)” の例文
新字:
跡にて口善惡くちさがなき女房共は、少將殿こそ深山木みやまぎの中の楊梅、足助殿あすけどのこそ枯野かれの小松こまつ、何れ花もも有る武士ものゝふよなどと言い合へりける。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
昔はかの僧院、これらの天のため、をさはに結びしに、今はいと空しくなりぬ、かゝればそのさま必ず直にあらはれん 一一八—一二〇
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
一寸ちよつとくつさき團栗どんぐりちたやうなかたちらしい。たゞしその風丰ふうばう地仙ちせんかく豫言者よげんしやがいがあつた。小狡こざかしきで、じろりと
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
よるになると方々ほう/″\あるまはつて、たけのこ松茸まつたけいもいね大豆等だいずなど農作物のうさくぶつをあらしたり、ひ、野鼠のねずみうさぎなどもとらへて餌食ゑじきにします。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
いままでみづんだり、それを保存ほぞんするには椰子やしからのようなものとか、貝類かひるいからとかを使つかふことのほかはなかつたのであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
かれがまだ故郷にゐた時、姉や友達につれられて、山へしひを拾ひに行つたことが度々あるが、その椎の實の味を思ひ出す樣な味がする。
泡鳴五部作:04 断橋 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
やゝしばらくすると大きな無花果の少年こどもほゝの上にちた。るからしてすみれいろつやゝかにみつのやうなかほりがして如何いかにも甘味うまさうである。
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
そのたびに、榎木えのきと一しよになつて、パラ/\パラ/\ちてましたが、どれもこれも、まだあをくてべられないのばかりでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
河楊かはやなぎせて、あかかくした枸杞くこえだがぽつさりとれて、おほきなたで黄色きいろくなつてきしふねはがさりとへさきんだのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
さはいへ大麥の花が咲き、からしの花もとなる晩春ばんしゆんの名殘惜しさは青くさい芥子のうてなや新らしい蠶豆そらまめの香ひにいつしかとまたまぎれてゆく。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
廣大無邊の旋渦おほうづの爲、朦朧として絶えず輪轉する波の上、あなを脱け飛んだ眼球や燐の光を放つの殼が浚はれて浮きつ、沈みつもがいてゐる。
さしあげた腕 (旧字旧仮名) / レミ・ドゥ・グルモン(著)
いはく、『百くわんをさめ、萬民ばんみんしたしましめ、(九一)府庫ふこたすは、いづれぞ』と。ぶんいはく、『かず』と。
また天皇、三宅みやけむらじ等が祖、名は多遲摩毛理たぢまもりを、常世とこよの國に遣して、時じくのかくを求めしめたまひき。
銀杏の葉の散る神宮外苑をうそ寒く歩いてゐた時も、島民共と石燒のパンのにむしやぶりついてゐる時も、お前は何時もお前だ。少しも變りはせぬ。
あるひは足下おぬしいろ榛色はしばみいろぢゃによって、そこで相手あひてはしばみ噛割かみわったとふだけのことで、鬪爭けんくわひかねぬ。
植物質ちよくぶつしつのものにして今日迄に石器時代遺跡せききじだいいせきより發見されたるはひし、胡桃の、及び一種の水草すいさうの類にして、是等はただ有りのままの形にて存在そんざいしたるのみ。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
林檎の木よ、發情期はつじやうきの壓迫で、身の内がほてつて重くなつた爛醉らんすゐなさけふさつぶじゆくした葡萄のゆるんだ帶の金具かなぐ、花を飾つた酒樽、葡萄色の蜂の飮水場みづのみば
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
申て見ればふたもなきわけ勘辨かんべんしていはずに居るが花なりどうか離縁状を出して下されと云に番頭久兵衞は空眠そらねぶりをして居たりしがいな其事そのことは前々より申通りおや亭主ていしゆ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
よるいろにそのみどりくろずみ、可愛かあいらしい珊瑚珠さんごじゆのやうなあかねむたげではあるけれど、荒涼くわうりやうたるふゆけるゆゐ一のいろどりが、自然しぜんからこの部屋へやうつされて
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
ちぎりはふか祖先そせんえんかれてかし一人子同志ひとりこどうし、いひなづけのやく成立なりたちしはおたかがみどりの振分髮ふりわけがみをお煙草盆たばこぼんにゆひむるころなりしとか、さりとてはながかりし年月としつき
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
土器どきにキツチリつたまゝふた發見はつけんされてらぬ。ふたふたとしてるが、形式けいしきからかんがへても、如何どうしても土器どきふたでなければならぬもの各所かくじよからる。
私が行くと、寢臺のしたへ、あわてて蜜柑の皮が山のやうになつてゐるお盆を押しかくしたが、苦しがつて吐いた蜜柑の汁が、が、顏にくつついてゐて、すぐさま露見したことがあるのだ。
あるとき (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
それは五人ごにんとも別々べつ/\で、石造皇子いしつくりのみこには天竺てんじくにあるほとけ御石みいしはち車持皇子くらもちのみこには東海とうかい蓬莱山ほうらいさんにあるぎんきんくき白玉しらたまをもつたえだ一本いつぽん阿倍あべ右大臣うだいじんには唐土もろこしにある火鼠ひねずみ皮衣かはごろも
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
縁さきに見ごとなゆすらうめの木があり、ぎつしりなつた實の色づいてゐるのを見てゐるうちに不意にお前は生れたのだ、と母はよくその縁さきの美しいの熟れるのを見ては私に語つた。
