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魅
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み
ふりがな文庫
“
魅
(
み
)” の例文
歌物語
(
うたものがたり
)
に何の
癡言
(
たはこと
)
と聞き流せし戀てふ魔に、さては吾れ
疾
(
とく
)
より
魅
(
み
)
せられしかと、初めて悟りし今の刹那に、瀧口が心は
如何
(
いか
)
なりしぞ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
見ると、大かた攫われたのでしょうね。玉ちゃんは色の白い、女の子のような綺麗な子ですから、悪い奴に
魅
(
み
)
こまれたのかも知れません
半七捕物帳:56 河豚太鼓
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
男は、この生活にも相手の女にも心から
魅
(
み
)
せられていたから、もちろんです、生かそうとも殺そうともお心次第です、と答えた。
女強盗
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
実は悪魔に
魅
(
み
)
いられた半之丞、機械人間を操って切っていたばかりでは物足りなくなって、時々自ら邪剣を振っているのだった。
くろがね天狗
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
私は意味の分らない所が沢山あつたに拘はらず、文章の美しさと、筋の面白さに
魅
(
み
)
せられて、振仮名をたどりながらも一気に読み終つた。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
▼ もっと見る
其
(
その
)
頸
(
くび
)
から
上
(
うへ
)
が、
嚴肅
(
げんしゆく
)
と
緊張
(
きんちやう
)
の
極度
(
きよくど
)
に
安
(
やす
)
んじて、
何時
(
いつ
)
迄
(
まで
)
經
(
た
)
つても
變
(
かは
)
る
恐
(
おそれ
)
を
有
(
いう
)
せざる
如
(
ごと
)
くに
人
(
ひと
)
を
魅
(
み
)
した。さうして
頭
(
あたま
)
には一
本
(
ぽん
)
の
毛
(
け
)
もなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
綺麗
(
きれい
)
だわ、
綺麗
(
きれい
)
だわ、
綺麗
(
きれい
)
な
蟲
(
むし
)
だわ。」と
魅
(
み
)
せられたやうに
言
(
い
)
ひつゝ、
草履
(
ざうり
)
をつま
立
(
だ
)
つやうにして、
大空
(
おほぞら
)
を
高
(
たか
)
く、
目
(
め
)
を
据
(
す
)
ゑて
仰
(
あふ
)
いだのである。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「どうもこの頃、昭沙弥は、生飯をやると言っちゃ日に五六
遍
(
ぺん
)
も、そわそわ川へ行く。あんまり鯉に
馴染
(
なじみ
)
がつき過ぎて鯉に
魅
(
み
)
せられたのではないか」
鯉魚
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
人々は野淵の
荘重
(
そうちょう
)
な漢文口調の演説を旧式だと思いつつもその熱烈な声に
魅
(
み
)
せられて、狂するがごとく喝采した、手塚はきまりわるそうに頭を垂れた。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
極めて単調子な、意味のシンプルな
子守唄
(
こもりうた
)
が私の心を
魅
(
み
)
し去ってしまう。そして、それをいつまで聞いていても、私は、この子守唄を聞くことに
飽
(
あ
)
きない。
単純な詩形を思う
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
藤井先生をひと目見て、春吉君はいきづまるほどすきになってしまった。文化的な感じに
魅
(
み
)
せられたのである。
屁
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
お夏の——少し冷たくはあるが、あの透き通るやうな綺麗さに
魅
(
み
)
せられて、八五郎の眼には江戸の海で取れる白魚ほどの
濁
(
にご
)
りもないやうに思へるのでせう。
銭形平次捕物控:233 鬼の面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
相手の
人為
(
ひととな
)
りに完全に
魅
(
み
)
されてしまって、ただ由あるお旗下の成れの果てか、名前を聞けば三尺飛び下らなければならない
歴
(
れっき
