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環
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わ
ふりがな文庫
“
環
(
わ
)” の例文
一廻
(
ひとまはり
)
くるりと
環
(
わ
)
にまはつて
前足
(
まへあし
)
をついて、
棒杭
(
ばうぐひ
)
の
上
(
うへ
)
へ
乗
(
の
)
つて、お
天気
(
てんき
)
を
見
(
み
)
るのであらう、
仰向
(
あをむ
)
いて
空
(
そら
)
を
見
(
み
)
た。
晴
(
は
)
れるといまに
行
(
ゆ
)
くよ。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
鹿
(
しか
)
は
大
(
おほ
)
きな
環
(
わ
)
をつくつて、ぐるくるぐるくる
廻
(
まは
)
つてゐましたが、よく
見
(
み
)
るとどの
鹿
(
しか
)
も
環
(
わ
)
のまんなかの
方
(
はう
)
に
気
(
き
)
がとられてゐるやうでした。
鹿踊りのはじまり
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
夜番は例の*メードレル博士の月世界大地図で、あなた方もおなじみの、かずしれず
環
(
わ
)
なりに取りまわした山のひとつにくだりました。
幸福のうわおいぐつ
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「ほら、ここんところを見てごらん。なんだか白い
環
(
わ
)
のようなものが、ぼんやりと見えるだろう。これはたしかに○○獣らしいぜ」
○○獣
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
女は、ぐずぐずと迷うようにあたりを眺めながら、こんどは小刻みに小さな
環
(
わ
)
を描いて、未練げに道の同じ場所をゆっくりと
廻
(
まわ
)
っていた。
待っている女
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
▼ もっと見る
そうしてポケットから
琥珀
(
こはく
)
に金の
環
(
わ
)
をはめた見事なパイプを出して煙草をふかしながら、自慢そうに私にみせて呉れたりした。
琥珀のパイプ
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
……まん中んとこにはママの写真が入れたるんですよ。パパの今の鎖は違うんですよ。
環
(
わ
)
のじゃなくって、リボンなの。……
小波瀾
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
皆が彼
等
(
ら
)
のまわりへ
環
(
わ
)
になった。彼等は代る代るに、顔を
赧
(
あか
)
らめて、
嘘
(
うそ
)
を半分まぜながら、その匿名の少女のことを話した。
麦藁帽子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
人を呼留めながら叔母は
悠々
(
ゆうゆう
)
としたもので、まず
煙草
(
たばこ
)
を
環
(
わ
)
に吹くこと五六ぷく、お鍋の
膳
(
ぜん
)
を引終るを見済ましてさて
漸
(
ようや
)
くに
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
このたびは鉄の
環
(
わ
)
を取り、その半分に銅線Aを巻き、またこれと少し離れて、他の半分には別の銅線Bを巻き、その先端は磁石の近くに置いた。
ファラデーの伝:電気学の泰斗
(新字新仮名)
/
愛知敬一
(著)
三十人ばかりの男が、互いに向いあった二列の
環
(
わ
)
を作り、各人両手に一本ずつ三尺足らずの竹の棒を持って、これを打合わせつつ踊るのである。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
家持の
聯想
(
れんそう
)
は、
環
(
わ
)
のように
繋
(
つなが
)
って、暫らくは馬の上から見る、街路も、人通りも、唯、物として通り過ぎるだけであった。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
松男君が黙つてゐるので、水野さんは、グルツと
環
(
わ
)
になつてゐる四十人ばかりの子供たちを
見廻
(
みまは
)
して、かうききました。
原つぱの子供会
(新字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
この
環
(
わ
)
を『
年輪
(
ねんりん
)
』と
言
(
い
)
ひます。
材木屋
(
ざいもくや
)
の
店先
(
みせさき
)
に
行
(
い
)
つて、
圓
(
まる
)
い
材木
(
ざいもく
)
のはしを
見
(
み
)
れば、これが
年輪
(
ねんりん
)
かと、すぐにわかります。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
労働者の精神は意志の努力なしには、
緻密
(
ちみつ
)
な理論のやや長い連鎖をたどるに困難であろう。もしそれをなし得ても、所々に鎖の
環
(
わ
)
が見落とされる。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そして、それらのものと一緒に、鋼の縁と小さな
環
(
わ
)
のついているキッド皮の、脂じみた小さな財布が下げてあった。財布はぎっしりつまっていた。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
それはまことに不可思議の謎の
環
(
わ
)
であつた。私は常にかやうな子供らしい驚嘆をもつて自分の周囲を眺めたいと思ふ。
銀の匙
(新字旧仮名)
