)” の例文
奉じ、城主山路殿に直々じきじき会い申さんために、これまで参った。——山路弾正殿に、御意ぎょい得とうぞんずる。山路殿はそれにおさぬや!
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あまりのむごたらしさに皇后は、顔色もなくおしたが、舟がすすむにつれ、風浪も烈しく、いよいよ生ける心地もなかった。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こう御座をならべておしながら、父上皇と子の天皇のおん仲は、なんとなく、冷やかに仰がれた。めったに、ことばもおわしにならない。
「いま岡崎におす殿の許へ、わしの書状をもって、後詰うしろまきの催促にまいってくれい。大任じゃぞ、勝吉。よいか、そちに命じる貞昌の心をめよ」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(余生、おさびしくおしましょうが、世間に、肩身のお狭いようなざまはいたしませぬ。それのみを、せめてと、独りおなぐさめ下さいませ)
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(——あなたは源家の統領でおせば、いかで平家がこれ以上、見のがしておきましょうぞ。一刻もはやく、身をもって奥州みちのくへなりとおのがれあれ)
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「これは、毛利冠者かんじゃ頼隆と申されて、あなた様の亡父ちち義朝公の伯父君にあたるお方の遺子わすれがたみでおせられる」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大和国平田ノ庄へ攻め入り、橘寺たちばなでらに陣して、西大寺の長老を招き、吉野へ和談の交渉をさせようとしたが、時すでに、南朝の天皇は、はやそこにはおさぬとの聞えだった。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
仰いで、ふとそんな気がしてまいりました。おとといよりは昨日。きのうよりは今日。一日ましにはっきりと、わたくしたち母子おやこへ御微笑を投げかけられておすような……
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
各〻めいめい気儘の紛論ふんろんは、主君のおさぬが為に、はやあのざまと他藩にわらわれもしよう。……ともあれ、今宵は火之見ひのみ、御蔵方、それ以外の者は、すべていったん御帰宅のことじゃ。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それには、小智、小惑、すべて小人の痴愚ちぐって、裸々ららたる一個の人間のままでお
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(ありがたや、自分のような穢身えしんのうちにも、弥陀みだ如来がみておす)と思った。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「つい黄昏時たそがれどき篠原堤しのはらづつみへかかる頃まではたしかに、われらの中におしたものを」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『おもとが、内匠頭殿でおすか。なる程お若いな。この度は、めでたい事だ。退けたら、一国一城のあるじとして、いちだんと、はくがつこうと云うもの。まあ、大事に勤めてみられい』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今は太政だいじょう大臣の高位におすこと、自身にても、不思議な冥加みょうがとは思わぬかっ。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それへ来たのはどなた様じゃ! もしやこのばばが日頃信仰する観世音菩薩かんぜおんぼさつ化身けしんではおさぬか。あわれ、お助けなされませ。——外道げどうのために、この難儀な目にうた不愍ふびんなばばを!
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幾年いくとせの後、はからず、一夜のおん宿を申しあげるのも、尽きぬ御縁です。良持様のわすれがたみでおすあなたに、こう、かしずき申しあげることが、人の世のよろこびでなくてどうしましょう
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あら、なつかし、城中の衆ではおさぬか。かくいうは、先夜お別れを告げた鳥居強右衛門勝商かつあきでござる。岡崎への使いの御返事、ここより申そう程に、耳をそばだてて聞き給えや——」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そうであろう。じつは……さもこそ、淋しくおさめと、純友殿から、その草笛と、ほか三人の遊君たちも、其許への、みつぎとしてお贈りになったものだ。どうか受けとっていただきたい」
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、千載万代せんざいばんだい、朽ちも揺るぎもあってはならぬものはただ一系の大御裔おおみすえにある。そのおすところさえ明らかなれば、よし幕府が亡ぼうと世のみだれに遭おうと、ふかい憂いとするに足らぬ。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
先大殿せんおおとのの御代より、また内匠頭様の御幼少より今日まで、補佐ほさの重職にあって、殿の御気質もよくご存じのはずなるに、この場合、もし殿がここにおしたら、何うせいと仰せらるるか、お心が
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
よくぞよくぞ、これまでに励まれた。亡き良持どのがおしたら、いかばかり歓ばれようぞ。——さすがは、桓武帝の末裔まつえいたる御子将門どのよ。わしも、どんなにか、うれしいか知れぬ。よい初春はる
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「和子さまにも、おふた方にも、おつつがなくおせられましたか」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「勿体ないお扱い、お座所におして、近臣へおいいつけ給われば」
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その証拠には今、茶々は? と、ぎごちなく訊ねたとたんに、主人は、家臣にたいする主人顔もくずして、何ともつかぬごま化し顔に、羞恥はじらいみたいな色をふくみ、ひどくテレておすではないか。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ちと歩きつかれたので休んでおる。織田家の役人衆でおすか」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「御無念さ、いかばかりでおしたろう。——その六月二日から、ちょうど今日は十三日目、燃え残りの棟木むなぎや柱にもまだ火のにおいがするようだ。……おお。小袖の焼けきれが落ちている。弓の折れも見える」
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おやかたさまには、いずこにおせられましょうか」
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「よほど御空腹でせられたとみゆるの」
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「信孝君はいずれにおすか」
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おすか」
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)