トップ
>
顧
>
かへりみ
ふりがな文庫
“
顧
(
かへりみ
)” の例文
平次が妾のお源の神妙らしく
取繕
(
とりつくろ
)
つた顏を
顧
(
かへりみ
)
ると、お源は少しあわてて、大きく
肯
(
うなづ
)
きました。平次の推理には一點の隙もありません。
銭形平次捕物控:269 小判の瓶
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
この亡夫と云ふ言葉に、この寢室の祕密が——この寢室の堂々としてゐながら、打ち棄てゝ
顧
(
かへりみ
)
られないと云ふ魔力が——
潜
(
ひそ
)
んでゐるのだ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
余
(
よ
)
京水と
相
(
あひ
)
顧
(
かへりみ
)
て感じ、京水たはふれにイヨ尾張屋と
誉
(
ほめ
)
けるが、尾張屋は関三の
家号
(
いへな
)
なる事通じがたきや、尾張屋とほむるものひとりもなし。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
今にして壽阿彌の手紙を
顧
(
かへりみ
)
ればその
所謂
(
いはゆる
)
「
愚姪
(
ぐてつ
)
」は壽阿彌に
家人株
(
けにんかぶ
)
を買つて貰つた鈴木、師岡、
乃至
(
ないし
)
山崎ではなくて、眞志屋十二代清常であつた。
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
顧
(
かへりみ
)
る台所の
方
(
かた
)
には、兼吉の老母が
転輾
(
てん/\
)
反側
(
はんそく
)
の気はひ聞ゆ、
彼女
(
かれ
)
も此の雪の夜の物思ひに、既に枕に
就
(
つ
)
きたるも、
容易
(
たやす
)
くは夢の得も結ばれぬなるべし
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
▼ もっと見る
塾の
音
(
おと
)
さんが時々見廻りに来て呉れるのに任せである。自分の
鍬
(
くは
)
は入口の庭の隅に立て掛けたまゝだ。畠も荒れた。しかし私は今、それを
顧
(
かへりみ
)
る
暇
(
いとま
)
が無い。
突貫
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
洛中
(
らくちう
)
がその始末であるから、羅生門の
修理
(
しゆり
)
などは、元より誰も捨てゝ
顧
(
かへりみ
)
る者がなかつた。するとその
荒
(
あ
)
れ
果
(
は
)
てたのをよい事にして、
狐狸
(
こり
)
が棲む。
盗人
(
ぬすびと
)
が棲む。
羅生門
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
時々
(
とき/″\
)
顔を
上
(
あ
)
げると、
額
(
ひたひ
)
の所丈が
砂
(
すな
)
で
白
(
しろ
)
くなつてゐる。
誰
(
だれ
)
も
顧
(
かへりみ
)
るものがない。五人も平気で行き
過
(
す
)
ぎた。五六間も
来
(
き
)
た時に、広田先生が急に振り向いて三四郎に聞いた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
入江に
近
(
ちかづ
)
くにつれて川幅次第に廣く、月は川面に其清光を
涵
(
ひた
)
し、左右の堤は次第に遠ざかり、
顧
(
かへりみ
)
れば川上は既に靄にかくれて、舟は何時しか入江に入つて居るのである。
少年の悲哀
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
人の手で
愛
(
いつくし
)
まれて居たその当時の夢を、北方の蛮人よりももつと乱暴な自然の
蹂躙
(
じうりん
)
に任されて
顧
(
かへりみ
)
る人とてもない今日に、その夢を未だ見果てずに居るかと思へるのである。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
數
(
かず
)
を
知
(
し
)
らざる
無學
(
むがく
)
の
人
(
ひと
)
には、
一時
(
いちじ
)
目
(
め
)
を
驚
(
おどろ
)
かすの
不便
(
ふべん
)
あらん
乎
(
か
)
、
文盲人
(
もんまうじん
)
の
不便
(
ふべん
)
は
氣
(
き
)
の
毒
(
どく
)
ながら
顧
(
かへりみ
)
るに
暇
(
いとま
)
あらず。
其便不便
(
そのべんふべん
)
は
暫
(
しばら
)
く
擱
(
さしを