)
とした御家中の、仔細あっての浪人と
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「生白い若公卿ずれの才覚などに、なじか北条殿の
御代
(
ごだい
)
が揺ぎでもしようかい。そんな
謀
(
たく
)
みに、わが聟までが加担とは沙汰の限りよ。馬鹿者めが、天魔にでも
魅
(
み
)
入られたか」
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
梅花は予の軽蔑する文人趣味を強ひんとするものなり、
下劣詩魔
(
げれつしま
)
に
魅
(
み
)
せしめんとするものなり。予は
孑然
(
けつぜん
)
たる征旅の
客
(
きやく
)
の深山
大沢
(
だいたく
)
を恐るるが如く、この梅花を恐れざる可からず。
続野人生計事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
これが要點であつた——これが神經に
障
(
さは
)
り、惱まされる問題點であつた——これが私の熱情が衰へずに養成されてゐる所以であつた。彼女は彼を
魅
(
み
)
することが出來なかつたのだ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
そう思ったら私は、ふいと恐ろしいことを考えるようになりました。悪魔に
魅
(
み
)
こまれたのかも知れませぬ。そのとき以来、あの人を、いっそ私の手で殺してあげようと思いました。
駈込み訴え
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
可憐
(
かれん
)
な処女の面影が拭い消されて、人を
魅
(
み
)
するような
笑顔
(
えがお
)
がこれに代りました。お君は鏡にうつる自分の髪の黒いことを喜びました。その
面
(
かお
)
の色の白いことが嬉しくて
堪
(
たま
)
りませんでした。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
への
字
(
じ
)
に
結
(
むす
)
んだ
口
(
くち
)
に、
煙管
(
きせる
)
を
銜
(
くわ
)
えたまま、
魅
(
み
)
せられたように
人形
(
にんぎょう
)
を
凝視
(
ぎょうし
)
し
続
(
つづ
)
けている
由斎
(
ゆうさい
)
は、
何
(
なに
)
か
大
(
おお
)
きく
頷
(
うなず
)
くと、
今
(
いま
)
し
方
(
がた
)
坊主
(
ぼうず
)
がおこして
来
(
き
)
た
炭火
(
すみび
)
を、十
能
(
のう
)
から
火鉢
(
ひばち
)
にかけて、
独
(
ひと
)
りひそかに
眉
(
まゆ
)
を
寄
(
よ
)
せた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
孤立せるピラミッドに似て、何か
魅
(
み
)
するがごとく
生けるものと死せるものと
(旧字旧仮名)
/
アンナ・ド・ノアイユ
(著)
瀟洒な
外輪船
(
ぐわいりんせん
)
の出てゆく油繪の夕日に
魅
(
み
)
せられる。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
完全に
魅
(
み
)
せられてしまったのであった。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
成経 あゝ悪魔が父を
魅
(
み
)
入ったのか。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
私は
魅
(
み
)
こまれたような思いがした。
縁談
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
一座の者も心配して、アンに意見もしたそうですが、年うえ女に執念ぶかく
魅
(
み
)
こまれたアンは、誰がなんと言っても思い切ろうとはしない。
マレー俳優の死
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その頸から上が、
厳粛
(
げんしゅく
)
と緊張の極度に安んじて、いつまで経っても変る
恐
(
おそれ
)
を有せざるごとくに人を
魅
(
み
)
した。そうして頭には一本の毛もなかった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と
胸
(
むね
)
に
氣
(
き
)
を
入
(
い
)
れたやうに
頷
(
うなづ
)
いて
云
(
い
)
つたが、
汽車
(
きしや
)
に
搖
(
ゆ
)
られて
來
(
き
)
た
聊
(
いさゝ
)
かの
疲勞
(
つかれ
)
も
交
(
まじ
)
つて、
山
(
やま
)
の
美
(
うつく
)
しさに
魅
(
み
)
せられて
身
(
み
)
の
萎々
(
なえ/\
