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實
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み
ふりがな文庫
“
實
(
み
)” の例文
新字:
実
跡にて
口善惡
(
くちさが
)
なき女房共は、少將殿こそ
深山木
(
みやまぎ
)
の中の楊梅、
足助殿
(
あすけどの
)
こそ
枯野
(
かれの
)
の
小松
(
こまつ
)
、何れ花も
實
(
み
)
も有る
武士
(
ものゝふ
)
よなどと言い合へりける。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
昔はかの僧院、これらの天のため、
實
(
み
)
をさはに結びしに、今はいと空しくなりぬ、かゝればその
状
(
さま
)
必ず直に
顯
(
あら
)
はれん 一一八—一二〇
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
一寸
(
ちよつと
)
、
靴
(
くつ
)
の
先
(
さき
)
へ
團栗
(
どんぐり
)
の
實
(
み
)
が
落
(
お
)
ちたやうな
形
(
かたち
)
らしい。
但
(
たゞ
)
しその
風丰
(
ふうばう
)
は
地仙
(
ちせん
)
の
格
(
かく
)
、
豫言者
(
よげんしや
)
の
概
(
がい
)
があつた。
小狡
(
こざか
)
しき
目
(
め
)
で、じろりと
視
(
み
)
て
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
夜
(
よる
)
になると
方々
(
ほう/″\
)
を
歩
(
ある
)
き
廻
(
まは
)
つて、
筍
(
たけのこ
)
、
松茸
(
まつたけ
)
、
芋
(
いも
)
、
稻
(
いね
)
、
大豆等
(
だいずなど
)
の
農作物
(
のうさくぶつ
)
をあらしたり、
木
(
き
)
の
實
(
み
)
を
食
(
く
)
ひ、
野鼠
(
のねずみ
)
、
兎
(
うさぎ
)
なども
捕
(
とら
)
へて
餌食
(
ゑじき
)
にします。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
今
(
いま
)
まで
水
(
みづ
)
を
汲
(
く
)
んだり、それを
保存
(
ほぞん
)
するには
椰子
(
やし
)
の
實
(
み
)
の
殼
(
から
)
のようなものとか、
貝類
(
かひるい
)
の
殼
(
から
)
とかを
使
(
つか
)
ふことの
他
(
ほか
)
はなかつたのであります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
▼ もっと見る
渠
(
かれ
)
がまだ故郷にゐた時、姉や友達につれられて、山へ
椎
(
しひ
)
の
實
(
み
)
を拾ひに行つたことが度々あるが、その椎の實の味を思ひ出す樣な味がする。
泡鳴五部作:04 断橋
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
やゝ
暫
(
しばら
)
くすると大きな無花果の
實
(
み
)
が
少年
(
こども
)
の
頬
(
ほゝ
)
の上に
落
(
お
)
ちた。
見
(
み
)
るからして
菫
(
すみれ
)
の
色
(
いろ
)
つやゝかに
蜜
(
みつ
)
のやうな
香
(
かほり
)
がして
如何
(
いか
)
にも
甘味
(
うま
)
さうである。
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
その
度
(
たび
)
に、
榎木
(
えのき
)
の
實
(
み
)
が
葉
(
は
)
と一
緒
(
しよ
)
になつて、パラ/\パラ/\
落
(
お
)
ちて
來
(
き
)
ましたが、どれもこれも、まだ
青
(
あを
)
くて
食
(
た
)
べられないのばかりでした。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
河楊
(
かはやなぎ
)
が
痩
(
や
)
せて、
赤
(
あか
)
い
實
(
み
)
を
隱
(
かく
)
した
枸杞
(
くこ
)
の
枝
(
えだ
)
がぽつさりと
垂
(
た
)
れて、
大
(
おほ
)
きな
蓼
(
たで
)
の
葉
(
は
)
が
黄色
(
きいろ
)
くなつて
居
(
ゐ
)
る
岸
(
きし
)
へ
船
(
ふね
)
はがさりと
舳
(
へさき
)
を
突
(
つ
)
つ
込
(
こ
)
んだのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
さはいへ大麥の花が咲き、からしの花も
實
(
み
)
となる
晩春
(