たべものの木 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
野にゆきてはいばらのうちなる赤きついばみ、窓に上りては盆栽の薔薇花さうびくわまりてこそ、鳥はすこやかにてあるものなれ。わが胸の鳥の樂を血の中に歌ひめて、我におもしろく世を渡らするを見ずや。
わがゆくかたは、野胡桃のぐるみみこぼれ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
「私ですよ、は大根とげで——」
花もなく、つひにもなし。——
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
菱のおつる沼なれば
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
なんとこの榎木えのきしたにはちてませう。澤山たくさんひろひなさい。ついでに、わたしひと御褒美ごはうびしますよ。それもひろつてつてください。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
椿つばきこずゑには、ついのあひだ枯萩かれはぎえだつて、そのとき引殘ひきのこした朝顏あさがほつるに、いつしろのついたのが、つめたく、はら/\とれてく。
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さいはひにして一人ひとりではひきれぬほど房々ふさ/\つてるのでそのうれひもなく、熟過つえすぎがぼて/\と地にちてありとなり
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
ベアトリーチェふ。見よ、クリストの凱旋の軍を、またこれらの球の𢌞轉めぐりによりて刈取られし一切のを。 一九—二一
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
黄泉比良坂よもつひらさか坂本さかもとまで來た時に、その坂本にあつた桃のを三つとつてお撃ちになつたから皆逃げて行きました。
たとへば日比谷公園ひゞやこうえんよこ道路どうろや、青山赤坂通あをやまあかさかどほりなどにゑてあるすゞげたようなのなる並木樹なみきぎとして立派りつぱなすゞかけのは、あかるい淡緑色たんりよくしよくをしてゐます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
その蓮華れんげ模樣もよう中央ちゆうおうほう非常ひじようおほきいかたちのものもあり、花瓣かべん恰好かつこうたいそううつくしく、蔓草つるくさかたち非常ひじようによく出來でき、そのりかたもつよ立派りつぱであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
おもひのまゝ枝葉えだはひろげた獨活うど目白めじろあつまつてくのが愉快ゆくわいらしくもあれど、なんとなくいそがしげであつて
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
桃のの色の薔薇ばらの花、紅粉こうふんよそほひでつるつるした果物くだもののやうな、桃のの色の薔薇ばらの花、いかにもずるさうな薔薇ばらの花、吾等の齒に毒をお塗り、僞善ぎぜんの花よ、無言むごんの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
しかしあのあか水々みづ/″\したは、ながい/\野山のやまゆきえるまでのあひだを、かみ小鳥達ことりたち糧食りやうしよくにとそなへられたものではないかとおもふと、痛々いた/\しくなたれたひとつみおそろしい。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
ロミオ ひめよ、あのむす樹々きゞこずゑ尖々さき/″\をば白銀色しろがねいろいろどってゐるあのつき誓語ちかひけ……
思ふにコロボツクルは是等の石器せききを用ゐて草木さうもくつぶ食用しよくえうつくりしならん。石皿のけつして適切てきせつには非ざれど、き名をおもひ付かざればしばら通稱つうしやうに從ふのみ。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
あきなひ仕つり候と申立るを大岡殿季節の商賣と云ふは何をうりて渡世に致候やと申されしかば夏はうり西瓜すゐくわもゝるゐあき梨子なしかきの類など商賣仕つると申せども自然おのづから言語ごんごにごるゆゑイヤ其方家内を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
何の奧樣一の忠義振かと腹は立どさすがえりかき合せ店に奧に二度三度心ならずもよろこび述て扨孃樣よりと、つゝみほどけば、父親のこのみ戀人の意匠、おもとの七づゝ四分と五分の無疵むきずの珊瑚
うづみ火 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
されどもお美尾みを病氣びやうきはお目出度めでたきかたなりき、三四がつころよりれとはさだかにりて、いつしかうめおつ五月雨さみだれころにもれば、隣近處となりきんじよ人々ひと/\よりおめで御座ござりますとあきらかにはれて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
してや瀧口殿は何思ひ立ちてや、世を捨て給ひしと專ら評判高きをば、御身は未だ聞き給はずや。世捨人よすてびとに情も義理もらばこそ、花ももある重景殿に只〻一言の色善いろよかへごとをし給へや。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
その深い木立の下草に諸所木苺きいちごがまつ黄に熟れてゐた。
梅雨紀行 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
倉廩さうりんちて禮節れいせつり、(一九)衣食いしよくりて榮辱えいじよくる。
落したる、さは紅きの林檎、ああその林檎
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
やがてり、ちぬ。冬木ふゆきやま
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
戀のしたたりくんずるをや。
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)