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顧
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かへり
ふりがな文庫
“
顧
(
かへり
)” の例文
平次は番頭の仲左衞門を
顧
(
かへり
)
みました。ドカドカと店に出た家中の顏の中に、それは一番分別臭く尤もらしく平次の眼に映つたのです。
銭形平次捕物控:220 猿蟹合戦
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
何
(
なに
)
として
今日
(
けふ
)
はと
頸
(
うなじ
)
を
延
(
の
)
ばす
心
(
こゝろ
)
は
同
(
おな
)
じ
表
(
おもて
)
のお
高
(
たか
)
も
路次口
(
ろじぐち
)
顧
(
かへり
)
みつ
家内
(
かない
)
を
覗
(
のぞ
)
きつ
芳
(
よし
)
さまはどうでもお
留守
(
るす
)
らしく
御相談
(
ごさうだん
)
すること
山
(
やま
)
ほどあるを
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「そんだが、
旦那
(
だんな
)
はたいしたもんでがすね、
旦那
(
だんな
)
書
(
か
)
いたんだつて
云
(
ゆ
)
つたらなあ」と
彼
(
かれ
)
は
更
(
さら
)
に
跟
(
つ
)
いて
行
(
い
)
つた
近所
(
きんじよ
)
の
者
(
もの
)
を
顧
(
かへり
)
みていつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
ば
大来目主
(
おほくめぬし
)
と、
負
(
お
)
ひ持ちて仕へし
官
(
つかさ
)
、海行かば
水漬
(
みづ
)
く
屍
(
かばね
)
、山ゆかば草むす屍、おほきみの
辺
(
へ
)
にこそ死なめ、
顧
(
かへり
)
みはせじと
言立
(
ことだ
)
て
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
も
顧
(
かへり
)
みず不屆きの次第故
早速
(
さつそく
)
取押へ町名家主等
相尋
(
あひたづ
)
ね候へ共何か
取留
(
とりとま
)
らぬ申
口
(
くち
)
にて
至極
(
しごく
)
怪敷
(
あやしく
)
存じ候間其儘差出候に付御吟味下さるべく候以上
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
或る人民の
好
(
この
)
んで
食
(
くら
)
ふ物を他の人民は
捨
(
す
)
てて
顧
(
かへり
)
みず、或る人民の食ふ可からずとする
物
(
もの
)
を他の人民は
喜
(
よろこ
)
んで
賞玩
(
せうくわん
)
するの類其
例
(
れい
)
决
(
けつ
)
して少からす。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
『もう一
度
(
ど
)
復誦
(
ふくせう
)
して
呉
(
く
)
れッて、
娘
(
むすめ
)
に
然
(
さ
)
う
云
(
い
)
へ』
其
(
そ
)
れは
恰
(
あだか
)
も
愛
(
あい
)
ちやん
以上
(
いじやう
)
に
或
(
あ
)
る
權威
(
けんゐ
)
を
持
(
も
)
つてゞも
居
(
ゐ
)
るかのやうに、グリフォンの
方
(
はう
)
を
顧
(
かへり
)
みました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
二人
(
ふたり
)
の
後
(
あと
)
から
続々
(
ぞく/\
)
聴講生が
出
(
で
)
て
来
(
く
)
る。三四郎は
已
(
やむ
)
を得ず無言の儘
階子
(
はしご
)
段を
降
(
お
)
りて横手の玄関から、図書館
傍
(
わき
)
の
空地
(
あきち
)
へ
出
(
で
)
て、始めて与次郎を
顧
(
かへり
)
みた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
然うなると周三は
遉
(
さす
)
がに
内
(
うち
)
を
顧
(
かへり
)
みて心に
慚
(
は
)
づる、何だか藝術の神聖を
穢
(
け
)
がすやうにも思はれ、またお房に藝術的
良心
(
りやうしん
)
を
腐蝕
(
ふしよく
)
させられるやうにも感ずる。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
晩餐を果てて、三人燈下に物語りつゝあり、「何だか、
阿母
(
おつかさん
)
、先生が御不在と
思
(
お
)
もや、
其処
(
そこ
)
いらが寂しいのねエ」と、お花は、篠田の書斎の
方
(
かた
)
顧
(
かへり
)
みつゝ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「ぼち/\行きまへうかな。」と、千代松は初めて竹丸の居るのに氣がついたやうな風をして、背後を
