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詑
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わ
ふりがな文庫
“
詑
(
わ
)” の例文
「ほんまに、ほんまに、………いずれお
詑
(
わ
)
びにお伺いしますけど、………お怒りになるのもちょっとも無理やあれしませんけど、………」
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
しかも君はいない。僕はそれをざっと見てから、失礼を
詑
(
わ
)
びて帰ってきた。そして、アヴドーチャ・ロマーノヴナにありのまま報告した。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
「此の方よりも今日の、此の御無礼をば
詑
(
わ
)
びがてら、大先生の御遺筆なぞ拝見いたしに、参邸のお許しを得とう厶る」
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
預った私ら一同、若親分にお合せ申す面がございません、そのお
詑
(
わ
)
びは改めてのこと、
先
(
ま
)
ず——お悔みだけ申上げます。さぞお力落しでございましょう
無頼は討たず
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
騒ぎのあった翌日、その
狼藉
(
ろうぜき
)
者一党が揃って
詑
(
わ
)
びにきたが、その時、父はすこし
寒気
(
さむけ
)
がするといっていたが、左の手の甲が紫色に
腫
(
は
)
れてるだけだった。
旧聞日本橋:14 西洋の唐茄子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
▼ もっと見る
さうするとここに金さへ有れば、どうにか成るのでせう! 貴方の
費消
(
つかひこみ
)
だつて、その金額を弁償して、
宜
(
よろし
)
く御主人に
詑
(
わ
)
びたら、無論内済に成る事です。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
彼の妻は彼自身には勿論、彼の伯母にも
詑
(
わ
)
びを言つてゐた。彼の為に買つて来た黄水仙の鉢を前にしたまま。……
或阿呆の一生
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
おかみはみんなの前で、二こと三こと、投げやりな言葉で
詑
(
わ
)
びをいったが、だれもおかみに文句はいわなかった。
城
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
道綱をお呼び出しになって「これまで大へん御無沙汰申していたお
詑
(
わ
)
びかたがた、こうやって参りました」
かげろうの日記
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
そこでこの点の不注意と軽率とを、僕は改めて読者にお
詑
(
わ
)
びしたい。と言うわけは、今度
漸
(
ようや
)
く稿を集めて僕の体系ある自由詩論の一冊を、アルスから出版することになったからだ。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
婦人はリストの門弟と触れ込んだ女流ピアニストであったが、涙を流して、「先生のお名前でも拝借しなければ、私のピアノなどを聴いて下さる方もありません」と
詑
(
わ
)
びるのであった。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
『先生、許して下さい。』
斯
(
か
)
う
詑
(
わ
)
びるやうに言つて、
軈
(
やが
)
て
復
(
ま
)
た新聞を取上げた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
そこに日本独特のしぶい「
詑
(
わ
)
び」の美がある。イタリー名物の傘松は実を採られ防風林に使はれる。何の求むるところなく愛される東洋の庭の松は幸福である。手入れが済んで、どうやら形がつく。
女性と庭
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
いひ
換
(
か
)
へて
見
(
み
)
ると
自分
(
じぶん
)
の
心
(
こゝろ
)
がわかつて
頂
(
いたゞ
)
くように、
説明
(
せつめい
)
をし、お
願
(
ねが
)
ひをし、お
詑
(
わ
)
びをするもので、
根本
(
こんぽん
)
の
精神
(
せいしん
)
においては、このとほり、
私
(
わたし
)
どもは
服從
(
ふくじゆう
)
申
(
まを
)
してをります、といふ
誓
(
ちか
)
ひの
意味
(
いみ
)
になります。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
オリヴィエは
詑
(
わ
)
びた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「僕もさし向き家へ行きましょう、ただしあなたの住まいじゃありませんよ。ソフィヤ・セミョーノヴナの家へ、葬式に行かなかった
詑
(
わ
)
びに」
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
去
(
い
)
ぬる文禄三年の秋、わざ/\邸へ呼びつけられて怠慢の
廉
(
かど
)
を
咎
(
とが
)
められ、厳しい叱責を蒙った折には、畳に額を
