)” の例文
椰子水とサイダーと蛸樹のとをよばれて、ほとんど話らしい話もせずに(何しろ向うは何一つしゃべらないのだから)家を辞した。
また或は我邦にてはを得んとのみ願ひて枝をめ幹を矮くするため、我も人もまことの梨の樹のふり花のおもむきをも知ること少く
花のいろ/\ (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
このうるはしき物語たゞちにやみぬ、そは我等路の中央たゞなかに、にほひやはらかくして良きある一本ひともとの木を見たればなり 一三〇—一三二
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
向こうの方に葉のついた無花果いちじくのあるのを見つけて、そばに寄って見られたが、葉だけではなかったので、その樹にむか
よるの風は盃のひやふちに似たり。半眼はんがんになりて、口なめずりて飮み干さむかな、石榴ざくろの汁を吸ふやうに滿天まんてんの星の凉しさを。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
長い間の変らない親切は、いつか、真個にいつかか分りませんが、いつかきっとよいを結ぶものです。どんな力でも打壊す事は出来ません。
いとこ同志 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
ききたまへ、扇に似たる前髪にふさふとあへて云ふならば、われはきさいのおん料の牡丹もきらむ、おほきみの花もぬすまむ。食まじ、は。
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
彼の農場では何物も無代価では生長せず、ドル以外にはその畠には何の実りもなく、その牧場には何の花も咲かず、その樹は何のもならさない。
その地帯には俗に樺太葡萄と称する紅いのフレップと紫の果のトリップとが一円に野生していて、自由に人の来て摘むに任してある。極楽園である。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
小指の頭程の青きヒシとれるを、小鳥は上よりつゝき、何処どこも変わらぬ村の子供等下よりタヽき落してくらふ。
大次郎は、ざくろののはぜたような、傷だらけの顔に、硬い微笑をつくって、片手に女髪兼安を引っさげたなり、前のめりに、佐吉の前へ来て立った。
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
あお天鵞絨ビロードの海となり、瑠璃色るりいろ絨氈じゅうたんとなり、荒くれた自然の中の姫君なる亜麻の畑はやがて小紋こもんのようなをその繊細な茎の先きに結んで美しい狐色に変った。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
しばらく忘れていたいちじくのが、大きなみずみずした青葉と結んでいるとをもって、僕のつかれた目をまし、労れた心を導いて、家のことを思い出させた。
耽溺 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
栗の毬はあらい、けれども鮮かだ、純緑だ、一本一本が鍼のやうに細い。栗のは固い、けれども噛めば噛むほど滋味が出る、純白だ。栗の果は君の魂だ、君の詩だ。
愛の詩集:03 愛の詩集 (新字旧仮名) / 室生犀星(著)
マブーフ氏はついに、サン・ジェルマンのなしにも劣らぬ味を有する苗木の梨のを作り出すに至った。
その無花果の木は、ようやっと大きく実らせたを、私達に与える前に、すでに腐らせ出していた。……
幼年時代 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
オーンこれをのろう。それからアルサンクタンの一族はクルムバ術師のまじないに害せられ、アルサイイル族の水牛は毎度虎に啖われ、かの時来なんだ諸樹はにがを結ぶと。
そこにはどんな子供が居り、またどんな木や草や花やがなつてゐることだらう? ひよつとすると動物園や公園なんかもあるかも知れない、と思つたりするのでした。
文化村を襲つた子ども (新字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
事業は精神の花なりなり、精神より自然に発生せざる事業は事業にして事業にあらざるなり、なんじらまず神の国とそのただしきとを求めよさらば事業も自然に爾らより来るべし。
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
それぞれに露を吸い、を食い、又は草を噛み、血をすすって持ち前の声を発揮しております。
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その隣にははかま穿いて口鬚くちひげをはやした、大分もう年をとった一人の男が、オットセイの黒焼きだとか、蘇鉄そてつだとか称している、えたいの知れないものを台の上にのせて
その頃になると、もう空には一羽の鶴も姿を見せず、枝には梨のひとつ残つてはゐない。
親鸞 皆ひざまずいて三宝を礼拝らいはいしていられる。金色のが枝をはなれて地に落ちた。皆それをあつめて十方の諸仏を供養なさるのじゃ……あ、花がふる。花がふる…………
