かへ)” の例文
長い一生をかへつてみても、何一つ碌な事は仕出来しでかしてゐないので、この頃ではひとと話す時には、いつもパアシング将軍の舅を自慢する事に決めてゐる。
余は通り過ぎて振りかへり、暫し停立たゝずんで居ると、突然間近なる一軒の障子がいて一人の男がつと現はれた。
空知川の岸辺 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
幾度いくたびかかへりみておもへば、さてもはしたきことなり、うぢらず素性すじやうらず、心情こゝろだてなにれぬひとふとは、れながらあさましきことなり、さだめなきさだめなきひとたの
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
つきあらたまつて、役所やくしよ動搖どうえうこれ一段落いちだんらくだと沙汰さたせられたとき宗助そうすけのこつた自分じぶん運命うんめいかへりみて、當然たうぜんやうにもおもつた。また偶然ぐうぜんやうにもおもつた。ちながら、御米およね見下みおろして
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かゝりけれどもほ一ぺん誠忠せいちうこゝろくもともならずかすみともえず、流石さすがかへりみるその折々をり/\は、慚愧ざんぎあせそびらながれて後悔かうくわいねんむねさしつゝ、魔神ましんにや見入みいれられけん、るまじきこゝろなり
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)