)
と
成
(
な
)
つた、
歎息
(
ためいき
)
のやうにも
聞
(
きこ
)
えた。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その
派手
(
はで
)
な
大仕掛
(
おおじかけ
)
には、僕はすっかり
魅
(
み
)
せられてしまって、ため息があとからあとへと出てくるばかりだった。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
当座この黒い鳥が何んとなく私には陰気に見えたのである。頭から、眼付まで、可愛らしいというより、その
中
(
うち
)
に厭に人を
魅
(
み
)
する力があるような気持がした。
不思議な鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
多分お元はこの初夏の夕暮れの美しさに
魅
(
み
)
せられて、呆けた頭に十六年前の記憶を喚び起したのでせう。
銭形平次捕物控:175 子守唄
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
けれども、自分を
魅
(
み
)
するものはひとり大川の水の響きばかりではない。
大川の水
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その剣心に
魅
(
み
)
し去られて、左膳が刀を差すというよりも刀が左膳をさし、左膳が人を斬り殺すというよりも刀が人を斬り殺す辻斬りに、左膳はこうして毎夜の闇黒をさまよい歩いているのだったが
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
だが、雪子の
魅
(
み
)
せられたのはさういふ一々のものではない。
過去世
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
子ゆえの闇から悪い奴に
魅
(
み
)
こまれて、奥様も一生日蔭の身になってしまったんです。考えてみると可哀そうじゃありませんか
半七捕物帳:11 朝顔屋敷
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と
頻
(
しきり
)
に
面目
(
めんもく
)
ながる
癖
(
くせ
)
に、あは/\
得意
(
とくい
)
らしい
高笑
(
たかわら
)
ひを
行
(
や
)
つた。
家内
(
かない
)
の
無事
(
ぶじ
)
を
祝福
(
しゆくふく
)
する
心
(
こゝろ
)
では、
自分
(
じぶん
)
の
魅
(
み
)
せられたのを、
却
(
かへ
)
つて
幸福
(
かうふく
)
だと
思
(
おも
)
つて
喜
(
よろこ
)
んだんです。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
魅
(
み
)
いられるように氷上でみつめていたが、隊長が最後に救われたと知った瞬間、両眼から涙がどっと
湧
(
わ
)
いてきて、眼の前がまったく見えなくなってしまった。
大空魔艦
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
魔術使
(
まじゅつつか
)
いの
女
(
おんな
)
はおしではありましたけれど、
顔
(
かお
)
のどこかに、いちばん
多
(
おお
)
く
人
(
ひと
)
を
魅
(
み
)
する
力
(
ちから
)
をもっていました。
初夏の空で笑う女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
兄さんは煙草に
魅
(
み
)
せられた人のように、時々紙巻の先を赤くするだけで、なかなか口を開きません。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
徳三郎もはじめは旅先のいたずらにすぎない
色事
(
いろごと
)
で、その女を連れ出して逃げるほどの執心もなかったのであるが、かれに
魅
(
み
)
こまれたが最後
半七捕物帳:30 あま酒売
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
令史
(
れいし
)
少
(
すくな
)
からず
顛動
(
てんどう
)
して、
夜明
(
よあ
)
けて
道士
(
だうし
)
の
許
(
もと
)
に
到
(
いた
)
り
嗟歎
(
さたん
)
して
云
(
い
)
ふ、
寔
(
まこと
)
に
魅
(
み
)
のなす
業
(
わざ
)
なり。
某
(
それがし
)
將
(
はた
)
是
(
これ
)
を
奈何
(
いかん
)
せむ。
道士
(
だうし
)
の
曰
(
いは
)
く、
君
(
きみ
)
乞
(
こ
)
ふ
潛
(
ひそか
)
にうかゞふこと
更
(
さら
)
に
一夕
(
ひとばん
)