ばんしゆん
)
の名殘惜しさは青くさい芥子の
萼
(
うてな
)
や新らしい
蠶豆
(
そらまめ
)
の香ひにいつしかとまたまぎれてゆく。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
廣大無邊の
旋渦
(
おほうづ
)
の爲、朦朧として絶えず輪轉する波の上、
窠
(
あな
)
を脱け飛んだ眼球や燐の光を放つ
木
(
こ
)
の
實
(
み
)
の殼が浚はれて浮きつ、沈みつ
踠
(
もが
)
いてゐる。
さしあげた腕
(旧字旧仮名)
/
レミ・ドゥ・グルモン
(著)
起
(
き
)
曰
(
いは
)
く、『百
官
(
くわん
)
を
治
(
をさ
)
め、
萬民
(
ばんみん
)
を
親
(
した
)
しましめ、
(九一)
府庫
(
ふこ
)
を
實
(
み
)
たすは、
子
(
し
)
、
起
(
き
)
に
孰
(
いづ
)
れぞ』と。
文
(
ぶん
)
曰
(
いは
)
く、『
子
(
し
)
に
如
(
し
)
かず』と。
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
また天皇、
三宅
(
みやけ
)
の
連
(
むらじ
)
等が祖、名は
多遲摩毛理
(
たぢまもり
)
一
を、
常世
(
とこよ
)
の國
二
に遣して、時じくの
香
(
かく
)
の
木
(
こ
)
の
實
(
み
)
三
を求めしめたまひき。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
銀杏の葉の散る神宮外苑をうそ寒く歩いてゐた時も、島民共と石燒のパンの
實
(
み
)
にむしやぶりついてゐる時も、お前は何時もお前だ。少しも變りはせぬ。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
或
(
ある
)
ひは
足下
(
おぬし
)
の
目
(
め
)
の
色
(
いろ
)
が
榛色
(
はしばみいろ
)
ぢゃによって、そこで
相手
(
あひて
)
が
榛
(
はしばみ
)
の
實
(
み
)
を
噛割
(
かみわ
)
ったと
言
(
い
)
ふだけの
事
(
こと
)
で、
鬪爭
(
けんくわ
)
を
買
(
か
)
ひかねぬ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
植物質
(
ちよくぶつしつ
)
のものにして今日迄に
石器時代遺跡
(
せききじだいいせき
)
より發見されたるは
菱
(
ひし
)
の
實
(
み
)
、胡桃の
實
(
み
)
、及び一種の
水草
(
すいさう
)
の類にして、是等は
唯
(
ただ
)
有りの
儘
(
まま
)
の形にて
存在
(
そんざい
)
したるのみ。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
林檎の木よ、
發情期
(
はつじやうき
)
の壓迫で、身の内が
熱
(
ほて
)
つて重くなつた
爛醉
(
らんすゐ
)
、
情
(
なさけ
)
の
實
(
み
)
の
房
(
ふさ
)
、
粒
(
つぶ
)
の
熟
(
じゆく
)
した葡萄の
實
(
み
)
、
寛
(
ゆる
)
んだ帶の
金具
(
かなぐ
)
、花を飾つた酒樽、葡萄色の蜂の
飮水場
(
みづのみば
)
。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
申て見れば
實
(
み
)
も
蓋
(
ふた
)
もなき
譯
(
わけ
)
勘辨
(
かんべん
)
して
云
(
いは
)
ずに居るが花なり
何
(
どう
)
か離縁状を出して下されと云に番頭久兵衞は
空眠
(
そらねぶ
)
りをして居たりしが
否
(
いな
)
其事
(
そのこと
)
は前々より申通り
親
(
おや
)
亭主
(
ていしゆ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
夜
(
よる
)
の
色
(
いろ
)
にその
葉
(
は
)
の
緑
(
みどり
)
は
黒
(
くろ
)
ずみ、
可愛
(
かあい
)
らしい
珊瑚珠
(
さんごじゆ
)
のやうな
赤
(
あか
)
い
實
(
み
)
も
眠
(
ねむ
)
たげではあるけれど、
荒涼
(
くわうりやう
)
たる
冬
(
ふゆ
)
に
於
(
お
)
ける
唯
(
ゆゐ
)
一の
彩
(
いろど
)
りが、
自然
(
しぜん
)
の
野
(
の
)
からこの
部屋
(
へや
)
に
移
(
うつ
)
されて
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
契
(
ちぎ
)
りは
深
(
ふか
)
き
祖先
(
そせん
)
の
縁
(
えん
)
に
引
(
ひ
)
かれて
樫
(
かし
)
の
實
(
み
)
の
一人子同志