顧
(
かへり
)
みた。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「このことは最初の衝動で爲されてゐるのです。だから、あなたの言葉が確實なものとして
顧
(
かへり
)
みられる爲めには、こんなことは數日考へなければいけません。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
と
出
(
だ
)
さうとした
信玄袋
(
しんげんぶくろ
)
は、
顧
(
かへり
)
みるに
餘
(
あま
)
りに
輕
(
かる
)
い。
函
(
はこ
)
に
載
(
の
)
せると、ポンと
飛出
(
とびだ
)
しさうであるから
遠慮
(
ゑんりよ
)
した。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『おゝ、
可愛
(
かあい
)
らしい
兒
(
こ
)
ですな。』と
親切
(
しんせつ
)
に
其
(
その
)
頭
(
かしら
)
を
撫
(
な
)
でつゝ、
吾等
(
われら
)
の
傍
(
かたわら
)
に
勇
(
いさ
)
ましき
面
(
おもて
)
して
立
(
た
)
てる
水兵
(
すいへい
)
を
顧
(
かへり
)
み
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
さうしてこれはただ
人事
(
ひとごと
)
ではないのでした。
私達
(
わたしたち
)
はよく
自
(
みづか
)
ら
顧
(
かへり
)
み、自らよく考へなければなりませぬ。
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
「さあ」と瀬田が声を掛けて一座を
顧
(
かへり
)
みると、皆席を起つた。中で人夫の募集を受け合つてゐた
柏岡
(
かしはをか
)
伝七と、
檄文
(
げきぶん
)
を配る役になつてゐた上田とは屋敷を出て往つた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
武矦
(
ぶこう
)
、
西河
(
せいが
)
に
浮
(
うか
)
びて
下
(
くだ
)
る、
中流
(
ちうりう
)
にして
顧
(
かへり
)
みて
呉起
(
ごき
)
に
謂
(
い
)
つて
曰
(
いは
)
く、『
美
(
び
)
なる
哉乎
(
かな
)
、
山河
(
さんが
)
の
固
(
かた
)
め、
此
(
こ
)
れ
魏國
(
ぎこく
)
の
寶也
(
たからなり
)
』と。
起
(
き
)
、
對
(
こた
)
へて
曰
(
いは
)
く、『((國ノ寶ハ))
徳
(
とく
)
に
在
(
あ
)
りて
險
(
けん
)
に
在
(
あ
)
らず。 ...
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
相憐
(
あひあはれ
)
んで曰く
泣面
(
なきづら
)
に
蜂
(
はち
)
とは其れ之を
云
(
い
)
ふ乎と、午後五時井戸沢山脈中の一峯に
上
(
のぼ
)
り
露宿
(
ろしゆく
)
を
取
(
と
)
る、高四千五百尺、
顧
(
かへり
)
みれば前方の山脈其
中腹
(
ちうふく
)
の
凹所
(
わうしよ
)
に白雪を堆くし、皚々眼を射る
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
中々
(
なか/\
)
大人
(
たいじん
)
は知らん
処
(
ところ
)
へ
御来臨
(
ごらいりん
)
のない事は
存
(
ぞん
)
じて
居
(
を
)
りましたが、一
度
(
ど
)
にても先生の
御入来
(
おいで
)
がないと
朋友
(
ほういう
)
の
前
(
まへ
)
も
実
(
じつ
)
に
外聞
(
ぐわいぶん
)
悪
(
わる
)
く思ひます所から、
御無礼
(
ごぶれい
)
を
顧
(
かへり
)
みず
再度
(
さいど
)
書面
(
しよめん
)
を
差上
(
さしあ
)
げましたが
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
往時
(
わうじ
)
を
顧
(
かへり
)
みて
感慨
(
かんがい
)
を
催
(
もよふ
)
すの
時
(
とき
)
、
換骨脱體
(
くわんこつだつたい
)
なる
語
(
ご
)
の
意味
(
いみ
)
を
始
(
はじ
)
めて
解
(
かい
)
したるの
思
(
おもひ
)
あり。
命の鍛錬
(旧字旧仮名)
/
関寛
(著)
「
然
(
しか
)
し、
僕
(
ぼく
)
もずゐ
分
(
ぶん
)
氣
(
き
)
を
附
(
つ
)
けちやあゐたんだぜ‥‥」と、
私
(
わたし
)
は
傍
(
そば
)
の
兵士
(
へいし
)
を
顧
(
かへり
)
みた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
日本の女は商品同様に扱はれ、彼等の意志も
