てえ)” の例文
旧字:
この片一方の腕にてえしても、かおが合わせられねえ仕儀さ。何とかしてこの腹癒はらいせをしねえことには、この虫がおさまらねえ。
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
困るたってわしもしたくねえが、冗談を云ったのが広まったのだから、今じゃア是非ともおめえさんを私の女房にしねえば、世間へてえして顔向が出来ねえから、友達に話をしたら
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
お上にてえして、あっしの一ぶんが立たねえのだ。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「町奉行の方が、浪人者にてえして怖れをなしてるんだから、いよいよ甘く見られちまわあな、それに比べると、何といっても、掃部様はエラかったな」
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
たった一人の娘を女郎じょうろに売りたくもねえし、世間へてえしても済まねえ訳だ、又本意でもねえから、んな事をたくもねえが、何うでもうでも此の暮が行立たねえから、お久
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
死んでる道具は直に毀れッちまうと云ったじゃアありやせんか、其の通りしねえから此の棚の仕事は嘘だと云うのだ、此様こんなに直ぐ毀れる物を納めるのア注文先へてえして不実というものだ
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
汝がのたくみの段々を聞いた時は、実に魂消たとも魂消ねえとも、若旦那や嬢さまにてえしても汝を助けて置くことが出来ねえから、お役人を頼んでも汝を縛って、御公儀さまの御厄介に成って