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瞻
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み
ふりがな文庫
“
瞻
(
み
)” の例文
見上げると両側の山は切り
削
(
そ
)
いだように突っ立って、それに
雑木
(
ぞうき
)
や
赭松
(
あかまつ
)
が暗く茂っていますから、下から
瞻
(
み
)
ると空は帯のようなのです。
女難
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
市長は時として我
臥床
(
ふしど
)
の傍に坐して、われに心を安んじて全快を待たんことを勸め、ロオザの遠からず來りて病を
瞻
(
み
)
るべきを告げたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
仰向
(
あおむい
)
て
瞻
(
み
)
る
蒼空
(
あおぞら
)
には、
余残
(
なごり
)
の色も何時しか消え
失
(
う
)
せて、今は一面の青海原、星さえ
所斑
(
ところまだら
)
に
燦
(
きらめ
)
き
出
(
い
)
でて
殆
(
と
)
んと
交睫
(
まばたき
)
をするような
真似
(
まね
)
をしている。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
藩主阿部正桓は四代前の不争斎正寧の病を
瞻
(
み
)
むがために、東京に淹留してゐた。「正月元日。晴。夕微雨。御留守中に付、御祝儀御帳罷出。」
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
白い夢のように純白な姿は、まだ空間をすべり歩いているようで、わたしは何度も人家の暗い屋後を
瞻
(
み
)
入ったほどだった。
ヒッポドロム
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
▼ もっと見る
お職人が念のために、分け目を
熟
(
じっ
)
と
瞻
(
み
)
ると、
奴
(
やっこ
)
、いや、少年の助手が、肩から足の上まで
刷毛
(
はけ
)
を掛ける。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
特
(
こと
)
にこの辺りは川幅も
濶
(
ひろ
)
くかつ差し潮の力も利けば、大潮の満ち来る勢に河も膨るゝかと見ゆる折柄、潮に乗りて
輾
(
きし
)
り出づる玉兎のいと大にして光り花やかなるを
瞻
(
み
)
る
水の東京
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
幼い慧心院僧都が、毎日の夕焼けを見、又年に再大いに、之を
瞻
(
み
)
た二上山の落日である。今日も尚、高田の町から西に向って、当麻の村へ行くとすれば、日没の頃を択ぶがよい。
山越しの阿弥陀像の画因
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
既ニシテ夕陽林梢ニアリ、
落霞飛鳧
(
らっかひふ
)
、垂柳疎松ノ間ニ
閃閃
(
せんせん
)
タリ。長流ハ
滾滾
(
こんこん
)
トシテ潮ハ満チ石ハ鳴ル。西ニ
芙蓉
(
ふよう
)
ヲ仰ゲバ
突兀万仞
(
とっこつばんじん
)
。東ニ波山ヲ
瞻
(
み
)
レバ
翠鬟
(
すいかん
)
拭フガ如シ。マタ宇内ノ絶観ナリ。
向嶋
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
先生や先生の一家一門の
所作
(
しょさ
)
は、万人の
具
(
つぶさ
)
に
瞻
(
み
)
る所、批評の
的
(
まと
)
であります。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
然して威令の行わるる所、既に前に
瞻
(
み
)
て後に仰ぎ、聡明の及ぶ所、反って小を察して大を
遺
(
わす
)
る。貧者は獄に入りて
殃
(
わざわい
)
を受け、富者は経を転じて罪を免る、
惟
(
これ
)
傷弓
(
しょうきゅう
)
の鳥を取り、
毎
(
つね
)
に
呑舟
(
どんしゅう
)
の魚を漏す。
令狐生冥夢録
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
木蓮の花ばかりなる空を
瞻
(
み
)
る
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
仰ぎ
瞻
(
み
)
たりき——
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
昔のアヌンチヤタは我が仰ぎ
瞻
(
み
)
しところ、我が新に醒めたる心の力もて
攀
(
よ
)
ぢんと欲せしところなるに、
憾
(
うら
)
むらくは我を棄てゝ人に往けり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
想ふに杏春は生父の病を
瞻
(
み
)
、其
葬
(
とぶらひ
)
を送り、故旧の援助を得て後事を営み、而る後京都を離れたことであらう。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
と云った、大島の知らず、
絣
(
かすり
)
の羽織の袖を、居寄って振袖の紫に敷いて
熟
(
じっ
)
と
瞻
(
み
)
たのであったが
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
眼を放って見渡すと、城下の町の一角が屋根は黒く、壁は白く、
雑然
(
ごたごた
)
と
塊
(
かた
)
まって見える向うに、生れて以来十九年の
間
(
あいだ
)
、毎日仰ぎ
瞻
(
み
)
たお城の天守が遙に森の中に聳えている。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
両人ともに言葉なくたゞ
平伏
(
ひれふ
)
して
拝謝
(
をが
)
みけるが、それより宝塔
長
(
とこしな
)
へに天に聳えて、西より
瞻
(
み
)
れば
飛檐
(
ひえん
)
或時素月を吐き、東より望めば勾欄夕に紅日を呑んで、百有余年の今になるまで
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
數ふ。毎週一度
日景
(
ひかげ
)
を
瞻
(
み
)
て、
※
(
とけい
)
を進退すること四分一時。所謂佛蘭西時刻は羅馬の人常の歐羅巴時刻を指してしかいふなり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「廿三日。晴。大殿様為御看病東京へ御発駕被遊候に付、為御機嫌伺朝六時出勤。五半時過早打に而御出被遊候。
立造
(
りふざう
)
御供。」正寧の病を
瞻
(
み
)
んがために、正桓が東京へ急行した。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
金岡
(
かなおか
)
の
萩
(
はぎ
)
の馬、
飛騨
(
ひだ
)
の
工匠
(
たくみ
)
の
竜
(
りゅう
)
までもなく、電燈を消して、
雪洞
(
ぼんぼり
)
の影に見参らす雛の顔は、実際、
唯
(
と
)
瞻
(
み
)
れば
瞬
(
またた
)
きして、やがて
打微笑
(
うちほほえ
)
む。人の悪い官女のじろりと横目で見るのがある。
雛がたり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
両人ともに言葉なくただ
平伏
(
ひれふ
)
して
拝謝
(
おが
)
みけるが、それより宝塔
長
(
とこしな
)
えに天に
聳
(
そび
)
えて、西より
瞻
(
み
)
れば
飛檐
(
ひえん
)
ある時素月を吐き、東より望めば
勾欄
(
こうらん
)
夕べに紅日を呑んで、百有余年の今になるまで
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
瞻
漢検1級
部首:⽬
18画
“瞻”を含む語句
瞻視
瞻望
左瞻右視
瞻上
瞻仰
右瞻左瞻
阮瞻
万世瞻依
見瞻
蘇子瞻
落瞻
瞻部
瞻詰
瞻蔔迦
瞻波
瞻戍
春澳瞻淇
打瞻
左瞻右瞻
子瞻
...