(
ひとりこどうし
)
、いひなづけの
約
(
やく
)
成立
(
なりたち
)
しはお
高
(
たか
)
がみどりの
振分髮
(
ふりわけがみ
)
をお
煙草盆
(
たばこぼん
)
にゆひ
初
(
そ
)
むる
頃
(
ころ
)
なりしとか、さりとては
長
(
なが
)
かりし
年月
(
としつき
)
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
土器
(
どき
)
にキツチリ
合
(
あ
)
つた
儘
(
まゝ
)
で
蓋
(
ふた
)
は
未
(
ま
)
だ
發見
(
はつけん
)
されて
居
(
を
)
らぬ。
實
(
み
)
は
實
(
み
)
、
蓋
(
ふた
)
は
蓋
(
ふた
)
として
出
(
で
)
て
居
(
ゐ
)
るが、
形式
(
けいしき
)
から
考
(
かんが
)
へても、
如何
(
どう
)
しても
土器
(
どき
)
の
蓋
(
ふた
)
でなければならぬ
物
(
もの
)
が
各所
(
かくじよ
)
から
出
(
で
)
て
居
(
ゐ
)
る。
探検実記 地中の秘密:04 馬籠と根方
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
私が行くと、寢臺の
下
(
した
)
へ、あわてて蜜柑の皮が山のやうになつてゐるお盆を押しかくしたが、苦しがつて吐いた蜜柑の汁が、
實
(
み
)
が、顏にくつついてゐて、すぐさま露見したことがあるのだ。
あるとき
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
それは
五人
(
ごにん
)
とも
別々
(
べつ/\
)
で、
石造皇子
(
いしつくりのみこ
)
には
天竺
(
てんじく
)
にある
佛
(
ほとけ
)
の
御石
(
みいし
)
の
鉢
(
はち
)
、
車持皇子
(
くらもちのみこ
)
には
東海
(
とうかい
)
の
蓬莱山
(
ほうらいさん
)
にある
銀
(
ぎん
)
の
根
(
ね
)
、
金
(
きん
)
の
莖
(
くき
)
、
白玉
(
しらたま
)
の
實
(
み
)
をもつた
木
(
き
)
の
枝
(
えだ
)
一本
(
いつぽん
)
、
阿倍
(
あべ
)
の
右大臣
(
うだいじん
)
には
唐土
(
もろこし
)
にある
火鼠
(
ひねずみ
)
の
皮衣
(
かはごろも
)
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
縁さきに見ごとなゆすらうめの木があり、ぎつしりなつた實の色づいてゐるのを見てゐるうちに不意にお前は生れたのだ、と母はよくその縁さきの美しい
木
(
こ
)
の
實
(
み
)
の熟れるのを見ては私に語つた。
たべものの木
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
野にゆきては
茨
(
いばら
)
のうちなる赤き
實
(
み
)
を
啄
(
ついば
)
み、窓に上りては盆栽の
薔薇花
(
さうびくわ
)
に
止
(
と
)
まりてこそ、鳥は
健
(
すこや
)
かにてあるものなれ。わが胸の鳥の樂を血の中に歌ひ
籠
(
こ
)
めて、我におもしろく世を渡らするを見ずや。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
わがゆくかたは、
野胡桃
(
のぐるみ
)
の
實
(
み
)
は
笑
(
ゑ
)
みこぼれ
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
「私ですよ、
實
(
み
)
は大根と
揚
(
あ
)
げで——」
銭形平次捕物控:144 茶碗割り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
花もなく、つひに
實
(
み
)
もなし。——
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
菱の
實
(
み
)
おつる沼なれば
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
なんとこの
榎木
(
えのき
)
の
下
(
した
)
には
好
(
い
)
い
實
(
み
)
が
落
(
お
)
ちて
居
(
ゐ
)
ませう。
澤山
(
たくさん
)
お
拾
(
ひろ
)
ひなさい。
序
(
ついで
)
に、
私
(
わたし
)
も
一
(
ひと
)
つ
御褒美
(
ごはうび
)
を
出
(
だ
)
しますよ。それも
拾
(
ひろ
)
つて
行
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
椿
(
つばき
)
の
梢
(
こずゑ
)
には、つい
此
(
こ
)
のあひだ
