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視
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み
ふりがな文庫
“
視
(
み
)” の例文
開き
視
(
み
)
れば
一少艾衣類凋損
(
ひとりのむすめきものそこね
)
たれど
妍姿傷
(
みめそこ
)
ねず問うてこれ商人の
女
(
むすめ
)
母に随い塚に上り寒食を
作
(
な
)
すところを虎に搏たれ逃げ来た者と知り
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
はて、不思議だと思いながら、
抜足
(
ぬきあし
)
をして
窃
(
そっ
)
と
尾
(
つ
)
けて行くと、不意に赤児の泣声が聞えた。
熟
(
よく
)
視
(
み
)
ると、
其奴
(
そいつ
)
が赤児を抱えていたのだ。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
茫然
(
ぼうぜん
)
とした
状
(
さま
)
して、運転手が、汚れた手袋の指の破れたのを
凝
(
じっ
)
と
視
(
み
)
ている。——掌に、銀貨が五六枚、キラキラと光ったのであった。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
和作は三高時代に読んだ、「
朧夜
(
おぼろよ
)
や顔に似合はぬ恋もあらん」といふ句をふと思ひ出した。そして歩きながら月の在処を凝つと
視
(
み
)
た。
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
或る者は長靴を脱いで
倒
(
さかさ
)
まにして、一杯たまった砂や泥水を吐かせたり、
沓下
(
くつした
)
を脱いで白くふやけた自分の足を
視
(
み
)
つめたりしている。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
神事
(
じんじ
)
をはれば人々
離散
(
りさん
)
して普光寺に入り、
初
(
はじめ
)
棄置
(
すておき
)
たる
衣類
(
いるゐ
)
懐中
(
くわいちゆう
)
物を
視
(
み
)
るに
鼻帋
(
はながみ
)
一枚だに
失
(
うす
)
る事なし、
掠
(
かすむ
)
れば
即座
(
そくざ
)
に
神罰
(
しんばつ
)
あるゆゑなり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
蒼鸇
(
たか
)
の飛ぶ時よそ
視
(
み
)
はなさず、鶴なら鶴の一点張りに雲をも
穿
(
うが
)
ち風にも
逆
(
むか
)
って目ざす獲物の、
咽喉仏
(
のどぼとけ
)
把攫
(
ひっつか
)
までは合点せざるものなり。
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
かつては
我
(
わが
)
民族の間に重く
視
(
み
)
られたかと思う五月二十八日、または中世の
印地打
(
いんじう
)
ちの日として、記録にも残っている四月二十二日等
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
起してはいけないと思って、伊織はそのまま黙って、また往来を
視
(
み
)
ていた。——しかし、隣の部屋の
喧
(
やかま
)
しさは前と少しも変りはない。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それから
視
(
み
)
ると、飛んでいる中に蜘蛛の巣にかかって、ばたばたして下に落ちたのを、蟻の群に攻められたのだと想像されるのである。
首を失った蜻蛉
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
睨みたりとは、
視
(
み
)
る仕方の当初を指して言ひ得る言葉なり。視る仕方の後を言ふ言葉は Annihilation の外なかるべし。
人生に相渉るとは何の謂ぞ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
「ええ、あれだけでも速く疎開させておきたいの」と康子はとり
縋
(
すが
)
るように兄の
眸
(
ひとみ
)
を
視
(
み
)
つめた。と、兄の視線はちらと
脇
(
わき
)
へ
外
(
そ
)
らされた。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
なぜなら「知る」ものはすべて知性であるのに、感情が理智の知らないものを知るというのは、眼なくして物を
視
(
み
)
る不思議であるから。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
早く顔が
視
(
み
)
たい、
如何様
(
どん
)
な顔をしているか。顔を視れば、どうせ好い心地がしないは知れていれど、それでいて只早く顔が視たい。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
宗「左様か、ウヽン……煩悩経にある睡眠、あゝ
夢中
(
むちゅう
)
の
夢
(
ゆめ
)
じゃ、実に怖いものじゃの、あゝ悪い夢を
視
(
み
)
ました、悪い夢を視ました」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
この引用中「
視
(
み
)
よ、我
汝
(
なんじ
)
の顔の前にわが使をつかわす、彼汝の道を設くべし」(一の二)というのは、実はイザヤの言葉ではありません。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
然
(
しか
)
るに酒
酣
(
たけなわ
)
に耳熱して来ると、温鍾馗は二公子を白眼に
視
(
み
)
て、
叱咤
(
しった
)
怒号する。それから妓に琴を弾かせ、笛を吹かせて歌い出す。
魚玄機
