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やと
ふりがな文庫
“
傭
(
やと
)” の例文
始は査官
言
(
こと
)
を尽して説き
諭
(
さと
)
しけれど、一向に聞入れねば、止むことを得ずして、他の査官を
傭
(
やと
)
ひ来りつ、遂に警察署へ送り入れぬ。
鬼心非鬼心:(実聞)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
ともちゃんは、俺たちに理解と同情とを持っていて、モデルも
傭
(
やと
)
えないほど貧乏な俺たちのためにモデルになってくれたのだ。いいか。
ドモ又の死
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
この男は、いつどこから来たともなく、ここの
店頭
(
みせさき
)
に坐って、亭主ともつかず
傭
(
やと
)
い人ともつかず、商いの手伝いなどすることになった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
私は
尚
(
なお
)
念の為に、彼が
傭
(
やと
)
ったという人力車の宿を聞いて、尋ねて見たところ、送り先が、諸戸の住居のある
池袋
(
いけぶくろ
)
であったことも分った。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
傭
(
やと
)
うまで待ってくれと云ったら人足じゃいかん
懺悔
(
ざんげ
)
の意を表するためにあなたが自身で起さなくては仏の意に
背
(
そむ
)
くと云うんだからね
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
処が当時本邦の学校に
傭
(
やと
)
われて居た教師連には宣教師が多かったので、先生の進化論講義は彼れ等には非常な恐慌を来たしたものである。
日本その日その日:01 序――モース先生
(新字新仮名)
/
石川千代松
(著)
処が当時本邦の学校に
傭
(
やと
)
われて居た教師連には宣教師が多かったので、先生の進化論講義は彼れ等には非常な恐慌を来たしたものである。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
もとより貧乏とて手伝いを
傭
(
やと
)
う身分ではありません。村の人たちが気の毒がって、「さぞお疲れのことでしょう」と慰めました。
益子の絵土瓶
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
勝彦や美奈子の母などとも、たゞ、
在来
(
ありきたり
)
の結婚で、給金の
入
(
い
)
らない高等な女中をでも、
傭
(
やと
)
ったように考うて、接していたのです。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「お父さんが、あなたにフランス人の女中を
傭
(
やと
)
って下すったのは、あなたにフランス語の勉強を特にさせたいお考えからだと思いますが。」
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
傭
(
やと
)
うべき駄馬の背も見つからなかった。従って、当面の必要なもの以外を和船の
回漕
(
かいそう
)
に
委
(
ゆだ
)
ねたのも
止
(
や
)
むを得ない事情であった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
それは中古のフォードで、柳澤といふ運転手もそれと一緒に
傭
(
やと
)
はれて、住込むことになつたのである。柳澤ばかりではない。
地獄
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
されば芝居を
造
(
つく
)
る処、此役者
等
(
ら
)
が家はさらなり、
親類
(
しんるゐ
)
縁者
(
えんじや
)
朋友
(
はういう
)
よりも人を出し、あるひは人を
傭
(
やと
)
ひ芝居小屋場の地所の雪を
平
(
たひ
)
らかに
踏
(
ふみ
)
かため
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
愈
(
いよ/\
)
傭
(
やと
)
はれて
行
(
ゆ
)
くとなつた
時
(
とき
)
收穫
(
とりいれ
)
を
急
(
いそ
)
いだ。
冬至
(
とうじ
)
が
近
(
ちか
)
づく
頃
(
ころ
)
には
田
(
た
)
はいふまでもなく
畑
(
はたけ
)
の
芋
(
いも
)
でも
大根
(
だいこ
)
でもそれぞれ
始末
(
しまつ
)
しなくてはならぬ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「そうして、お前は好きな女中を
傭
(
やと
)
うて、その部屋の
主
(
あるじ
)
となってよいのじゃ、人に使われるお前でなくて、人を使う身分と心得てよいのじゃ」
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
何でももう
老朽
(
ろうきゅう
)
の英語の先生だそうで、どこでも
傭
(
やと
)
ってくれないんだって云いますから、大方暇つぶしに来るんでしょう。
毛利先生
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
石田は口入の上さんを呼んで、
小女
(
こおんな
)
をもう一人
傭
(
やと
)
いたいと云った。上さんが、そんなら内の娘をよこそうと云って帰った。
鶏
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
屋根は天気を見さだめて一日のうちに葺くから、手伝いもいるし、
繩
(
なわ
)
や竹も集めねばならぬが、それだけならば
傭
(
やと
)
いも買いもすることができる。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
その汽車の中で、けふはポンペイから驢馬などを
傭
(
