)” の例文
しかも彼の態度が惜しいものを半分ひとけてやると、半分無くなるからいやだという風に見えたので、自分はますます変な気持がした。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そして外へ出ると、時々けてもらった草花を、腕車くるま蹴込けこみへ入れて帰って来た。中庭の垣根のなかには、いろいろのものが植えられた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「そんな事をしても無駄だつたのさ、それよりは、長崎屋の身上を、早く分ける者にけてやつて、確とした書き附けにでもして置くのだつたよ」
私は、妻にもその記事の内容を話して、憤をけようと思いましたが、何うしてもそれが口に出ないのです。
たちあな姫 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「だが我輩は、レイモンド嬢と結婚してから、すべて今までの生活は捨てようと決心した。君がいつか令嬢室ドモアゼルむろで見た通り、部下はそれぞれ宝物ほうもつけて逃がしてやった。」
「そんな事をしても無駄だったのさ、それよりは、長崎屋の身上を、早く分ける者にけてやって、確とした書き付けにでもして置くのだったよ」
彼はまた自分の分として取りけられたにぎすしをしきりに皿の中からつまんで食べた。……
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「それでお前さえ柔順おとなしく辛抱してくれれば、私は何でもして上げるよ。芳太郎が厭なら厭でもいいのさ。あれに身上をけて別家さして、お前に他から養子をしたっていいんですからね。」
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)