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冠
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かぶ
ふりがな文庫
“
冠
(
かぶ
)” の例文
なくてはならざる匂袋、これを忘れてなるものか。
頭巾
(
づきん
)
を
冠
(
かぶ
)
つて肩掛を懸ける、雨の降る日は
道行合羽
(
みちゆきがつぱ
)
、
蛇
(
じや
)
の目の
傘
(
からかさ
)
をさすなるべし。
当世女装一斑
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
此方
(
こちら
)
は
焚火
(
たきび
)
どころで
無
(
な
)
い。
汗
(
あせ
)
を
垂
(
た
)
らして
掘
(
ほ
)
り
進
(
すゝ
)
むのに、いや、
土龍
(
むぐろ
)
のやうだの、
井戸掘
(
ゐどほり
)
の
手間
(
てま
)
だの、
種々
(
いろ/\
)
な
批評
(
ひひやう
)
を
頭
(
あたま
)
から
冠
(
かぶ
)
せられる。
探検実記 地中の秘密:20 大森貝塚の発掘
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
盲目
(
めくら
)
のお婆さんは、座が定ると、
懐
(
ふところ
)
から手拭を出して、それを例のごとく三角にして
冠
(
かぶ
)
つた。
暢気
(
のんき
)
な鼻唄が唸
る
(
うな
)
るやうに聞え出した。
朝
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
良い女でした、蒼白い品の良い顏を見違へる筈もありませんが、何分、お
高祖頭巾
(
こそづきん
)
を
冠
(
かぶ
)
つて居たので、覗いて見るわけにも參りません
銭形平次捕物控:296 旅に病む女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
シンガポール邦字雑誌社の社長で、南洋貿易の調査所を主宰している中老人が、白の
詰襟服
(
つめえりふく
)
にヘルメットを
冠
(
かぶ
)
って迎えに来て呉れた。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
女の方は二十前後の若い妻らしい人だが、
垢染
(
あかじ
)
みた
手拭
(
てぬぐい
)
を
冠
(
かぶ
)
り、
襦袢肌抜
(
じゅばんはだぬ
)
ぎ
尻端折
(
しりはしょり
)
という風で、前垂を下げて、
藁草履
(
わらぞうり
)
を
穿
(
は
)
いていた。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
麓からすこし山へ食い入った高所に構え、屈折した石段の山に、さながら大寺院のような門が、自然の老杉や松を美しく
冠
(
かぶ
)
っていた。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いいから、お前、もう一遍、今の姿で……その面を
冠
(
かぶ
)
って、鈴と、御幣を持って、いま踊った通りに、踊ってわしに見せておくれ」
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
述
(
のべ
)
用意
(
ようい
)
の
雨具
(
あまぐ
)
甲掛
(
かふかけ
)
脚絆
(
きやはん
)
旅拵
(
たびごしら
)
へもそこ/\に
暇乞
(
いとまごひ
)
して
門
(
かど
)
へ立出
菅笠
(
すげがさ
)
さへも
阿彌陀
(
あみだ
)
に
冠
(
かぶ
)
るは
後
(
あと
)
より
追
(
おは
)
るゝ
無常
(
むじやう
)
の
吹降
(
ふきぶり
)
桐油
(
とうゆ
)
の
裾
(
すそ
)
へ提灯の
灯
(
ひ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
それは新しい鳥打帽を
眉深
(
まぶか
)
く
冠
(
かぶ
)
って、流感
除
(
よ
)
けの黒いマスクをかけた若い運転手の指であったが……私はすぐに手を振って見せた。
冗談に殺す
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
自分のような九尺二間のあばら
家
(
や
)
へ相応の家から来てくれてがあろうとも思わず、よしまた、あると仮定して
上
(
うわ
)
っ
冠
(
かぶ
)
りするのはなお
嫌
(
いや
)
。
幕末維新懐古談:23 家内を貰った頃のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
そして呆気にとられている人々を尻目にかけ、鞄を片付けて抱え込むと帽子を無雑作に
冠
(
かぶ
)
りながら、振り返って吐き出すように云った。
闖入者
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
縄暖簾の中を透かして見ると、やっぱり私の思った通り、お母さんが後向きになって
手拭
(
てぬぐい
)
を
姐
(
ねえ
)
さん
冠
(
かぶ
)
りにして
竈
(
へっつい
)
の傍にしゃがんでいる。
母を恋うる記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「モシ、モシ。」と
背後
(
うしろ
)
から呼ぶ声をきいた。泉原は
悸乎
(
ぎょっ
)
として振返ると、中折帽を
冠
(
かぶ
)
った大男が、用ありげにツカ/\と寄ってきた。
緑衣の女
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
いとも罪なのは按摩の頭へ
笊
(
ざる
)
冠
(
かぶ
)
せ、竹竿でたたき落す夕方の
蝙蝠
(
こうもり
)
取り、いずれ悪太郎の本性、気の毒も可哀想もあったものでなし。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
