汝は、いとけなき頃より兵書を読んで、さいひいで、よく戦策を暗誦そらんじ、もまた、教うるにやぶさかでなかった。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そんな事、だれが世間へ密かにしていた。隠し事でも何でもない。六波羅殿のおことばで、に再嫁したことは、隠れもないおおやけの沙汰じゃ。——何を今さら」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おそらくは、帝にしても「これから先、隠岐ノ島とやらで、の監視役として付く武者とはどんな男?」
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「このたびの敗れは、すべてこれ、の落度にほかならぬ。御辺にも、るいわずらわしたが、ゆるされい」
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「まあ、まあ。さかずきは下におけ。そう酒ばかりすすめんでもよい。このたびの下向げこうにとっても、重大なちょくの勤め。さきに飛脚しておいたくだ令状ぶみも見たであろうが」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
充分に休ませ、然る後猛然と蜀軍へ突っこめ。——もまた強兵をすぐって第二陣に続くであろう
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「しかしが還るまいとしても、いつかはきっと迎えが来る。大挙、宮方の軍勢がこれへの」
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
は、新宮十郎行家ゆきいえといい、佐殿には、叔父にあたる者だ。都から訪ねて来たと通じてくれい
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「急攻の見込みなくば、いったん岐阜ぎふへ引揚げよと、父の信長よりさしずが参っておる。持久策と事きまる上は、そちに任せて、は一時、岐阜表へ立ち帰ることにいたす」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「たれでもよい。はやく、いましめを、解いてくれい。憚らいでもいい。入れ……早く」
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「はッははは」高時は奇声をあげ——「この男、思いのほか荒駒らしい。かつての、鳥合ヶ原では、の愛犬に咬みつかれて、逃げまろんだが、酒の上では、存外なところもある」
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところが、臣下の田豊でんほうが、いさめていうには、今は攻めるよりも守る時期である。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
に弓を引く者のつら見せい。信長はこれにあるぞッ。——佐渡、美作みまさか、権六のともがら。何ほどの力やある。何ほどの思慮やあってそむくッ。わが前へ来ってその太刀振りを見せいッ」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「五左衛門と五兵衛とに、急いで、まいちどの部屋へ、参るように云ってこい」
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おういっ。松明たいまつをとぼせ。一同、松明を持って、のあとから進んで来いっ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
で——が所領する讃岐国さぬきのくに小松の庄へお預かり申したいと、実は、先ごろから朝廷へお願いいたしてあったところ、昨夜おそく、評定所において、願いの儀ゆるすとの御決定がござった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
云いやる使者として、が腹心の不破彦三、金森五郎八の二名に、前田又左衛門利家を添えてつかわそうとは……これはもう協議の折、とりきめたことじゃあるが。……さて、どうあろう?
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「つつむまい。いかにも日野右少弁ひのうしょうべんだが、そちが告げたい真意は何か」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
はとうてい、その生れにあらず、万乗をぐはただ万乗の君あるのみ」
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
殺そうとの一念らしいが、なんぞ知らん、は宮方の武士に厚く守られておる。それのみか、そちの後ろにはさっきから太刀にりを打たせて、そちの身をめすましておる者どもがおるのだぞ
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まだいたな。いちばん上の不知哉丸とか、これも鎌倉へまとめておこう。そうだ。の侍臣三、四名を三河一色村へさしつかわす。そちが上洛の途中でよい。高時の使いの者へ、不知哉丸の身を
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ようお訪ね下された。にとっては思いがけぬ珍客。まずまず……」
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)