“紅粉”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
こうふん66.7%
おしろい33.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
殊にあの十六人の女たちは、いずれも死穢しえを隠すために、巧な紅粉こうふんを装っている、屍骨しこつのような心もちさえした。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
桃のの色の薔薇ばらの花、紅粉こうふんよそほひでつるつるした果物くだもののやうな、桃のの色の薔薇ばらの花、いかにもずるさうな薔薇ばらの花、吾等の齒に毒をお塗り、僞善ぎぜんの花よ、無言むごんの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
眼千両と言われた眼は眼蓋まぶたれて赤くなり、紅粉おしろいはあわれ涙に洗い去られて、一時間前の吉里とは見えぬ。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
葉子はべにのまじった紅粉おしろいをほとんど使わずに化粧をした。あごの両側と目のまわりとの紅粉をわざと薄くふき取った。まくらを入れずに前髪を取って、束髪そくはつまげを思いきり下げて結ってみた。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)