「いいからもう、そんな薄気味悪いものばかり並べないで」と母の言葉に押し
冠
(
かぶ
)
せて、時江は泣きじゃくるように肩を震わせたが
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
で、また二人は荷物を担いで、そばに立っている木小屋の前を足音を立てずに通り過ぎ、雪を
冠
(
かぶ
)
って
聳
(
そび
)
えている森の方へ歩いて行った。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
しかし、ふとそのとき、参木は仰向きながら、秋蘭の唇が熱を含んだ夢のように、ねばねばしたまま押し
冠
(
かぶ
)
さって来たのを感じた。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
二人は社に
向
(
むか
)
ってゆく、空は
未
(
いま
)
だ全く暗くなってはしまわぬ、右手の農家の前では筒袖をきて手拭を
冠
(
かぶ
)
った男が藁しべなどを掃いている
八幡の森
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
話
(
はな
)
さないでもお
前
(
まへ
)
は
大抵
(
たいてい
)
知
(
し
)
つて
居
(
ゐ
)
るだらうけれど
今
(
いま
)
の
傘屋
(
かさや
)
に
奉公
(
ほうこう
)
する
前
(
まへ
)
は
矢張
(
やつぱり
)
己
(
お
)
れは
角兵衞
(
かくべゑ
)
の
獅子
(
しゝ
)
を
冠
(
かぶ
)
つて
歩
(
ある
)
いたのだからと
打
(
うち
)
しをれて
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
皆は不審に思って立止まると同時に遥か前面の戦線にあたって「ワァッ」という突撃らしい喚声が、瞬間、銃声も何も押っ
冠
(
かぶ
)
せて響いた。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
赤い
襦袢
(
じゅばん
)
の上に
紫繻子
(
むらさきじゅす
)
の幅広い
襟
(
えり
)
をつけた座敷着の遊女が、
冠
(
かぶ
)
る
手拭
(
てぬぐい
)
に顔をかくして、前かがまりに
花道
(
はなみち
)
から
駈出
(
かけだ
)
したのである。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そうすると、今の啼声は
矢張
(
やっぱり
)
ポチだったかも知れぬと、うろうろとする目の前を、
土耳其帽
(
トルコぼう
)
を
冠
(
かぶ
)
った十徳姿の何処かのお
祖父
(
じい
)
さんが通る。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
お筆は手拭を
冠
(
かぶ
)
って顔を隠し焼け穴だらけの前掛に結びっ玉だらけの細帯を締めて肌着が無いから
慄
(
ふる
)
えて柳の蔭に立って居ると
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
日の照りつける時は、傘を持たせると忘れたり破ったりするからと、
托鉢
(
たくはつ
)
のお坊さんの
被
(
かぶ
)
るような、竹で編んだ大きな深い
笠
(
かさ
)
を
冠
(
かぶ
)
ります。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
「それじゃ私はまた来るから……。」と、叔父は深いパナマの帽子を
冠
(
かぶ
)
って、うとうとしている病人の
枕頭
(
まくらもと
)
へ寄ると、
低声
(
こごえ
)
に声をかけた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
帽子を
冠
(
かぶ
)
っている広巳は、その風のために時どき帽子を持って往かれそうになった。羽織の
袖
(
そで
)
は
靡
(
なび
)
き、袴の
裾
(
すそ
)
はまくれあがった。
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
従来は
附木
(
つけぎ
)
だけはあったが「
早
(
はや
)
」なる形容詞を
冠
(
かぶ
)
せて通用させようとしても通用しなかった。「ランプ」を
行燈
(
あんどん
)
とも
手燭
(
てしょく
)
とも
翻訳
(
ほんやく
)
しない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
ほとんど一千尺位の全く雪を
冠
(
かぶ
)
って居る山ばかりで、そんなに美しい景色は
余所
(
よそ
)
の国では決して見ることが出来ぬだろうと思う。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
けれど、それでも帰つて来ないので、先生は大分心配になつて来たらしく、今度は内に入つて帽子を
冠
(
かぶ
)
つて出て来られました。
先生と生徒
(新字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
などゝ云ひながら、袖を
引張
(
ひつぱ
)
つたり、帽子を取つて又ポンと
冠
(
かぶ
)
せたり、ちやうさいばうにされて……ミハイロはうろ/\する。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
立派な
瓔珞
(
やうらく
)
をかけ
黄金
(
きん
)
の円光を
冠
(
かぶ
)
りかすかに笑ってみんなのうしろに立ってゐました。そこに見えるどの人よりも立派でした。
ひかりの素足
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
十二月の十日ごろまでは来たが、その後は
登楼
(
あがる
)
ことがなくなり、時々
耄碌頭巾
(
もうろくずきん
)
を
冠
(
かぶ
)
ッて忍んで店まで逢いに来るようになッた。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