/
中勘助
(著)
三羽の
鳶
(
とんび
)
が
頻
(
しきり
)
と
環
(
わ
)
を
描
(
か
)
いて舞っている空高く、
何処
(
どこ
)
からともなく勇ましい
棟上
(
むねあ
)
げの
木遣
(
きやり
)
の声が聞えて来るのであった。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ちょうどその時、東山の肩に、のっと大きな太陽が真っ赤な焔の
環
(
わ
)
の端を見せていた。ことしの第一日の日輪だった。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのうちに、物音をきいてかけつけてきた近所のものや、通りがかりの用ぎきの小僧などがいつのまにか集まって、死体のまわりに
環
(
わ
)
ができてしまった。
誰が何故彼を殺したか
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
頸筋
(
くびすじ
)
の皺がみんな集まって、ただ一つの
円座
(
えんざ
)
をつくり、皮でできた太い
環
(
わ
)
の上に、頭が
斜
(
はす
)
かいに
載
(
の
)
っているのだ。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
ちょうど、そのとき、お
嬢
(
じょう
)
さんは、
新
(
あたら
)
しい
風船球
(
ふうせんだま
)
を
買
(
か
)
ってきて、
前
(
まえ
)
のように
糸
(
いと
)
をたんすの
環
(
わ
)
に
結
(
むす
)
びました。そして、
自分
(
じぶん
)
は、
外
(
そと
)
へ
遊
(
あそ
)
びに
出
(
で
)
てしまいました。
風船球の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そして厳重な扉の潜り戸の傍に付いている鉄の
環
(
わ
)
を鳴らして、小窓が開いてそこに人の眼が
覗
(
のぞ
)
くまでにはおよそ何十分くらいもたっての後であったろうか。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
両神山
(
ふたかみやま
)
の
古城址
(
こじょうし
)
のような形をした肩のところに夕日は落ちて、いつもそこからいろいろな雲がわきあがった。右には赤城から日光連山が
環
(
わ
)
をなして続いた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
猟の言葉を用いて言うなら、僕は一度も『
嗅
(
か
)
ぎそこない』はしなかったのだ。
臭跡
(
においあと
)
がちょっとの間も失わなかったんだ。鎖の
環
(
わ
)
は一つも切れていないのだぜ。
モルグ街の殺人事件
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
Wは木の
環
(
わ
)
であって、これから上部は取りはずしが出来るようになっている。そして上部の形のいろいろ変ったものを挿しかえて、実験が出来るようにした。
雪
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
環
(
わ
)
を作つて好奇の眼を輝かせてゐる女中や家族や客人たちをさも得意げに見𢌞して、兎に角此處では何だから二階にあがれ、と繰返しながら、一段聲を落して
熊野奈智山
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
案内者に導かれて地下の
墓洞
(
カバウ
)
へ
下
(
お
)
りて
行
(
ゆ
)
くと、
龕
(
がん
)
毎
(
ごと
)
に学者政治家達の石棺が花
環
(
わ
)
に飾られて
蔵
(
をさ
)
まつて居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
そこで、七兵衛は、手にしていた縄の一端をクルクルとまとめて、
環
(
わ
)
にしてポンと与八の前へ
抛
(
ほう
)
り出して
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その鎖の
端
(
はじ
)
には
環
(
わ
)
があって、環の中には大小五六個の
鍵
(
かぎ
)
が通してあるので、鎖を高く示そうとしたお延の
所作
(
しょさ
)
と共に、じゃらじゃらという音が津田の耳に響いた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
蘆の根方に住んでいる小
鰻
(
うなぎ
)
がそれに取りつく、
環
(
わ
)
をそっと引き上げて、未練に喰い下って来る小鰻を水面近くまでおびき寄せ、わきから
手網
(
てあみ
)
で、さっと
掬
(
すく
)
い上げる。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
兵士たちの収縮する松明の
環
(
わ
)
は停止した。それと同時に、芒の原の空中からは一斉に矢の根が鳴った。鹿の群れは悲鳴を上げて散乱した。訶和郎の馬は跳ね上った。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
いろ/\な事情が結合し、適合し、秩序的となり、これまで形を成さぬ多くの
環
(
わ
)
の堆積と見えた鎖が、
眞直
(
まつすぐ
)
に引き伸ばされて、各々の環が完全になり聯絡が完成されたのだ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
彼こそはある意味において、彼らが触れ得る人類の最後の鎖の
環
(
わ
)
であった。自分のそばに彼らが生きてる物音が、否むしろ
瀕死
(
ひんし
)
のあえぎをしてるのが、聞こえていたのである。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
