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対
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むこ
ふりがな文庫
“
対
(
むこ
)” の例文
旧字:
對
いつぞやの
凌雲院
(
りょううんいん
)
の仕事の時も鉄や
慶
(
けい
)
を
対
(
むこ
)
うにしてつまらぬことから
喧嘩
(
けんか
)
を初め、鉄が肩先へ大怪我をさしたその後で鉄が親から泣き込まれ
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
風呂敷が少し小さいので、
四隅
(
よすみ
)
を
対
(
むこ
)
う同志
繋
(
つな
)
いで、真中にこま結びを二つ
拵
(
こしら
)
えた。宗助がそれを
提
(
さ
)
げたところは、まるで進物の菓子折のようであった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
行人の故郷を回顧する目標なるがゆえに見返りの橋と名づけられ、向いの森は故郷の観を
遮
(
さえぎ
)
るゆえに隠しの森と呼ばれ、
対
(
むこ
)
う
塘
(
つつみ
)
の上に老いたる一樹の柳は
空家
(新字新仮名)
/
宮崎湖処子
(著)
若くから
氏上
(
うじのかみ
)
で、数十
家
(
け
)
の一族や、日本国中数万の氏人から立てられて来た家持も、じっと
対
(
むこ
)
うていると、その静かな威に、圧せられるような気がして来る。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
あるいは、足休めの客の愛想に、道の
対
(
むこ
)
う側を花畑にしていたものかも知れない。流転のあとと、栄花の夢、軒は枯骨のごとく朽ちて、牡丹の
膚
(
はだ
)
は鮮紅である。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
「あっ、いけねえ!
対
(
むこ
)
う岸の敵の奴らも漁船を引っぱりだして乗りこんで来るっ。ぐずぐずしていると追いつかれるぞ」と、例によって、野卑なことばで
急
(
せ
)
きたてた。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
馬を泥中に救う その翌日川に
沿
(
そ
)
うて上りました。浅き砂底の川を
対
(
むこ
)
うに渡らんとて乗馬のまま川に入りますと、馬は二足三足進んで深き泥の中に腹を着くまで
陥
(
おちい
)
りました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「そ、そ、その僕が面白うない。君僕というのは同輩或は同輩以下に
対
(
むこ
)
うて言う言葉で、尊長者に
対
(
むこ
)
うて言うべき言葉でない、そんな事も注意して、僕といわずに
私
(
わたくし
)
というて貰わんとな……」
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
一度僕の傍まで来られて、それから自分のお席へ戻られましたが、足数だけ
算
(
かぞ
)
えていますと、十一歩でした。五メータです。そうすると、みすが下りまして、その
対
(
むこ
)
うから御質問になるのです。
微笑
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
長閑
(
のどか
)
に一服吸うて線香の煙るように
緩々
(
ゆるゆる
)
と煙りを
噴
(
は
)
き
出
(
いだ
)
し、思わず知らず
太息
(
ためいき
)
吐
(
つ
)
いて、多分は
良人
(
うち
)
の手に入るであろうが憎いのっそりめが
対
(
むこ
)
うへ
廻
(
まわ
)
り
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
その氷の山に
対
(
むこ
)
うて居るような、骨の
疼
(
うず
)
く
戦慄
(
せんりつ
)
の快感、其が失せて行くのを
虞
(
おそ
)
れるように、姫は夜毎、鶏のうたい出すまでは、殆、祈る心で待ち続けて居る。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
死を
賭
(
と
)
して、
殿軍
(
しんがり
)
は仕りますが、いかんせん、渡船、荷舟、田舟にいたるまで、船は戦いの前に、敵に
攫
(
さら
)
われ、また焼き捨てられて、この南中島から
対
(
むこ
)
う岸へお越え遊ばすには
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ところでまた大きな石を前の石の上に
擲
(
な
)
げんとしますと馬は私の様子を見て非常に恐れて居りましたが、やがてズドンと一つ擲げますと馬は大変な勢いで飛び上って
対
(
むこ
)
うの岸へ着きました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
対
(
むこ
)
うなる、海の
面
(
おも
)
にむらむらと
蔓
(
はびこ
)
った、鼠色の濃き雲は、
彼処
(
かしこ
)
一座の山を包んで、まだ
霽
(
は
)
れやらぬ
朝靄
(
あさもや
)
にて、もの
凄
(
すさま
)
じく空に
冲
(
ひひ
)
って、
焔
(
ほのお
)
の
連
(
つらな
)
って
燃
(
もゆ
)
るがごときは、やがて九十度を越えんずる
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いつも、兄が
本鎚
(
ほんづち
)
に坐り、私が、
対
(
むこ
)
う鎚を
把
(
と
)
って、夜の白むのも知らず、鍛ち明かしたもので御座いました。……けれど、他家へ養子に参ってからは兄に
会
(
あ
)
うのも、年に一度か二度。
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そういえばあいつの
面
(
つら
)
がどこかのっそりに似て居るようで口惜しくて情ない、のっそりは憎い奴、親方の
対
(
むこ
)
うを張って大それた、五重の塔を生意気にも建てようなんとは憎い奴憎い奴
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「大乗院なら
横川
(
よかわ
)
の
飯室谷
(
いいむろだに
)
だ。この渓流にそうて、もっと下る、そして
対
(
むこ
)
う岸へ渡る。こんな方へ来ては来過ぎているのだ」若僧はそう教えられて深い
渓谷
(
けいこく
)
の道をかなしそうに振向いた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“対”の解説
対(つい、たい)とは、2つ一組で存在するものの場合に、その2つを一組とする見方の元でそれを指していう表現で、それらが対をなすという。
(出典:Wikipedia)
対
常用漢字
小3
部首:⼨
7画
“対”を含む語句
相対
反対
対岸
応対
対手
対向
対照
対面
絶対
対句
対話
対方
正反対
対象
一対
対蹠
対蹠的
対坐
対立
敵対
...