擦
(
す
)
りつけて
詑
(
わ
)
び
言
(
ごと
)
を述べておきながら
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
宮が今罪を
詑
(
わ
)
びて夫婦になりたいと泣き付いて来たとしても、一旦心を変じて、身まで
涜
(
けが
)
された宮は、決して
旧
(
もと
)
の宮ではなければ、もう
間
(
はざま
)
の宝ではない。間の宝は五年
前
(
ぜん
)
の宮だ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「ばかな真似をしてしまって、あれが刀だったら僕の頭は真二ツに割られているところだ。とても歩けはしないが、ぜひ
詑
(
わ
)
びにゆけと皆に抱えてこられた。眼が廻るほどピンピンする。」
旧聞日本橋:14 西洋の唐茄子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
お掛け申し、なんともお
詑
(
わ
)
びの致しようがござらぬ、ひらに御勘弁が願いたい
金五十両
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
第二には、彼がすぐさま
鄭重
(
ていちょう
)
なことばで、なんとか葬儀に参列しようと思いながら、その意を果たすことができなかったと、
詑
(
わ
)
びを言ったからである。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
その時分にはいつもお母さんが兄さんに
詑
(
わ
)
びを入れて
堪忍
(
かんにん
)
して
貰
(
もら
)
っていたのだそうだ、しかし今度はお母さんがいないし、たびたびのことであると云うので
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
無拠
(
よんどころなく
)
身
(
み
)
の
不束
(
ふつつか
)
をも
詑
(
わ
)
び
申候
(
まをしさふらふ
)
次第に御座候。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
大丈夫お
請合
(
うけあ
)
いしますと、あんなに申上げて置きながら、何と云う失敗をしたものか、お
詑
(
わ
)
びの言葉もありません、と、汗をびっしょり
掻
(
か
)
いて云うのであった。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
貞之助は、
外套
(
がいとう
)
預所のところまで迎えに出ていた井谷を見ると、挨拶よりも
先
(
ま
)
ず
詑
(
わ
)
び言を並べた。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
大方猫にしてみれば、自分が無愛想にしてゐた人に、今日から可愛がつて貰はうと思つて、いくらか今迄の無礼を
詑
(
わ
)
びる心持も籠めて、あんな声を出してゐるのであらう。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
此のお
詑
(
わ
)
びにはこれから精々気を附けて御注進に及びましょうと、お答えなされましたとやら。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
云い出したからはいかに
詑
(
わ
)
び入っても聴き入れずとうとう本当にその弟子を断ってしまった。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
残
(
のこ
)
んの
色香
(
いろか
)
を墨染の袖に包んでいる尼と狭い一室に
膝
(
ひざ
)
をつき合わせ、彼女の孤独を慰めたり自分の
無躾
(
ぶしつけ
)
を
詑
(
わ
)
びたりしながら、少しずつ身の上話を
手繰
(
たぐ
)
り出すようにしたのであろう。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「もうええ
彼方
(
あっち
)
へ行き」と云われてからもまだ
暫
(
しばら
)
く死んだようになっていたのが、「もう行きなさい」と二三度云われると、
漸
(
ようや
)
く聞き取れない程の
微
(
かす
)
かな声で
詑
(
わ
)
び言を云って立って行ったが
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
第一親の身として
其許
(
そこもと
)
に対しても御
詑
(
わ
)
びの申様も
無之
(
これなく
)
、深く
耻入
(
はじいり
)
申候。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
巧いことの有りったけを並べて
詑
(
わ
)
びを云い、踊り子の方は昔のことで今は切れている、子供と云うのも、実は誰の子だか分らないのを僕が背負い込まされたので、これも綺麗に親子の縁を切ってある
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
巧
(
うま
)
いこと
詑
(
わ
)
びを云って、
否応
(
いやおう
)
なしに又置いて行ってしまう。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
と、二度三度
詑
(
わ
)
びを云った。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
詑
漢検準1級
部首:⾔
12画
“詑”を含む語句
御詑
其詑
詑入
詑摩
詑言