やと
)
はないで
好
(
よ
)
かつた。そうでなかつたら、今ごろは山腹あたりで難儀してゐただらうとおもつた。
ヴエスヴイオ山
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
一、今度大学の土木課を卒業した工学士の内五人だけ米国の会社に
傭
(
やと
)
はれて漢口へ鉄道敷きに行くさうな。世界は広い。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
午前
(
ひるまへ
)
に二時間の割で
傭
(
やと
)
つてお出でになるのださうで、まだ
後
(
あと
)
十日くらゐは来てくれなければと青木さんは言はれた。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
一滴の涙が大効を奏し数度の戦いに心身を練った武田家の遺臣を
傭
(
やと
)
うことが出来たら、こんなうまい商売はないよ
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
無理無体なことではあるが、かれはこの若者を
傭
(
やと
)
って、仮托してまでも、バイロン卿のえらさを現前したかった。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
この
僧侶
(
そうりょ
)
を
別当
(
べっとう
)
と
称
(
とな
)
え、神主の方はむしろ別当従属の地位にいて坊さんから
傭
(
やと
)
われていたような有様であった。
幕末維新懐古談:31 神仏混淆廃止改革されたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
未
(
ま
)
だ若い
様
(
よう
)
であった。夫と子供に相ついで死にわかれ、ひとりでいるのを、私の家で見つけて、
傭
(
やと
)
ったのである。この乳母は、終始、私を頑強に支持した。
新樹の言葉
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
……麻薬の取引にでも加わっているのだろうか? 密輸団は、おそらく、多額の金か恐怖で彼女を
傭
(
やと
)
ったのだ。
待っている女
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
大家
(
たいか
)
は
家夫
(
わかいもの
)
を尽して力たらざれば
掘夫
(
ほりて
)
を
傭
(
やと
)
ひ、幾十人の力を
併
(
あわせ
)
て一時に掘尽す。事を急に為すは掘る内にも大雪下れば
立地
(
たちどころ
)
に
堆
(
うずたか
)
く人力におよばざるゆゑなり。
雪
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
第二篇の饗庭篁村の『掘出し物』は丁度
新店
(
しんみせ
)
の
見世開
(
みせびら
)
きに
隣家
(
となり
)
の
老舗
(
しにせ
)
の番頭を
傭
(
やと
)
って来たようなものであるが、続いて思案の『
乙女心
(
おとめごころ
)
』、漣の『
妹背貝
(
いもせがい
)
』と
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
翌日土人一名を案内として
傭
(
やと
)
い、乗馬にて早発し、細川氏にて休み、
後
(
ご
)
三時牧塲に着す。其実况は
左
(
さ
)
に。
関牧塲創業記事
(新字新仮名)
/
関寛
(著)
アヌンチヤタを見るべからざること五週に
亙
(
わた
)
るべし。彼君はフイレンツエの芝居に
傭
(
やと
)
はれ、斷食日の初にこゝを立つなりとぞ。ベルナルドオは語を繼ぎていはく。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
世間への遠慮から、未亡人と丑松とは上の渡し迄歩いて、対岸の休茶屋で別に二台の橇を
傭
(
やと
)
ふことにして、軈て一同『御機嫌
克
(
よ
)
う』の声に送られ乍ら扇屋を出た。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
二た刻ばかり後、今日一日の店を仕舞ひ、借りた物は返し、
傭
(
やと
)
つた人には手當をやつてゐるところへ、ガラツ八の八五郎は濡れ鼠のやうになつて飛込んで來ました。
銭形平次捕物控:071 平次屠蘇機嫌
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
雷門から円タクを
傭
(
やと
)
って家に帰ると、いつものように顔を洗い髪を掻直した後、すぐさま
硯
(
すずり
)
の
傍
(
そば
)
の
香炉
(
こうろ
)
に香を焚いた。そして中絶した草稿の末節をよみ返して見る。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
先生の
家
(
うち
)
にも、大麦小麦を合わせて一反そこらの麦の収納をするが、其れは人を
傭
(
やと
)
うたりして直ぐ片づいてしまう。
慰
(
なぐさ
)
みにくるり棒を取った処で、大した事も無い。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
傭
(
やと
)
ひ大勢にて尋ね給へと云れて友次郎はお花の事の心に係れば
暫
(
しば
)
しも
落付
(
おちつく
)
氣
(
き
)
は無れども先刻よりの足の
勞
(
つか
)
れに今は一歩も歩行べき
樣
(
やう
)
なければ老女が言葉を幸ひに容を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
柳はしかたなしに界方を置いて帰っていったが、どうも不安でたまらないから、輿を
傭
(
やと
)
って急いで老婆の家へ取りにいった。老婆の家は
空
(
から
)
になってだれもいなかった。
織成
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
ロミオ そりゃ
實
(
まこと
)
か?……おのれ、
怨
(
うら
)
めしい
運星
(