顧
(
かへり
)
みられず、彼等の女としての権利も顧みられず、
夫
(
をつと
)
に売られるものである。且つまた夫の在世中は、家畜或は奴隷のやうに扱はれるものである。
日本の女
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
顧
(
かへり
)
みて明治の作家を
屈
(
かぞ
)
ふるに、真に情熱の趣を具ふるもの果して之を求め得べきや。露伴に於て多少は之を見る、然れども彼の情熱は彼の信仰(宗教?)によりて幾分か常に冷却せられつゝあるなり。
情熱
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
顧
(
かへり
)
みると
町
(
まち
)
の
旅館
(
りよかん
)
の
旗
(
はた
)
が
竿頭
(
かんとう
)
に
白
(
しろ
)
く
動
(
うご
)
いて
居
(
を
)
る。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
と、千種は、園子の方を
顧
(
かへり
)
みた。
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
「そんぢやおとつゝあ
水飴
(
みづあめ
)
でも
買
(
か
)
つて
來
(
き
)
てやつたらよかつぺな、
與吉
(
よき
)
げ
隱
(
かく
)
して
置
(
お
)
けば
何
(
なん
)
でも
有
(
あ
)
んめえな」おつぎは
更
(
さら
)
に
卯平
(
うへい
)
を
顧
(
かへり
)
みて
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
取卷く人達を
顧
(
かへり
)
み
乍
(
なが
)
ら、平次は床の間に登つて、
狆潜
(
ちんくゞ
)
りの
框
(
わく
)
へ足を掛けると、
長押
(
なげし
)
に片手を掛けて、床の間の天井の板を押して見ました。
銭形平次捕物控:002 振袖源太
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それと
知
(
し
)
れば
俄
(
にはか
)
に
肩
(
かた
)
すぼめられて
見
(
み
)
る
人
(
ひと
)
なければ
遽
(
あはたゞ
)
しく
片蔭
(
かたかげ
)
のある
薄暗
(
うすくら
)
がりに
車
(
くるま
)
も
我
(
われ
)
も
寄
(
よ
)
せて
憩
(
いこ
)
ひつ、
靜
(
しづ
)
かに
顧
(
かへり
)
みれば
是
(
こ
)
れも
笹原
(
さゝはら
)
走
(
はし
)
るたぐひ
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「
京都
(
きやうと
)
は
好
(
い
)
い
所
(
ところ
)
ね」と
云
(
い
)
つて
二人
(
ふたり
)
を
顧
(
かへり
)
みた。それを
一所
(
いつしよ
)
に
眺
(
なが
)
めた
宗助
(
そうすけ
)
にも、
京都
(
きやうと
)
は
全
(
まつた
)
く
好
(
い
)
い
所
(
ところ
)
の
樣
(
やう
)
に
思
(
おも
)
はれた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
顧
(
かへり
)
みられよ
古語
(
こご
)
にも
父
(
ちゝ
)
父
(
ちゝ
)
たれば
子
(
こ
)
子
(
こ
)
たり
父
(
ちゝ
)
父
(
ちゝ
)
たらざれば
子
(
こ
)
子
(
こ
)
たらずと云に非ずや然る故に
此度
(
このたび
)
の如き家の
騷動
(
さうどう
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
『
盜
(
ぬす
)
んだナ!』と
王樣
(
わうさま
)
は
陪審官
(
ばいしんくわん
)
を
顧
(
かへり
)
みながら
叫
(
さけ
)
ばれました、
陪審官
(
ばいしんくわん
)
は
絶
(
た
)
えず
事實
(
じゞつ
)
の
備忘録
(
びばうろく
)
を
作
(
つく
)
つてゐました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
空は何時しか晴れぬ、陰暦の
何日
(
いつか
)
なるらん半ば欠けたる月、
槻
(
けやき
)
の巨木、花咲きたらん如き白き
梢
(
こずゑ
)
に
懸
(
かゝ
)
りて、
顧
(
かへり
)
み勝ちに行く梅子の影を積れる雪の上に見せぬ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
北八
(
きたはち
)
を
顧
(
かへり
)
みて、
日曜
(
にちえう
)
でないから
留守
(
るす
)
だけれども、
氣
(
き
)
の
利
(
き
)
いた
小間使
(
こまづかひ
)
が
居
(
ゐ
)
るぜ、
一寸
(
ちよつと
)
寄
(
よ
)
つて
茶
(
ちや
