)” の例文
世界優秀な科學と威力の鐵壁、その中に住んでも、人間は、遂に、一穗のあかし——精神の燈火——それが無くては居られないものだといふ實際を僕は軍艦の中で觀た。
折々の記 (旧字旧仮名) / 吉川英治(著)
耳をかしているのかいないのか、その長いはなしの間を、光秀は拝殿の奥にゆらぐあかしを見つめていた。そして黙然と起つともうきざはしくだっていた。すでに宵闇よいやみがふかい。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
道場の正面にある「八幡大菩薩」の神だなに、ぽっと、あかしがともった。しかし、その燈明さえ、晃々あかあかとした光がなかった。弔火ちょうかのように眼にうつって、不吉なかさがかかっている気がするのである。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
禰宜ねぎは先に立って、拝殿のきざはしを踏み、あかしをともした。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)