野兎やと)” の例文
松と松とのを、野兎やとのごとく逃げ走ッていった男の影は見失ったが、その代りに、楊志は、思いがけない一トかたまりの旅商人たびあきんどの仲間に出会った。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やがて土旋風つちつむじの運んで来た人声やら馬蹄の音が、欅林の中にもけむり出した。将門とその家人に追われて来た扶方の伏兵共が、狩られる野兎やとのように、あっちこっちへ逃げまどうのであった。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)