枯萩
(
かれはぎ
)
の
枝
(
えだ
)
を
刈
(
か
)
つて、その
時
(
とき
)
引殘
(
ひきのこ
)
した
朝顏
(
あさがほ
)
の
蔓
(
つる
)
に、
五
(
いつ
)
つ
六
(
む
)
つ
白
(
しろ
)
い
實
(
み
)
のついたのが、
冷
(
つめた
)
く、はら/\と
濡
(
ぬ
)
れて
行
(
ゆ
)
く。
湯どうふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
幸
(
さいはひ
)
にして
一人
(
ひとり
)
では
食
(
く
)
ひきれぬ
程
(
ほど
)
の
實
(
み
)
が
房々
(
ふさ/\
)
と
實
(
な
)
つて
居
(
ゐ
)
るので
其
(
その
)
憂
(
うれひ
)
もなく、
熟過
(
つえすぎ
)
た
實
(
み
)
がぼて/\と地に
落
(
お
)
ちて
蟻
(
あり
)
の
餌
(
ゑ
)
となり
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
ベアトリーチェ
曰
(
い
)
ふ。見よ、クリストの凱旋の軍を、またこれらの球の
𢌞轉
(
めぐり
)
によりて刈取られし一切の
實
(
み
)
を。 一九—二一
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
黄泉比良坂
(
よもつひらさか
)
の
坂本
(
さかもと
)
まで來た時に、その坂本にあつた桃の
實
(
み
)
を三つとつてお撃ちになつたから皆逃げて行きました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
例
(
たと
)
へば
日比谷公園
(
ひゞやこうえん
)
横
(
よこ
)
の
道路
(
どうろ
)
や、
青山赤坂通
(
あをやまあかさかどほ
)
りなどに
植
(
う
)
ゑてある
鈴
(
すゞ
)
を
下
(
さ
)
げたような
實
(
み
)
のなる
並木樹
(
なみきぎ
)
として
立派
(
りつぱ
)
なすゞかけの
木
(
き
)
は、
明
(
あか
)
るい
淡緑色
(
たんりよくしよく
)
をしてゐます。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
その
蓮華
(
れんげ
)
の
模樣
(
もよう
)
も
中央
(
ちゆうおう
)
の
實
(
み
)
の
方
(
ほう
)
が
非常
(
ひじよう
)
に
大
(
おほ
)
きい
形
(
かたち
)
のものもあり、
花瓣
(
かべん
)
の
恰好
(
かつこう
)
も
大
(
たい
)
そう
美
(
うつく
)
しく、
蔓草
(
つるくさ
)
の
形
(
かたち
)
も
非常
(
ひじよう
)
によく
出來
(
でき
)
、その
彫
(
ほ
)
りかたも
強
(
つよ
)
く
立派
(
りつぱ
)
であります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
思
(
おも
)
ひの
儘
(
まゝ
)
に
枝葉
(
えだは
)
を
擴
(
ひろ
)
げた
獨活
(
うど
)
の
實
(
み
)
へ
目白
(
めじろ
)
の
聚
(
あつま
)
つて
鳴
(
な
)
くのが
愉快
(
ゆくわい
)
らしくもあれど、
何
(
なん
)
となく
忙
(
いそが
)
しげであつて
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
桃の
實
(
み
)
の色の
薔薇
(
ばら
)
の花、
紅粉
(
こうふん
)
の
粧
(
よそほひ
)
でつるつるした
果物
(
くだもの
)
のやうな、桃の
實
(
み
)
の色の
薔薇
(
ばら
)
の花、いかにも
狡
(
ずる
)
さうな
薔薇
(
ばら
)
の花、吾等の齒に毒をお塗り、
僞善
(
ぎぜん
)
の花よ、
無言
(
むごん
)
の花よ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
しかしあの
赤
(
あか
)
い
水々
(
みづ/″\
)
した
實
(
み
)
は、
長
(
なが
)
い/\
野山
(
のやま
)
の
雪
(
ゆき
)
が
消
(
き
)
えるまでの
間
(
あひだ
)
を、
神
(
かみ
)
が
小鳥達
(
ことりたち
)
の
糧食
(
りやうしよく
)
にと
備
(
そな
)
へられたものではないかと
思
(
おも
)
ふと、
痛々
(
いた/\
)
しく
鉈
(
なた
)
を
入
(
い
)
れた
人
(
ひと
)
の
罪
(
つみ
)
が
恐
(
おそ
)
ろしい。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
ロミオ
姫
(
ひめ
)
よ、あの
實
(
み
)
