)” の例文
旅館へやって来られて二天の画があるのでてくれませんかといわれ、断っても断っても、強いられるので閉口したことがある。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
高が竹田や山陽程度のものでさええない者たちである。貫名、山陽の程度に於て、即座に真偽鑑定に責任を持ち太鼓判を押せる鑑賞画家というのはまずない。
愛陶語録 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
尤も後で金座の御係にて貰ひますと、千枚のうち十二枚だけは眞物ほんものの小判だつた相で御座います。
銭形平次捕物控:274 贋金 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
これから、聯合組に行くとこじゃが、こないだ買うた刀を二本、出してみんな? 本阿弥ほんあみ直弟子じきでしの、大層上手な鑑定家が来とるそうな。おれも、助広をて貰おうかと思うちょる。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
美術研究所の脇本楽之軒わきもとらくしけん氏に会う用事があるとかで立寄られたので、ついでといっては申し訳ないが、ひとつていただけないかと云って託した。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
てもってその美を解する方の好者には没交渉であるのである。
志野焼の価値 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
一括した古文書と共に、風呂敷づつみから出して、「ひとつ、ていただきたいのですが……」と、示されたものだった。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すばらしい心眼がなければる事は出来ない。
「一体、この枝の両端の切り口が、どっちがそんな達人の切ったもので、また、どっちが、より劣った切り口になっているか、貴公の眼でわけがつくか」
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——先生、池の魚は毎度ておいでらしいが、まだ大海の巨鯨は、この部屋で鑑たことがありませんね」
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一見して、非凡と感じたのなら、これはおれたちより少し出来る。——大殿が手ずから切ったものだから、或は、まったくる者が鑑れば違っているのかも知れないからな
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「わしは、極道坊主のお手本のようなものじゃ。どれ、ついでに、笛をてあげよう」
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『師匠、今、燈火あかりをつけて持って来ますが、ひとついただかれましょうか』
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いちど、わが家の物具もののぐてもらおうか」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)