)
を
呑
(
の
)
まうかと
笑
(
わら
)
ふ。およしよ、と
苦
(
にが
)
い
顏
(
かほ
)
をする。
即
(
すなは
)
ちよして、
團子坂
(
だんござか
)
に
赴
(
おもむ
)
く。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
それに結婚といふむきつけな考への私の氣持が、どんなに
忌
(
いま
)
はしいかを知つてゐます。誰も私を愛してはくれないでせうし、單に、金儲けといふ
意味
(
いみ
)
では、私は
顧
(
かへり
)
みられないでせう。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
三
人
(
にん
)
の
武士
(
ぶし
)
は
仕
(
し
)
かたなしに、
左右
(
さいう
)
を
顧
(
かへり
)
みつゝ、
少
(
すこ
)
しづつ
死體
(
したい
)
の
側
(
そば
)
に
近寄
(
ちかよ
)
つて
來
(
き
)
た。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
かうなつて來ると、一體私は
内容
(
ないよう
)
の方に心を
惹
(
ひ
)
かれるものですが、とても形式方面の
缺點
(
けつてん
)
や
非難
(
ひなん
)
を
顧
(
かへり
)
みる暇はありません。その
描
(
ゑが
)
かれてゐる事に對して、作の大きな
尊
(
たふと
)
さを
感
(
かん
)
じて了ふのです。
三作家に就ての感想
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
而
(
しかう
)
してその
隆盛
(
りうせい
)
に至りし
所以
(
ゆゑん
)
のものは、有名の学士
羅希
(
らき
)
に
出
(
いで
)
て、之れが改良を
謀
(
はか
)
るに
由
(
よ
)
る。然るに
吾邦
(
わがくに
)
の学者は
夙
(
つと
)
に
李園
(
りゑん
)
(原)を
鄙
(
いやし
)
み、
措
(
おい
)
て
顧
(
かへり
)
みざるを以て、之を記するの書、
未嘗
(
いまだかつて
)
多しとせず。
本の事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
利根
(
とね
)
の
支流
(
しりう
)
たる
湯
(
ゆ
)
の小屋河に
臨
(
のぞ
)
み、河を
下
(
くだ
)
る事二町にし玄道、大龍、小龍の三大
瀑布
(
ばくふ
)
ありて
実
(
じつ
)
に壮観を
極
(
きは
)
む、衆相
顧
(
かへり
)
みて曰く、這回の
探検
(
たんけん
)
たる此等の如き
険所
(
けんしよ
)
数多を
経過
(
けいくわ
)
せざるべからざるかと
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
されど
余
(
よ
)
が
現状
(
げんじやう
)
を
顧
(
かへり
)
みれば、
既
(
すで
)
に
七福
(
しちふく
)
を
得
(
え
)
たるにはあらざるかと
思
(
おも
)
ふ。
命の鍛錬
(旧字旧仮名)
/
関寛
(著)
全體
(
ぜんたい
)
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
の
人
(
ひと
)
の、
道
(
みち
)
とか
宗教
(
しうけう
)
とか
云
(
い
)
ふものに
對
(
たい
)
する
態度
(
たいど
)
に
三通
(
みとほ
)
りある。
自分
(
じぶん
)
の
職業
(
しよくげふ
)
に
氣
(
き
)
を
取
(
と
)
られて、
唯
(
たゞ
)
營々役々
(
えい/\えき/\
)
と
年月
(
としつき
)
を
送
(
おく
)
つてゐる
人
(
ひと
)
は、
道
(
みち
)
と
云
(
い
)
ふものを
顧
(
かへり
)
みない。これは
讀書人
(
どくしよじん
)
でも
同
(
おな
)
じ
事
(
こと
)
である。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
一
般
(
ぱん
)
の
子女
(
しぢよ
)
の
境涯
(
きやうがい
)
は
如此
(
かくのごとく
)
にして
稀
(
まれ
)
には
痛
(
いた
)
く
叱
(
しか
)
られることもあつて
其
(
その
)
時
(
とき
)
のみは
萎
(
しを
)
れても
明日
(
あす
)
は
忽
(
たちま
)
ち
以前
(
いぜん
)
に
還
(
かへ
)
つて
其
(
その
)
性情
(
せいじやう
)
の
儘
(
まゝ
)
に
進
(
すゝ
)
んで
顧
(
かへり
)
みぬ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
ガラツ八の八五郎は、八つ手の葉つぱのやうな
掌
(
て
)
を叩きながら、自分のことのやうに、自慢らしく平次を
顧
(
かへり
)
みるのでした。