なれ。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
感情の洞穴に
魅
(
み
)
しくれる、此種の芸術に接するたびに、之を愛慕し、之を尊重視するの念を禁じ得ない。
忘れられたる感情
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
フリッツ大尉の案内により、
大仕掛
(
おおじかけ
)
な地下工場のまん中に立ち、
呻
(
うな
)
る
廻転機
(
かいてんき
)
や、
響
(
ひび
)
く
圧搾槌
(
あっさくづち
)
の音を聞いていると、ドイツ人のもつ科学力に
魅
(
み
)
せられて、おそろしくなってくるのだ。
人造人間の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
まさかに池の主が美しいおみよを
魅
(
み
)
こんだ訳でもあるまい。どう考えても、この疑問がまだ容易に解けそうもなかった。
半七捕物帳:08 帯取りの池
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
邸
(
やしき
)
にはこの頃じゃ、その
魅
(
み
)
するような
御新姐
(
ごしんぞ
)
も
留主
(
るす
)
なり、
穴
(
あな
)
はすかすかと
真黒
(
まっくろ
)
に、足許に
蜂
(
はち
)
の巣になっておりましても、
蟹
(
かに
)
の
住居
(
すまい
)
、落ちるような
憂慮
(
きづかい
)
もありません。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼
(
かれ
)
は、
黒
(
くろ
)
百合
(
ゆり
)
の
花
(
はな
)
を
見
(
み
)
て、
魅
(
み
)
せられたような
気
(
き
)
がした。ちょうどこのとき、
女
(
おんな
)
の
黒
(
くろ
)
い
腹帯
(
はらおび
)
が
頭
(
あたま
)
の
中
(
なか
)
に
思
(
おも
)
い
出
(
だ
)
された。しかし、
気味
(
きみ
)
が
悪
(
わる
)
かったので、
買
(
か
)
わずに
帰
(
かえ
)
りました。
公園の花と毒蛾
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
体
(
てい
)
よく追っ払おうとしても、そうは行きませんよ。あたしのような者に
魅
(
み
)
こまれたのが因果で、あたしは飽くまでもお前さんを逃がしゃあしませんよ
半七捕物帳:31 張子の虎
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
慕わせるより、
懐
(
なつか
)
しがらせるより、一目見た男を
魅
(
み
)
する、
力
(
ちから
)
広大
(
こうだい
)
。
少
(
すくな
)
からず、地獄、極楽、
娑婆
(
しゃば
)
も身に
附絡
(
つきまと
)
うていそうな
婦人
(
おんな
)
、
従
(
したご
)
うて、罪も
報
(
むくい
)
も浅からぬげに見えるでございます。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
二人
(
ふたり
)
の
故郷
(
こきょう
)
では
銭
(
ぜに
)
というようなものがなかったから、それがなんであるかわかりませんでしたけれど、ただ、その
美
(
うつく
)
しい
光
(
ひかり
)
に
魅
(
み
)
せられて、
二人
(
ふたり
)
のうちの
年
(
とし
)
とったほうが、
真
(
ま
)
っ
黒
(
くろ
)
な
毛
(
け
)
の
生
(
は
)
えた
幸福に暮らした二人
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
蛇に
魅
(
み
)
こまれるという伝説は昔からたくさんある。どう考えてもあの婆さんはやはり蛇の
化身
(
けしん
)
で、なにかの意味で或る男や或る女を魅こむに相違ない。
半七捕物帳:30 あま酒売
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
邪
(
よこしま
)
な心があつて、ために
憚
(
はばか
)
られたのではないが、
一足
(
ひとあし
)
づゝ、みし/\ぎち/\と響く……
嵐
(
あらし
)
吹
(
ふき
)
添ふ
縁
(
えん
)
の音は、
恁
(
かか
)
る
山家
(
やまが
)
に、おのれ
魅
(
み
)
と成つて、歯を
剥
(
む
)
いて、人を
威
(
おど
)
すが如く思はれたので
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
魅
常用漢字
中学
部首:⿁
15画
“魅”を含む語句
魅力
魑魅魍魎
魅入
魑魅
魅惑
妖魅
鬼魅
魔魅
魅惑的
嬌魅
山精木魅
魅込
魅縛
無鬼魅
魅魍
厭魅
魅了
魔魅跳梁
木魅
山魅
...