を
結
(
むす
)
ぶ
樹々
(
きゞ
)
の
梢
(
こずゑ
)
の
尖々
(
さき/″\
)
をば
白銀色
(
しろがねいろ
)
に
彩
(
いろど
)
ってゐるあの
月
(
つき
)
を
誓語
(
ちかひ
)
に
懸
(
か
)
け……
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
思ふにコロボツクルは是等の
石器
(
せきき
)
を用ゐて
草木
(
さうもく
)
の
實
(
み
)
を
壓
(
を
)
し
潰
(
つぶ
)
し
食用
(
しよくえう
)
の
粉
(
こ
)
を
製
(
つく
)
りしならん。石皿の
名
(
な
)
は
决
(
けつ
)
して
適切
(
てきせつ
)
には非ざれど、
他
(
た
)
に
好
(
よ
)
き名を
思
(
おも
)
ひ付かざれば
姑
(
しばら
)
く
通稱
(
つうしやう
)
に從ふのみ。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
商
(
あきな
)
ひ仕つり候と申立るを大岡殿季節の商賣と云ふは何を
賣
(
うり
)
て渡世に致候やと申されしかば夏は
瓜
(
うり
)
西瓜
(
すゐくわ
)
桃
(
もゝ
)
の
實
(
み
)
の
類
(
るゐ
)
秋
(
あき
)
は
梨子
(
なし
)
柿
(
かき
)
の類など商賣仕つると申せども
自然
(
おのづから
)
言語
(
ごんご
)
濁
(
にごる
)
故
(
ゆゑ
)
イヤ其方家内を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
何の奧樣一の忠義振かと腹は立どさすが
襟
(
えり
)
かき合せ店に奧に二度三度心ならずもよろこび述て扨孃樣よりと、
包
(
つゝみ
)
ほどけば、父親の
好
(
このみ
)
戀人の意匠、おもとの
實
(
み
)
七づゝ四分と五分の
無疵
(
むきず
)
の珊瑚
うづみ火
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
されどもお
美尾
(
みを
)
が
病氣
(
びやうき
)
はお
目出度
(
めでたき
)
かた
成
(
なり
)
き、三四
月
(
がつ
)
の
頃
(
ころ
)
より
夫
(
そ
)
れとは
定
(
さだ
)
かに
成
(
な
)
りて、いつしか
梅
(
うめ
)
の
實
(
み
)
落
(
おつ
)
る
五月雨
(
さみだれ
)
の
頃
(
ころ
)
にも
成
(
な
)
れば、
隣近處
(
となりきんじよ
)
の
人々
(
ひと/\
)
よりおめで
度
(
た
)
う
御座
(
ござ
)
りますと
明
(
あき
)
らかに
言
(
い
)
はれて
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
況
(
ま
)
してや瀧口殿は何思ひ立ちてや、世を捨て給ひしと專ら評判高きをば、御身は未だ聞き給はずや。
世捨人
(
よすてびと
)
に情も義理も
要
(
い
)
らばこそ、花も
實
(
み
)
もある重景殿に只〻一言の
色善
(
いろよ
)
き
返
(
かへ
)
り
言
(
ごと
)
をし給へや。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
その深い木立の下草に諸所
木苺
(
きいちご
)
の
實
(
み
)
がまつ黄に熟れてゐた。
梅雨紀行
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
倉廩
(
さうりん
)
實
(
み
)
ちて
禮節
(
れいせつ
)
を
知
(
し
)
り、
(一九)
衣食
(
いしよく
)
足
(
た
)
りて
榮辱
(
えいじよく
)
を
知
(
し
)
る。
国訳史記列伝:02 管晏列伝第二
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
落したる、さは紅き
實
(
み
)
の林檎、ああその林檎
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
やがて
葉
(
は
)
は
散
(
ち
)
り、
實
(
み
)
は
朽
(
く
)
ちぬ。
冬木
(
ふゆき
)
の
山
(
やま
)
に
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
戀の
實
(
み
)
したたり
薫
(
くん
)
ずるをや。
独絃哀歌
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
實
部首:⼧
14画
“實”を含む語句
眞實
事實
忠實
果實
現實
充實
信實
實家
情實
老實
實際
實行
實驗
瓜實顏
實例
實體
誠實
口實
現實的
實情
...