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もし僧侶が女を持てばそれは確かに俗人である、いな仏法を滅亡するところの悪魔であると、こう確実にめられて自ら実行せられた。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「百行依ルトコロ孝ト忠、これヲ取ツテ失フ無キハ果シテ英雄、英雄ハタトヘ吾曹わがそうノ事ニアラズトスルモ、あに赤心ヲ抱イテ此ノヲ願ハンヤ——」
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「——無論、そうなる場合、御当家の一陣は、この有村が承るものと心得ておりますが……」と三位卿はみずから、二十五万石の城地を賭けて
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
きたまえる矛を王宮の門に立て、占領の証とし、平和条約を結び、毎年金、銀、彩色、綾羅、絹縑等を船八十艘に積んで貢物とすべく約した。
日本上古の硬外交 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
この条を読みます時には私もまったく、自らこけ蒸した古羅馬邸宅を迫遥するの思いを禁じ得なかったのであります。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
しかし罪の意識なくして富んでいるのは愛を説く人には矛盾である。私は富める文士たちとともに、この問題を一生の問題としてをもって研究したい。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
どもらの行末も、こうぞとおしえるように、枯木のように痩せ細った手で、餓鬼腹を叩いて見せるというわ
奥の海 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
〔譯〕誘掖いうえきして之をみちびくは、教の常なり。警戒けいかいして之をさとすは、教の時なり。に行うて之をきゐるは、教の本なり。言はずして之を化するは、教のしんなり。
自らをもって両志士の生命を保護しようとちかい、そこに必死の猛運動が起されたことはいうまでもない。
燕王壮士万人を分ちて敵の援兵をさえぎらしめ、子高煦こうこうをして兵を林間に伏せ、敵戦いて疲れなばでゝ撃つべしと命じ、ずから師を率いてむかえ戦い、騎兵を両翼とす。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
祖禰そでいより、づから甲冑を擐し、山川を跋渉してやすんじ居るにいとまあらず、東、毛人を征する五十五国、西、衆夷を服する六十六国、渡りて海北を平ぐる九十五国、王道融泰
「言うが迄もない事じゃ。当屋敷の内におらば即ちが家臣も同然、下がれッ、行けッ」
薄暗い室の中に、動きもしないで坐っている彼の姿は何事かの祈願を凝らしている人のようであった。彼が首を屈めている低い机の上には黒ずんだ一匹の玩具の馬が立っていた。
運命について (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
医者を評せんと欲せば医者たるべし。至大のことより至細のことに至るまで、他人の働きにくちばしれんと欲せば、試みに身をその働きの地位に置きてみずから顧みざるべからず。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
運よくして思ふこと図に当りなば傲然がうぜんとして人をしのぎ、運あしくしてきはまりなば憂悶して天を恨む。凌がるゝ人は凌ぐ人よりも真に愚かなりや、恨まるゝ天は恨む人の心を測り得べきや。
哀詞序 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
ずからがその文化と異なった生活をしていることを発見した者は、たといどれほど自分がってもって生活した生活の利点に沐浴もくよくしているとしても、新しい文化の建立に対する指導者
広津氏に答う (新字新仮名) / 有島武郎(著)
ロパーヒン オフメーリア、おお水妖ニンフよ。が上も祈り添えてたもれ!
桜の園 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
葉公しょうこう孔子に語りて曰く、わが党にを直くする者あり。その父羊をぬすみて子これを証すと。孔子曰く、わが党の直き者は是に異なり。父は子の為に隠し、子は父の為に隠す。直きことその中に在りと。
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
古来農桑を御奨励になり、正月の初子はつねの日に天皇御ずから玉箒を以て蚕卵紙をはらい、鋤鍬すきくわを以て耕す御態をなしたもうた。そして豊年を寿ことほぎ邪気を払いたもうたのちに、諸王卿等に玉箒を賜わった。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
大君おほきみは天の譴怒いかりみづから照らす御光みかげしみたまへり
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
〔譯〕しんを人に取るは難し。人は口を信ぜずしてを信ず。躬を信ぜずして心を信ず。是を以て難し。
洪武二十八年、初めて諸王の封国にく時、道衍ずからすすめて燕王のとならんとし、って曰く、大王だいおう臣をして侍するを得せしめたまわば、一白帽いちはくぼうを奉りて大王がためにいただかしめんと。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そこに生命の自己認識がもたらす解脱の道がありはせぬか。認識の純なるものはをもって知るの体験でなければならない。さらに徹しては愛とならねばならない。愛は最深なる認識作用である。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
このを尽そうと思う精神だけは英雄に譲らない、とこう言うのだ。
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
〔譯〕聖賢を講説かうせつして之をにする能はず、之を口頭こうとう聖賢と謂ふ、吾れ之を聞いて一たび惕然てきぜんたり。道學を論辯ろんべんして之をたいする能はず、之を紙上道學と謂ふ、吾れ之を聞いて再び惕然てきぜんたり。
豈抱赤心願此躬(あに赤心を抱いて此のを願はんや)
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)