出家とその弟子 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
そうかと思うと、西の土に落ちて育って花が咲いてを結んだ東の種だことのと、古来いろんな人に色んなことを言われて来ているこのESPANA——黒髪の女と橄欖オリーブ色の皮肌ひふ
枝もし樹に居らずば、自らを結ぶこと能はぬごとく、汝らも我に居らずば亦然り”
鳩の首をぢようが、孔雀の雛を殺さうが、犬をけしかけて羊を追ひ𢌞さうが、温室の葡萄のをちぎらうが、一番大事な花のつぼみむしらうが、誰ひとりとして、邪魔するものもなければ
のみならず、最も印象的なのは、そのクリクリした葡萄のみたいな双の瞳である。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
百姓にとっては花よりが大切である。何事も実用的でなければならぬ。教育に於ても実用を主とせねばならぬというは一般に人の主張するところである。私も二十年前はしか思うておった。
女子教育に就て (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
御案内と申しても、何も御役に立つことは出来ません。我々信徒の礼拝するのは正面の祭壇にある『生命の樹』です。『生命の樹』には御覧の通り、金と緑とのがなつてゐます。あの金の果を
河童 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
あれは底が浅いし、あのように桃の枝がさしかかっているので、落ちこむのは花ばかりではなく、病葉わくらばも腐った桃のも、毛虫もある。たいていは流れだしてゆくが沈んで底にたまるものも多い。
日本婦道記:桃の井戸 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
とみに死んでけり、病める夫人は谷間へ下り立ち、糧にとて携えたる梨の実を土にうずめ、一念木となりて臨終の土に生いなむ、わがつまの御運ひらかずば、とこしえにうまを結ぶことなかるべしと
梓川の上流 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
四五年前に、兄にそそのかされて行った頃の暗い悲しい心持などは、今度の旅行には見られなかったが、秘密な歓楽のをでもぬすみに行くような不安が、汽車に乗ってからも、時々彼女の頭脳あたまを曇らした。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
義人たゞしきひと生命いのちなり——そんなら私は義人たゞしきひとでは無いのか?
雪をんな (旧字旧仮名) / 葛西善蔵(著)
白い気体は流れてゐました、青銅色のをつけた野葡萄の木は
ただ一つにてりなん、もし死なば、多くのを結ぶべし。
私の直接労働のではありません。金にして弐拾円です。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
我は來り、摘まんとすなり、みのり淺き澁きながを。
リシダス (旧字旧仮名) / ジョン・ミルトン(著)
猶予ためらいあえず、バチンとはすの飛ぶ音が響いた。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しきえてちたりおのづから
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
のこしたる紅き林檎ののやうに。
忘れたるにあらねども (旧字旧仮名) / サッフォ(著)
蕾と花ととを同時に持つて居る。
南洋館 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
究竟はて信実まことを願ふ心にぞ
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
その朱金をくすぼらす
無量むりやう
カンタタ (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
また一のさいはひあり、こは人を幸にせざるものにてまことの幸にあらず、凡ての幸のまたその根なる至上の善にあらず 一三三—一三五
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
ある朝早くエルサレムに行かれるみちで、かの葉ばかり繁ってのなかった無花果の樹の立枯れになったのにペテロが気づいて
学校から給与されるのか、感心に鞄だけは掛けているようだ。てんでに、椰子ヤシの外皮をいたものを腰にさげているのは、飲料なのである。
そういう現実ののりに於て、その原動力となっているものの豊かさ、純一性、成長性が、感銘されるべきものとして理解されて来るのであると思った。
「なんですよ。そのツンドラ地帯にはフレップという紅いの生る灌木が密生していましてね。それがフレップ酒の原料です。まだですか、紅い酒ですが。」
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
丘の中腹で味わったがわたしの心霊を養ったこと、をかんがえてよろこびの戦慄をおぼえたものだ。