)” の例文
一廻ひとまはりくるりとにまはつて前足まへあしをついて、棒杭ばうぐひうへつて、お天気てんきるのであらう、仰向あをむいてそらた。れるといまにくよ。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
鹿しかおほきなをつくつて、ぐるくるぐるくるまはつてゐましたが、よくるとどの鹿しかのまんなかのはうがとられてゐるやうでした。
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
夜番は例の*メードレル博士の月世界大地図で、あなた方もおなじみの、かずしれずなりに取りまわした山のひとつにくだりました。
「ほら、ここんところを見てごらん。なんだか白いのようなものが、ぼんやりと見えるだろう。これはたしかに○○獣らしいぜ」
○○獣 (新字新仮名) / 海野十三(著)
女は、ぐずぐずと迷うようにあたりを眺めながら、こんどは小刻みに小さなを描いて、未練げに道の同じ場所をゆっくりとまわっていた。
待っている女 (新字新仮名) / 山川方夫(著)
そうしてポケットから琥珀こはくに金のをはめた見事なパイプを出して煙草をふかしながら、自慢そうに私にみせて呉れたりした。
琥珀のパイプ (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
……まん中んとこにはママの写真が入れたるんですよ。パパの今の鎖は違うんですよ。のじゃなくって、リボンなの。……
小波瀾 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
皆が彼のまわりへになった。彼等は代る代るに、顔をあからめて、うそを半分まぜながら、その匿名の少女のことを話した。
麦藁帽子 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
人を呼留めながら叔母は悠々ゆうゆうとしたもので、まず煙草たばこに吹くこと五六ぷく、お鍋のぜんを引終るを見済ましてさてようやくに
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
このたびは鉄のを取り、その半分に銅線Aを巻き、またこれと少し離れて、他の半分には別の銅線Bを巻き、その先端は磁石の近くに置いた。
三十人ばかりの男が、互いに向いあった二列のを作り、各人両手に一本ずつ三尺足らずの竹の棒を持って、これを打合わせつつ踊るのである。
家持の聯想れんそうは、のようにつながって、暫らくは馬の上から見る、街路も、人通りも、唯、物として通り過ぎるだけであった。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
松男君が黙つてゐるので、水野さんは、グルツとになつてゐる四十人ばかりの子供たちを見廻みまはして、かうききました。
原つぱの子供会 (新字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
このを『年輪ねんりん』とひます。材木屋ざいもくや店先みせさきつて、まる材木ざいもくのはしをれば、これが年輪ねんりんかと、すぐにわかります。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
労働者の精神は意志の努力なしには、緻密ちみつな理論のやや長い連鎖をたどるに困難であろう。もしそれをなし得ても、所々に鎖のが見落とされる。
そして、それらのものと一緒に、鋼の縁と小さなのついているキッド皮の、脂じみた小さな財布が下げてあった。財布はぎっしりつまっていた。
それはまことに不可思議の謎のであつた。私は常にかやうな子供らしい驚嘆をもつて自分の周囲を眺めたいと思ふ。
銀の匙 (新字旧仮名) / 中勘助(著)
三羽のとんびしきりいて舞っている空高く、何処どこからともなく勇ましい棟上むねあげの木遣きやりの声が聞えて来るのであった。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ちょうどその時、東山の肩に、のっと大きな太陽が真っ赤な焔のの端を見せていた。ことしの第一日の日輪だった。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのうちに、物音をきいてかけつけてきた近所のものや、通りがかりの用ぎきの小僧などがいつのまにか集まって、死体のまわりにができてしまった。
誰が何故彼を殺したか (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
頸筋くびすじの皺がみんな集まって、ただ一つの円座えんざをつくり、皮でできた太いの上に、頭がはすかいにっているのだ。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
ちょうど、そのとき、おじょうさんは、あたらしい風船球ふうせんだまってきて、まえのようにいとをたんすのむすびました。そして、自分じぶんは、そとあそびにてしまいました。
風船球の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして厳重な扉の潜り戸の傍に付いている鉄のを鳴らして、小窓が開いてそこに人の眼がのぞくまでにはおよそ何十分くらいもたっての後であったろうか。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
両神山ふたかみやま古城址こじょうしのような形をした肩のところに夕日は落ちて、いつもそこからいろいろな雲がわきあがった。右には赤城から日光連山がをなして続いた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
猟の言葉を用いて言うなら、僕は一度も『ぎそこない』はしなかったのだ。臭跡においあとがちょっとの間も失わなかったんだ。鎖のは一つも切れていないのだぜ。
Wは木のであって、これから上部は取りはずしが出来るようになっている。そして上部の形のいろいろ変ったものを挿しかえて、実験が出来るようにした。
(新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
を作つて好奇の眼を輝かせてゐる女中や家族や客人たちをさも得意げに見𢌞して、兎に角此處では何だから二階にあがれ、と繰返しながら、一段聲を落して
熊野奈智山 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