銭形平次捕物控:210 飛ぶ女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼
(
あ
)
の
人
(
ひと
)
あれ
程
(
ほど
)
の
身
(
み
)
にて
人
(
ひと
)
の
性
(
せい
)
をば
名告
(
なの
)
らずともと
誹
(
そし
)
りしも
有
(
あり
)
けれど、
心安
(
こゝろやす
)
う
志
(
こゝろざす
)
す
道
(
みち
)
に
走
(
はし
)
つて、
内
(
うち
)
を
顧
(
かへり
)
みる
疚
(
やま
)
しさの
無
(
な
)
きは、これ
皆
(
みな
)
養父
(
やうふ
)
が
賜物
(
たまもの
)
ぞかし
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「
貴方
(
あなた
)
今夜
(
こんや
)
敷
(
し
)
いて
寐
(
ね
)
て
下
(
くだ
)
さい」と
云
(
い
)
つて、
御米
(
およね
)
は
宗助
(
そうすけ
)
を
顧
(
かへり
)
みた。
夫
(
をつと
)
から、
坂井
(
さかゐ
)
へ
來
(
き
)
てゐた
甲斐
(
かひ
)
の
男
(
をとこ
)
の
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
いた
時
(
とき
)
は、
御米
(
およね
)
も
流石
(
さすが
)
に
大
(
おほ
)
きな
聲
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
して
笑
(
わら
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
と
彼
(
か
)
の書生は、木立の
間
(
ま
)
なる新築の屋根を
顧
(
かへり
)
みつゝ「
何
(
ど
)
うも不思議だナ、僕は
殆
(
ほとん
)
ど信ずることが出来んよ」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
取
(
とり
)
勿體
(
もつたい
)
無い何事ぞや
失禮
(
しつれい
)
なるも
顧
(
かへり
)
みず御意見なせしお
叱
(
しか
)
りも
無
(
なき
)
のみ成ず
速
(
すみや
)
かに御志ざしを御改め下さらんとは
有難
(
ありがた
)
く夫にて安心仕つりぬと
悦
(
よろこ
)
び云ば千太郎は
猶
(
なほ
)
手
(
て
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
と
渠
(
かれ
)
は
獨
(
ひと
)
り
頷
(
うなづ
)
きつゝ、
從容
(
しようよう
)
として
立上
(
たちあが
)
り、
甲板
(
デツキ
)
の
欄干
(
てすり
)
に
凭
(
よ
)
りて、
犇
(
ひしめ
)
き
合
(
あ
)
へる
乘客等
(
じようかくら
)
を
顧
(
かへり
)
みて
旅僧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
私はロチスター氏がイングラム孃を
顧
(
かへり
)
みイングラム孃が彼の方を
向
(
む
)
くのを見た。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
負傷
(
ふしやう
)
は
直
(
なを
)
る、
然
(
しか
)
し、
精巧
(
せいかう
)
な
銃
(
じう
)
を
毀
(
こは
)
したならば、それは
直
(
なを
)
らない。
況
(
ま
)
してあの
時
(
とき
)
中根
(
なかね
)
が
銃
(
じう
)
を
離
(
はな
)
して
顧
(
かへり
)
みなかつたならば、
銃
(
じう
)
は
水中
(
すゐちう
)
に
無
(
な
)
くなつたかも
知
(
し
)
れない。
即
(
すなは
)
ち
歩兵
(
ほへい
)
の
命
(
いのち
)
を
失
(
うしな
)
つたことになる。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
同じく大刀根岳より
発
(
はつ
)
するものたり、数間
毎
(
こと
)
に
必
(
かなら
)
ず
瀑布
(
ばくふ
)
あり、而して両岸を
顧
(
かへり
)
みれば一面の岩壁
屏風
(
びやうぶ
)
の如くなるを以て如何なる
危
(
あやう
)
き瀑布と
雖
(
いへど
)
も之を
過
(
す
)
ぐるの
外
(
ほか
)
道
(
みち
)
なきなり、其
危険
(
きけん
)
云ふべからず
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
“顧”の解説
顧(こ)は、漢姓のひとつ。『百家姓』の93番目。
(出典:Wikipedia)
顧
常用漢字
中学
部首:⾴
21画
“顧”を含む語句
顧盻
顧客
顧眄
回顧
顧慮
振顧
相顧
後顧
一顧
眷顧
右顧左眄
左顧右眄
四顧
愛顧
顧視
贔顧
見顧
顧愷之
右顧
反顧
...