紅粉おしろい)” の例文
眼千両と言われた眼は眼蓋まぶたれて赤くなり、紅粉おしろいはあわれ涙に洗い去られて、一時間前の吉里とは見えぬ。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
葉子はべにのまじった紅粉おしろいをほとんど使わずに化粧をした。あごの両側と目のまわりとの紅粉をわざと薄くふき取った。まくらを入れずに前髪を取って、束髪そくはつまげを思いきり下げて結ってみた。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)