“やと”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヤト
語句割合
46.6%
38.8%
谷戸4.3%
4.3%
3.0%
0.9%
野兎0.9%
0.4%
野渡0.4%
0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ともちゃんは、俺たちに理解と同情とを持っていて、モデルもやとえないほど貧乏な俺たちのためにモデルになってくれたのだ。いいか。
ドモ又の死 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
家族かぞくといっては、ほかにとしとった、やといのおばあさんがいるばかり、ひろにわには、いっぱい草花くさばなえて、これをあいしていました。
三つのお人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おそらくはその邑落に小さい市でも立っていた地と考えたのであろう。これとよく似ているのは関東の「何ヶ谷戸やと」である。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
停車場ステーションで車をやとってうちへ急ぐ途中も、何だか気がいらって、何事も落着いて考えられなかったが、片々きれぎれの思想が頭の中で狂いまわる中でも
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
それから馬車をやとつて、少しの時間を利用して吉林城を見物し、また城南にある北山の中腹にまで登つて松花江と城とを展望する事にした。
ここのやとかげまたく無し消し棄てにふたたびとけずいねにたるらし
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
やがて土旋風つちつむじの運んで来た人声やら馬蹄の音が、欅林の中にもけむり出した。将門とその家人に追われて来た扶方の伏兵共が、狩られる野兎やとのように、あっちこっちへ逃げまどうのであった。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平素人にやとわれる身分軽き祠丁でありながら、その折だけは、獅子神の如く尊大に振舞うとは、我が甲斐国の各村に行われた、獅子舞の聟いじめの折に、往々、村の定使じょうづかいと称する者が
獅子舞雑考 (新字新仮名) / 中山太郎(著)
淀川十里の間あしかやの深き処、浅瀬の船底石にる処、深淵の蒼みたるところ、堤に柳ありて直曲なる処、野渡やとのせばき処、遠き山見るところ、近き村ある処、彼此観望する間
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
一人やとったよ。四時にはくるといったから、もうすぐにやってくるだろう。とにかく探偵の意見も訊いてから、どうにかしようと思っている
黒襟飾組の魔手 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)