)” の例文
その上においぶさっている、山の頂は濃厚な水蒸気の群れから、二、三尺も離れて、その間に冴えた空が、澄んだ水でも湛えたように、冷たい藍色をしている、そこから秋の風が
谷より峰へ峰より谷へ (新字新仮名) / 小島烏水(著)
平一郎と深井はマントの頭巾を目深にぶり、一本の傘を二人でさして人通りの絶えた暗い陰鬱な、生存ということが全然無価値なものだと想わすような夕暮の街を急ぎ足で歩いていた。
地上:地に潜むもの (新字新仮名) / 島田清次郎(著)