案内者に導かれて地下の墓洞カバウりてくと、がんごとに学者政治家達の石棺が花に飾られてをさまつて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
そこで、七兵衛は、手にしていた縄の一端をクルクルとまとめて、にしてポンと与八の前へほうり出して
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その鎖のはじにはがあって、環の中には大小五六個のかぎが通してあるので、鎖を高く示そうとしたお延の所作しょさと共に、じゃらじゃらという音が津田の耳に響いた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
蘆の根方に住んでいる小うなぎがそれに取りつく、をそっと引き上げて、未練に喰い下って来る小鰻を水面近くまでおびき寄せ、わきから手網てあみで、さっとすくい上げる。
渾沌未分 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
兵士たちの収縮する松明のは停止した。それと同時に、芒の原の空中からは一斉に矢の根が鳴った。鹿の群れは悲鳴を上げて散乱した。訶和郎の馬は跳ね上った。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
いろ/\な事情が結合し、適合し、秩序的となり、これまで形を成さぬ多くのの堆積と見えた鎖が、眞直まつすぐに引き伸ばされて、各々の環が完全になり聯絡が完成されたのだ。
彼こそはある意味において、彼らが触れ得る人類の最後の鎖のであった。自分のそばに彼らが生きてる物音が、否むしろ瀕死ひんしのあえぎをしてるのが、聞こえていたのである。
芋畠のまはりののやうな同じ畦道あぜみちばかり幾回もくる/\と歩き廻つてゐるのであつた。
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
私の耳にはオーケストラの音楽がガンガン鳴り響き、私の眼の前には踊りの群衆が、………みんな私よりはるかうまそうな群衆が、大きな一つのを作ってぐるぐると廻っています。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
あるいは十字架を花のの形に、あるいは菱形ひしがたに、あるいは円形に意匠したその窓々の尖端せんたん、あるいは緑と紅との色の中心に描かれてある聖者の立像、それらが皆夕日に輝いた。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
一声四辺に響くが如く、許多の小英雄はあたかも大小のの如く、中心なる大英雄を取巻きて、一団の人色を造るべし、彼等は斯の如くにして革命を催すべし、国の元気を恢復すべし
墓といっても、雨風に打たれた、黒木の質素な十字架が一本建っているばかりで、それに、朽ちかけた珠数だまのが一筋、よじれてところどころばらばらになったまま懸っていた。
情状酌量 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
その茹で芋の三つか五つかを、柳でしょうか竹でしょうか、そうした物で貫いたのをにして店に盛り上げます。熊手を肩に、その芋の環を手にしたのが、お酉様の帰りの姿でした。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
その大胆らしい界の線をくもりのない夕空に画き、時としては、近きあたりの森には、雲も烟も見えぬに、その巓は、鼠色の霧のを掛けられ、西山に這入り掛つた夕日の、最後の光に触れて
新浦島 (新字旧仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)
私はまた投げの遊戯に加わった。それに正午にはまだかなりのがあるうちから、しきりに腹が空いて、昼餐の合図の銅鑼ばかりが待たれて困った。ベルを押すことベルを押すこと。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
彼の従弟いとこは少しも蛇を恐れず、杉籬すぎがきからんで居るやつを尾をとって引きずり出し、まわす様に大地に打つけて、楽々らくらくと殺すのが、彼には人間以上の勇気神わざの様にすさまじく思われた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
その大網の尖端は、ひものように太く揺れて、アール・ヌーボー式の図案に見るような、印象の強い輪廓を作って、幾筋となく繋がっては、を作る。やがて柔らかな大曲りをして消える。
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
頭をっている男の横顔。これもしばらくたった後、大きい針金のにぶら下げた何本かのかもじに変ってしまう。かもじの中に下ったふだが一枚。札には今度は「入れ毛」と書いてある。
浅草公園:或シナリオ (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
目がぐるぐるして来て、種々雑多な思いが頭の中をのようにめぐりだした。
まぼろし (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
手頸てくびには風邪ひかぬ厭勝まじないというなる黒き草綿糸もめんいとかけたるが立出でたり。
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
推理のをその真相に向かって、だんだん狭く絞っているのです。そして、そこに現われて来る事実に驚倒しているのです。決して形容ではありません。本当に心の底から驚いているのです。
偉大なる夢 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
跫音あしおとを忍ばせながら螺旋階段を登って、観測室へ入った。壁には例の怪鳥がちゃんと懸っている。両翼は飾釘で壁へ確りと止められてあるし、踏ひらいた脚も真鍮ので堅く緊着しばりつけられている。
廃灯台の怪鳥 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
右の方は物干竿が立って其の向うの蘆の少し開けた処に大きな柳の古株があって、此処に腰かけると霞が浦は一眼だ。それ水鳥が飛ぶ、白帆が走る、雲が出て筑波が潜む、魚がはねて水にを画く。
漁師の娘 (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)