)
き、
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
に
日輪
(
にちりん
)
は
本
(
もと
)
なり、
月
(
つき
)
は
附
(
つき
)
ものなり。
改暦弁
(旧字旧仮名)
/
福沢諭吉
(著)
愈
(
いよ/\
)
利根の
水源
(
すゐげん
)
に
沿
(
そ
)
ふて
遡
(
さかのぼ
)
る、
顧
(
かへりみ
)
れば両岸は
懸崖絶壁
(
けんがいぜつぺき
)
、加ふるに
樹木
(
じゆもく
)
鬱蒼
(
うつさう
)
たり、たとひ
辛
(
から
)
ふじて之を
過
(
す
)
ぐるを得るも
漫
(
みだ
)
りに時日を
費
(
ついや
)
すの
恐
(
おそれ
)
あり、故にたとひ
寒冷
(
かんれい
)
足
(
あし
)
を
凍
(
こふ
)
らすとも
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
この登山に唯一のおそろしきものゝやうに言ひ
做
(
な
)
す、
胸突
(
むなつき
)
八丁にかゝり、暫く足を休めて後を
顧
(
かへりみ
)
る、天は藍色に澄み、霧は
紫微
(
しび
)
に収まり、
領巾
(
ひれ
)
の如き一片の雲を東空に片寄せて
霧の不二、月の不二
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
賢弟とわかれて国にくだりしが、
国人
(
くにびと
)
大かた経久が
勢
(
いきほ
)
ひに
服
(
つ
)
きて、
塩冶
(
えんや
)
の
恩
(
めぐみ
)
を
顧
(
かへりみ
)
るものなし。
従弟
(
いとこ
)
なる
赤穴
(
あかな
)
丹治、富田の城にあるを
訪
(
とむら
)
ひしに、利害を説きて吾を経久に
見
(
まみ
)
えしむ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
私事恥を恥とも思はぬ者との御さげすみを
顧
(
かへりみ
)
ず、先頃
推
(
お
)
して
御許
(
おんもと
)
まで
参
(
さん
)
し候胸の内は、なかなか御目もじの上の
辞
(
ことば
)
にも尽し
難
(
がた
)
くと
存候
(
ぞんじさふら
)
へば、まして廻らぬ筆には
故
(
わざ
)
と何も
記
(
しる
)
し申さず候まま
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
余
(
よ
)
京水と
相
(
あひ
)
顧
(
かへりみ
)
て感じ、京水たはふれにイヨ尾張屋と
誉
(
ほめ
)
けるが、尾張屋は関三の
家号
(
いへな
)
なる事通じがたきや、尾張屋とほむるものひとりもなし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
国民の
耳目
(
じもく
)
一に
露西亜
(
ロシヤ
)
問題に傾きて、
只管
(
ひたすら
)
開戦の
速
(
すみや
)
かならんことにのみ熱中する一月の中旬、社会の半面を
顧
(
かへりみ
)
れば下層劣等の種族として度外視されたる労働者が
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
平次はガラツ八を
顧
(
かへりみ
)
て面白さうに笑ふのです。この男、一體何時になつたら嫁を貰ふ氣になるでせう。
銭形平次捕物控:118 吹矢の紅
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
もとよりかかるをこそと
一〇四
乱
(
みだれ
)
心なる思ひ妻なれば、
一〇五
塒
(
ねぐら
)
の鳥の飛び立つばかりには思へど、
一〇六
おのが世ならぬ身を
顧
(
かへりみ
)
れば、親
兄弟
(
はらから
)
のゆるしなき事をと、かつ
喜
(
うれ
)
しみ、
且
(
かつ
)
恐れみて
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
熊
四方
(
しはう
)
を
顧
(
かへりみ
)
て
走
(
はし
)
り
去
(
さり
)
て行方しれず。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
“顧”の解説
顧(こ)は、漢姓のひとつ。『百家姓』の93番目。
(出典:Wikipedia)
顧
常用漢字
中学
部首:⾴
21画
“顧”を含む語句
顧盻
顧客
顧眄
回顧
顧慮
振顧
相顧
後顧
一顧
眷顧
右顧左眄
左顧右眄
四顧
愛顧
顧視
贔顧
見顧
顧愷之
右顧
反顧
...