うんせい
)
めら!……
俺
(
おれ
)
の
宿
(
やど
)
を
知
(
し
)
ってゐような。
筆
(
ふで
)
と
紙
(
かみ
)
とを
手
(
て
)
に
入
(
い
)
れて、そして
驛馬
(
はやうま
)
をも
傭
(
やと
)
うてくれ。
今宵
(
こよひ
)
のうちに
出發
(
た
)
たうわ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
言
(
い
)
ふまでもなく
馬
(
うま
)
を
打
(
う
)
つ
策
(
むち
)
は
僕
(
ぼく
)
の
頭上
(
づじやう
)
に
霰
(
あられ
)
の如く
落
(
お
)
ちて來た。
早速
(
さつそく
)
金
(
かね
)
で
傭
(
やと
)
はれた
其邊
(
そこら
)
の
舟子
(
ふなこ
)
共
(
ども
)
幾人
(
いくにん
)
は
魚
(
うを
)
の如く
水底
(
すゐてい
)
を
潛
(
くゞ
)
つて手に
觸
(
ふ
)
れる石といふ石は
悉
(
こと/″\
)
く
岸
(
きし
)
に
拾
(
ひろ
)
ひ
上
(
あげ
)
られた。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
その婦人なら
申分
(
もうしぶん
)
ない料理女だからと云う返事であったので即座にこの女を
傭
(
やと
)
うことに
定
(
き
)
めた。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
危いところでしたな。あなたは命拾いしましたよ。わたしは金儲けの
傭
(
やと
)
われ兵だから、あなたを
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
彼は昨日は嫂の疎開先である
廿日市
(
はつかいち
)
町の方へ寄り、今日は八幡村の方へ交渉して荷馬車を
傭
(
やと
)
って来たのである。そこでその馬車に乗って私達はここを引上げることになった。
夏の花
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
彼
(
あれ
)
がいよいよ取りかかる日には
何人
(
いくら
)
も
傭
(
やと
)
うその
中
(
うち
)
に汝が手下の者も交じろう、必ず
猜忌邪曲
(
そねみひがみ
)
など起さぬようにそれらには汝からよく云い含めてやるがよいとの細かいお
諭
(
さと
)
し
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
戴十
(
たいじゅう
)
というのはどこの人であるか知らないが、兵乱の後は洛陽の東南にある
左家荘
(
さかそう
)
に住んで、人に
傭
(
やと
)
われて働いていた。いわゆる
日傭
(
ひよう
)
取りのたぐいで、甚だ貧しい者であった。
中国怪奇小説集:12 続夷堅志・其他(金・元)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
米国の
或
(
ある
)
家庭へ
傭
(
やと
)
はれて
其処
(
そこ
)
で
仏蘭西
(
フランス
)
に三年間居るだけの学資を作つて
巴里
(
パリイ
)
へ来た人なんです。親孝行な人で毎月学資の中から日本へ逆に送金して居ると云ふ噂もありました。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
「そんなことを俺が知るものかい。俺もお前と同じように、
傭
(
やと
)
われている身分だよ。なんでもいいから、お金を下さる御主人さまのいいつけ通りにしていれば間違いはないんだ」
東京要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
やがて家に着いて見ると、家の女たちや
傭
(
やと
)
ってきた泣き女が、泣きつ叫びつ騒いでいた。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
若
(
も
)
しもわれ等が、古代の啓示の矛盾を指摘し、
何
(
いず
)
れの啓示も、決して
円満
(
えんまん
)
具足
(
ぐそく
)
を
以
(
もっ
)
て任ずるものでないことを告ぐれば、彼等はドグマだらけの神学者の常套語などを
傭
(
やと
)
い
来
(
きた
)
りて
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
石橋
(
いしばし
)
と
私
(
わたし
)
とが
交
(
かは
)
る/″\
詰
(
つ
)
める事にして、
別
(
べつ
)
に
会計掛
(
くわいけいがゝり
)
を置き、
留守居
(
るすゐ
)
を置き、
市内
(
しない
)
を
卸売
(
おろしうり
)
に
行
(
ある
)
く者を
傭
(
やと
)
ひ
其
(
その
)
勢
(
いきほひ
)
旭
(
あさひ
)
の
昇
(
のぼ
)
るが
如
(
ごと
)
しでした、
外
(
ほか
)
に
類
(
るゐ
)
が無かつたのか雑誌も
能
(
よ
)
く売れました
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
或る時は雑誌屋に
傭
(
やと
)
われて飜訳の手伝いをしました。或る時は、活動写真館に傭われてプロを作る役目をひき受けました。かくして私は、東京の隅から隅へとうろつき歩いたのです。
悪魔の弟子
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
しまいには皆が気味悪くなって、もう二度と彼女を追うものさえいなかった。かの女は老婆と
一
(
いっ
)
しょに住んでいたが、それから後も忙しい家族の手伝いに次から次へと
傭
(
やと
)
われていた。
幻影の都市
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
傭
漢検準1級
部首:⼈
13画
“傭”を含む語句
日傭稼
日傭
傭人
傭船
日傭取
日傭人
常傭
雇傭
傭兵
傭婆
傭人等
傭入
解傭
傭主
傭聘
日傭賃
日傭兵
傭書
使傭人
試傭
...