芋畠のまはりの
環
(
わ
)
のやうな同じ
畦道
(
あぜみち
)
ばかり幾回もくる/\と歩き廻つてゐるのであつた。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
私の耳にはオーケストラの音楽がガンガン鳴り響き、私の眼の前には踊りの群衆が、………みんな私より
遥
(
はるか
)
に
巧
(
うま
)
そうな群衆が、大きな一つの
環
(
わ
)
を作ってぐるぐると廻っています。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
あるいは十字架を花の
環
(
わ
)
の形に、あるいは
菱形
(
ひしがた
)
に、あるいは円形に意匠したその窓々の
尖端
(
せんたん
)
、あるいは緑と紅との色の中心に描かれてある聖者の立像、それらが皆夕日に輝いた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
一声四辺に響くが如く、許多の小英雄は
恰
(
あたか
)
も大小の
環
(
わ
)
の如く、中心なる大英雄を取巻きて、一団の人色を造るべし、彼等は斯の如くにして革命を催すべし、国の元気を恢復すべし
英雄論:明治廿三年十一月十日静岡劇塲若竹座に於て演説草稿
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
墓といっても、雨風に打たれた、黒木の質素な十字架が一本建っているばかりで、それに、朽ちかけた珠数だまの
環
(
わ
)
が一筋、よじれてところどころばらばらになったまま懸っていた。
情状酌量
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
その茹で芋の三つか五つかを、柳でしょうか竹でしょうか、そうした物で貫いたのを
環
(
わ
)
にして店に盛り上げます。熊手を肩に、その芋の環を手にしたのが、お酉様の帰りの姿でした。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
その大胆らしい界の線を
翳
(
くもり
)
のない夕空に画き、時としては、近き
傍
(
あたり
)
の森には、雲も烟も見えぬに、その巓は、鼠色の霧の
環
(
わ
)
を掛けられ、西山に這入り掛つた夕日の、最後の光に触れて
新浦島
(新字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
私はまた
環
(
わ
)
投げの遊戯に加わった。それに正午にはまだかなりの
間
(
ま
)
があるうちから、しきりに腹が空いて、昼餐の合図の銅鑼ばかりが待たれて困った。ベルを押すことベルを押すこと。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
彼の
従弟
(
いとこ
)
は少しも蛇を恐れず、
杉籬
(
すぎがき
)
に
絡
(
から
)
んで居るやつを尾をとって引きずり出し、
環
(
わ
)
を
廻
(
まわ
)
す様に大地に打つけて、
楽々
(
らくらく
)
と殺すのが、彼には人間以上の勇気神わざの様に
凄
(
すさま
)
じく思われた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
その大網の尖端は、
紐
(
ひも
)
のように太く揺れて、アール・ヌーボー式の図案に見るような、印象の強い輪廓を作って、幾筋となく繋がっては、
環
(
わ
)
を作る。やがて柔らかな大曲りをして消える。
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
頭を
刈
(
か
)
っている男の横顔。これもしばらくたった後、大きい針金の
環
(
わ
)
にぶら下げた何本かのかもじに変ってしまう。かもじの中に下った
札
(
ふだ
)
が一枚。札には今度は「入れ毛」と書いてある。
浅草公園:或シナリオ
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
目がぐるぐるして来て、種々雑多な思いが頭の中を
環
(
わ
)
のようにめぐりだした。
まぼろし
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
手頸
(
てくび
)
には風邪ひかぬ
厭勝
(
まじない
)
というなる黒き
草綿糸
(
もめんいと
)
の
環
(
わ
)
かけたるが立出でたり。
知々夫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
推理の
環
(
わ
)
をその真相に向かって、だんだん狭く絞っているのです。そして、そこに現われて来る事実に驚倒しているのです。決して形容ではありません。本当に心の底から驚いているのです。
偉大なる夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
跫音
(
あしおと
)
を忍ばせながら螺旋階段を登って、観測室へ入った。壁には例の怪鳥がちゃんと懸っている。両翼は飾釘で壁へ確りと止められてあるし、踏ひらいた脚も真鍮の
環
(
わ
)
で堅く
緊着
(
しばりつ
)
けられている。
廃灯台の怪鳥
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
右の方は物干竿が立って其の向うの蘆の少し開けた処に大きな柳の古株があって、此処に腰かけると霞が浦は一眼だ。それ水鳥が飛ぶ、白帆が走る、雲が出て筑波が潜む、魚がはねて水に
環
(
わ
)
を画く。
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
環
常用漢字
中学
部首:⽟
17画
“環”を含む語句
循環
指環
環境
花環
環視
金環
鉄環
環礁
耳環
苧環
首環
佩環
環状星雲
環状
環麺麭
玉環
結婚指環
珮環
鼻環
渦環
...