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
法学士の安田は、はじめからしまいまで
一語
(
いちご
)
も言わずに、下田の子供らのうしろにたって、じっと不思議な死体を
視
(
み
)
つめていた。
誰が何故彼を殺したか
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
おまえは精進することなくして文武にぬきんでた、おまえは世間を掌上のものと
視
(
み
)
ている、そのまま軽薄才士だ、それからこうも云った。
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「げに月日経つことの早さよ、源叔父。ゆり殿が赤児
抱
(
だ
)
きて磯辺に立てるを
視
(
み
)
しは、われには
昨日
(
きのう
)
のようなる心地す」
老婦
(
おうな
)
は嘆息つきて
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
妙にバイブルには酒の譬話が多いと思っていたら、果せるかなだ、
視
(
み
)
よ、酒を好む人、と非難されたとバイブルに
録
(
しる
)
されてある。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
普通の人が暗闇と思うところでも、ハッキリ
視
(
み
)
える。——この異常な感覚を自覚したときのダリアの
狂喜
(
きょうき
)
ぶりは、大変なものだったろう。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
只
(
たゞ
)
響
(
ひゞき
)
を
立
(
た
)
てながら
容易
(
ようい
)
に
冷
(
さ
)
めぬ
熱
(
あつ
)
い
茶碗
(
ちやわん
)
を
啜
(
すゝ
)
つた。おつぎも
幾年
(
いくねん
)
か
逢
(
あ
)
はぬ
伯母
(
をば
)
の
人
(
ひと
)
なづこい
樣
(
やう
)
で
理由
(
わけ
)
の
分
(
わか
)
らぬ
樣
(
やう
)
な
容子
(
ようす
)
を
偸
(
ぬす
)
み
視
(
み
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
もし愛の中にあることこゝにて肝要ならば、また汝もしよくこの愛の
性
(
さが
)
を
視
(
み
)
ば、汝はこれらの天にこの事あるをえざるを知らむ 七六—七八
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
透かして
視
(
み
)
ると、その
垠
(
はずれ
)
に春光館と白く染めぬいた赤い旗が、目についたので、庸三はどうせ無駄だとは思ったが行って見た。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
ハンブルグは西洋に例の少ない
公娼
(
こうしょう
)
制度の行わるる所である。ゆえに友人はその道に
通
(
つう
)
なる人の案内でその制度を
視
(
み
)
に行った。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
既
(
すで
)
に同一感情と生活意識の上に立って生きて居るとしますれば一つのものを
喰
(
た
)
べ、同じ所を
視
(
み
)
、なるべく同じ所に居たいのはあたりまえです。
家庭愛増進術:――型でなしに
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
自由な個性と欲望の豊かな氾濫、光と線による自分の
視
(
み
)
かたの構成の体系の誇示なのである。それは、しかし永遠の体系ではありえなかった。
美学入門
(新字新仮名)
/
中井正一
(著)
若
(
も
)
し
是等
(
これら
)
知識階級の人達が宗教登山者の如く、多くの山を登り、独自の立場から山を
視
(
み
)
、山を観察するようになったとしたら如何なったろう。
山の今昔
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
窃
(
ひそ
)
かに世情を
視
(
み
)
るに、近来は政治の議論
漸
(
ようや
)
く
喧
(
かまびす
)
しくして、社会の公権即ち政権の受授につき、これを守らんとする者もまた取らんとする者も
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
こうした御慣れなさらない
山家住
(
やまがずまい
)
のことですから、さて暮して見れば、都で聞いた
田舎生活
(
いなかぐらし
)
の
静和
(
しずかさ
)
と来て
視
(
み
)
た
寂寥
(
さびしさ
)
苦痛
(
つらさ
)
とは
何程
(
どれほど
)
の
相違
(
ちがい
)
でしょう。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
妙信 (若僧のもの問えるを知らざるがごとく、すでに鐘楼の鐘を仰ぎ
視
(
み
)
て憎しげに)みんなこの鐘が出来たばかりよ。
道成寺(一幕劇)
(新字新仮名)
/
郡虎彦
(著)
十二月
庚午
(
かのえうま
)
朔
(
ついたち
)
、皇太子片岡に
遊行
(
いで
)
ます。時に飢ゑたる
者
(
ひと
)
道の
埀
(
ほとり
)
に
臥
(
ふ
)
せり。
仍
(
よ
)
りて
姓名
(
かばねな
)
を問ひたまふ。而して
言
(
まを
)
さず。皇太子
視
(
み
)
て
飲食
(
をしもの
)
を与へたまふ。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
(
視
(
み
)
よ、わが愛する者の姿みゆ。視よ、山をとび、
丘
(
おか
)
を
躍
(
おど
)
りこえ来る。わが愛する者は
獐
(
しか
)
のごとく、また小鹿のごとし)
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