「そのような武将の
冠
(
かぶ
)
り物を折りまするは、わたくしの職の
誉
(
ほま
)
れでござりまする」と、千枝太郎は
追従
(
ついしょう
)
でもないらしく言った。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
だが、電車の運転手に
発見
(
みつけ
)
られた禿頭だけは
樺太人
(
かばふとじん
)
に見せまいとして、大型の
絹帽
(
きぬぼう
)
をすぽりと耳まで
冠
(
かぶ
)
る事を忘れなかつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「精神的」といふ形容詞を名前の上に
冠
(
かぶ
)
されるのを、
嘗
(
かつ
)
ては喜んでゐた馬越も、今はそんな文字を甘くも酸つぱくも感じられなくなつてゐた。
仮面
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
ハワイに入る前夜、園遊会が
盛大
(
せいだい
)
に開かれ、会長のK博士夫妻もインデアンの
羽根飾
(
はねかざ
)
り
帽
(
ぼう
)
を
冠
(
かぶ
)
って出場する
和
(
なご
)
やかさでした。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
こんな風であるから、これも自分には覚えておらぬが横浜から雇った車夫の中に饅頭形の
檜笠
(
ひのきがさ
)
を
冠
(
かぶ
)
ったのがあったそうだ。
車
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
突然
(
とつぜん
)
、発車の
鈴
(
すず
)
がひびくと痩せた紳士は
慌
(
あわ
)
てて太った紳士にもう一度お辞儀をしておいて、例の麦稈帽子を
冠
(
かぶ
)
ると急いで向き直って歩き出した。
蝗の大旅行
(新字新仮名)
/
佐藤春夫
(著)
尤も模倣などと放言すると、忽ち非難を蒙るかも知れない。現に「模倣に長じた」と云ふ言葉は日本国民に
冠
(
かぶ
)
らせる
悪名
(
あくみやう
)
の代りに使はれてゐる。
僻見
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
活物
(
いきもの
)
にこの字を
冠
(
かぶ
)
らせたもので誰でも思い起すのは「蓑虫」である。蓑を着た如き様からかく呼んだのはいうまでもない。
蓑のこと
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
事實
(
じゝつ
)
、
此世
(
このよ
)
に
亡
(
な
)
い
人
(
ひと
)
かも
知
(
し
)
れないが、
僕
(
ぼく
)
の
眼
(
め
)
にはあり/\と
見
(
み
)
える、
菅笠
(
すげがさ
)
を
冠
(
かぶ
)
つた
老爺
(
らうや
)
のボズさんが
細雨
(
さいう
)
の
中
(
うち
)
に
立
(
たつ
)
て
居
(
ゐ
)
る。
都の友へ、B生より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
あたしは、テンピの中と調理台の上を手早く掃除すると、少年に白い
割烹着
(
かっぽうぎ
)
を着せ、ハンカチでコックさんの帽子をつくって
冠
(
かぶ
)
せてやりました。
キャラコさん:08 月光曲
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
膝ッ
節
(
ぷし
)
も
肘
(
ひじ
)
もムキ出しになっている
絆纏
(
はんてん
)
みたようなものを着て、
極〻
(
ごくごく
)
小さな笠を
冠
(
かぶ
)
って、やや仰いでいる様子は何ともいえない無邪気なもので
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
つまり、六郎氏の死体は、
裸体
(
はだか
)
にされた上、
禿頭
(
はげあたま
)
に、ふさふさとした鬘まで
冠
(
かぶ
)
せて、吾妻橋下に投込まれていたのだった。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そして続いて、私の妻が着物を着て、マントをひっかけ、帽子を
冠
(
かぶ
)
っていることが、だんだんはっきり分って来ました。
黄色な顔
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
また頭巾といふ季を結びたるは冬なれば人の零落したる趣に善く
副
(
そ
)
ひ、また頭巾を
冠
(
かぶ
)
りて
侘
(
わ
)
びたる様子も見ゆる故なり。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
見れば七ツか八ツくらいの男の子、毛糸で編んだ帽子を
冠
(
かぶ
)
り、小さいジャケツを着ているがやや
蒼
(
あお
)
ざめたいたいけな顔は
可憐想
(
かわいそう
)
に涙に濡れている。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
……包が出来ると、お祖父さんに起きて貰い、
布子
(
ぬのこ
)
を二枚重ねた上から
綿入半纏
(
わたいればんてん
)
をさらに二枚着せ、頭巾を
冠
(
かぶ
)
らせた。
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
手拭を
冠
(
かぶ
)
った、野良着のまんまの農家の主婦が、裾をはしょって、急に自動車の行手に立ち塞がったかと思うと、右手を挙げて、「ストップ」と叫んだ。
旧師の家
(新字新仮名)
/
若杉鳥子
(著)
“冠”の解説
冠(かんむり)とは、地位や階級などを示すために頭にかぶる装飾品。
(出典:Wikipedia)
冠
常用漢字
中学
部首:⼍
9画
“冠”を含む語句
頬冠
冠毛
冠者
大織冠
冠冕
花冠
御冠
小冠者
弱冠
艸冠
王冠
買冠
姉様冠
蒲冠者範頼
新冠
冠附
衣冠
菰冠
鳥冠
冠物
...