紅粉こうふん)” の例文
殊にあの十六人の女たちは、いずれも死穢しえを隠すために、巧な紅粉こうふんを装っている、屍骨しこつのような心もちさえした。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
桃のの色の薔薇ばらの花、紅粉こうふんよそほひでつるつるした果物くだもののやうな、桃のの色の薔薇ばらの花、いかにもずるさうな薔薇ばらの花、吾等の齒に毒をお塗り、僞善ぎぜんの花よ、無言むごんの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
おのおの貧富にしたがって、紅粉こうふんを装い、衣裳を着け、そのよそおいきよくして華ならず、粗にして汚れず、言語嬌艶きょうえん、容貌温和、ものいわざる者もおくする気なく、笑わざるも悦ぶ色あり。
京都学校の記 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「このおもて紅粉こうふんを塗り、女の衣裳を着て、閣下の前にお辞儀いたします」
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)