「三面の仙境には、江戸にいる頃から
憧憬
(
あこが
)
れておりました。そこをぜひ画道修業の為に、
視
(
み
)
ておきとう御座りまする」
壁の眼の怪
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
中將は南洲の
元
(
げん
)
を
視
(
み
)
て曰ふ、
惜
(
を
)
しいかな、天下の一勇將を失へりと、
流涕
(
りうてい
)
すること之を久しうせり。
噫
(
あゝ
)
公私情盡せり。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
注ニ寒甚シク夜気霧ノ如ク木上ニ凝ル。
旦
(
あした
)
ニ起キテコレヲ
視
(
み
)
レバ雪ノ如シ。斉人コレヲ霿淞トイフ。詩仏ノコノ作アルイハ南豊ノ詩ト
駢伝
(
へんでん
)
スベキ也。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
この篇の稿
成
(
な
)
るや、先生一本を写し、これを
懐
(
ふところ
)
にして翁を
本所
(
ほんじょ
)
の宅に
訪
(
おとな
)
いしに、翁は老病の
余
(
よ
)
、視力も
衰
(
おとろ
)
え物を
視
(
み
)
るにすこぶる困難の様子なりしかば
瘠我慢の説:01 序
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
バアトンが第一巻を此のスタインホイザアに
献
(
けん
)
じてゐるのを以て
視
(
み
)
ても、
二人
(
ふたり
)
の
道中話
(
だうちうばなし
)
がどんなであつたかは分る。
リチャード・バートン訳「一千一夜物語」に就いて
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
殿の眼鏡は時代の底の流れと、海の外を
視
(
み
)
る御用にのみ役立つと思っていたのに、人の情の涙をもおしかくす御役に立つことを初めて知ったのである。
老中の眼鏡
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
そのほかには誰かが未亡人に接近していたという事実もないのであったから、もちろん嬢はこの事実を、重く
視
(
み
)
た。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
貫一は
瞬
(
まばたき
)
も
為
(
せ
)
で
視
(
み
)
てゐたり。宮は窮して彼に会釈さへ
為
(
し
)
かねつ。娘気の
可羞
(
はづかしさ
)
にかくあるとのみ思へる唯継は、
益
(
ますます
)
寄添ひつつ、
舌怠
(
したたる
)
きまでに
語
(
ことば
)
を
和
(
やはら
)
げて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
二人は馬に騎ろうと思ッて、近づく群をよく
視
(
み
)
ればこれは野馬の
簇
(
むれ
)
ではなくて、大変だ、敵、足利の騎馬武者だ。
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
時に九月天高く露清く、山
空
(
むな
)
しく、月
明
(
あきら
)
かに、仰いで
星斗
(
せいと
)
を
視
(
み
)
れば
皆
(
みな
)
光大
(
ひかりだい
)
、たまたま人の上にあるがごとし、
窓間
(
そうかん
)
の
竹
(
たけ
)
数十
竿
(
かん
)
、相
摩戞
(
まかつ
)
して声
切々
(
せつせつ
)
やまず。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
迫り
視
(
み
)
るべからざるほどの気高い美しさをそなえているので、毎度、
見馴
(
みな
)
れている町筋の町人どもも、その都度、
吐胸
(
とむね
)
をつかれるような息苦しさを感じて
鈴木主水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「あんまりそんな真似をすると、
謝絶
(
ことわ
)
ッてやるからいい。ああ、
自由
(
まま
)
にならないもんだことねえ」と、吉里は西宮をつくづく
視
(
み
)
て、うつむいて溜息を
吐
(
つ
)
く。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
いはんや如何なる俗事物もこれを冷眼に
視
(
み
)
る時は、そのこれを冷眼に視る処において多少の雅趣を生ずるをや。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
あまつさえ自分一人が幸運に
舌鼓
(
したつづみ
)
を打って一つ
鍋
(
なべ
)
を
突付
(
つッつ
)
いた
糟糠
(
そうこう
)
の仲の同人の四苦八苦の経営を
余所々々
(
よそよそ
)
しく冷やかに
視
(
み
)
た態度と決して
穏当
(
おだやか
)
でなかったから
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
悪人を探す為に善人を迄も疑い、見ぬ振をして
偸
(
ぬす
)
み
視
(
み
)
、聞かぬ様をして偸み
聴
(
きく
)
、人を見れば
盗坊
(
どろぼう
)
と思えちょう
恐
(
おそろし
)
き誡めを職業の虎の巻とし果は疑うに
止
(
とま
)
らで
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
倭文子は、三谷の肩に手を置いて、頬と頬とがすれ合う程も、近々と相手の顔を
視
(
み
)
つめながら、マアよかったといわぬばかりに、美しく美しく笑って見せた。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
視
常用漢字
小6
部首:⾒
11画
“視”を含む語句
熟視
凝視
蔑視
監視
偸視
諦視
警視庁
環視
注視
邪視
巡視
斜視
正視
視力
睨視
仰視
顧視
幻視
瞻視
軽視
...