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詫
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わ
ふりがな文庫
“
詫
(
わ
)” の例文
「まことに申しわけもございません、なんとお
詫
(
わ
)
び申上げてよいやら、わたくし、こうしておりますのもお恥ずかしゅうございます」
日本婦道記:萱笠
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「あたしにお
詫
(
わ
)
びになることなんかいりませんけど、それで気がすむのでしたら、どうぞ、なさりたいようになすって、ちょうだい」
キャラコさん:03 蘆と木笛
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
詫
(
わ
)
びるとか、人に円満な解決を頼むとか、
弥縫
(
びほう
)
の方法を持ちうる人もあるが、父のは、やってしまうと、自身では内心悔いていても
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、茶碗が、また、赤絵だったので、思わず失言を
詫
(
わ
)
びつつ、準藤原女史に介添してお掛け申す……羽織を取入れたが、窓あかりに
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
数馬は突然わたくしに先刻の無礼を
詫
(
わ
)
びました。しかし先刻の無礼と申すのは一体何のことなのか、とんとわからぬのでございまする。
三右衛門の罪
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
それこそ誠意おもてにあらわれる
態
(
てい
)
の
詫
(
わ
)
び方をしたに違いないが、しかし、それにしても、之等の美談は、私のモラルと反撥する。
親友交歓
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
しかし松山さん、先方から改めて
詫
(
わ
)
びて来た場合には、
貴郎
(
あなた
)
の方でも
綺麗
(
きれい
)
さつぱりと秋子さんを円満に青木家に渡して下さるのでせうね
愚かな父
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
心ここにあらざれば
如何
(
いか
)
なる美味も
喉
(
のんど
)
を
下
(
くだ
)
らず、今や
捕吏
(
ほり
)
の来らんか、今や爆発の
響
(
ひびき
)
聞えん
乎
(
か
)
と、三十分がほどを
千日
(
せんにち
)
とも待ち
詫
(
わ
)
びつ
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
そのうえ、自分の失礼を
詫
(
わ
)
び、彼の言葉に耳傾けてるふうをしていた。しかしちょっと彼の言葉をさえぎっては母に何か尋ねたりした。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
村を騒がせて済まなかったといえば済まなかったに違えねえんだから、その点はおいらだって
詫
(
わ
)
びをしろと言えばしねえとは言わねえよ。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
コイツ
失敗
(
しま
)
ったと、直ぐ
詫
(
わ
)
びに君の
許
(
もと
)
へ出掛けると今度は君が留守でボンヤリ帰ったようなわけさ。イヤ失敬した、失敬した……
鴎外博士の追憶
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
内には言ひ争ふごとき声聞えしが、又静になりて戸は再び明きぬ。さきの老媼は
慇懃
(
いんぎん
)
におのが無礼の振舞せしを
詫
(
わ
)
びて、余を迎へ入れつ。
舞姫
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
またここへ舞い戻って来てしばらく
厄介
(
やっかい
)
をかけることのさぞ迷惑であろうということを繰り返して
詫
(
わ
)
びて、女には、私には少しも構わず
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
知らなかったものだからと
詫
(
わ
)
びながら、——(今まで、ここで彼女が飲んでいるのを見たことがなかった。)急いで盃を
乾
(
ほ
)
した。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
雪子さんの保護を依頼されながらこのような結果となったお
詫
(
わ
)
び心に、二人は親戚旧知に混って、火葬場まで見送りをするつもりなのだ。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
民子は雨が降ってから気がついたけれど、もう間に合わない。うちへ帰って早速母に
詫
(
わ
)
びたけれど母は平日の事が胸にあるから
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
筒井は
淑
(
しと
)
やかにこれ以上たずねてくれるなという、柔らかい印象をあたえた。父という人は自らの
無躾
(
ぶしつけ
)
を
詫
(
わ
)
びるように、やさしくいった。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
彼は弟の手を
執
(
と
)
って過去の辛酸を語ろうともしなければ、留守中
何程
(
どれほど
)
の迷惑を掛けたろうと、深くその事を
詫
(
わ
)
びるでもなかった。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
わけを話して
詫
(
わ
)
びを入れ
暫時
(
ざんじ
)
待ってもらおうと、来にくいところを、今夜思いきって化物やしきの裏をたたいたのだったが——。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
あの私が
茄子
(
なす
)
を折って叱られているとき——
小母
(
おば
)
さん、すみません——と
詫
(
わ
)
びてくれた、
温
(
あたた
)
かい心が四十二歳になってもまだ忘れられない。
こんにゃく売り
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
一目に教育のあることの知れる婦人が出て、あいにく逢えないことを
詫
(
わ
)
び、明日の時間のことについて、二言三言丁寧な
挨拶
(
あいさつ
)
がかわされた。
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「御客人の御都合はともあれ、折角十枚揃いましたる大切の御道具を一枚欠きましたる菊めの罪科、わたくしも共々にお
詫
(
わ
)
び申上げまする」
番町皿屋敷
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「えい、
白痴
(
ばか
)
めが、とく参って、
鄭重
(
ていちょう
)
に
詫
(
わ
)
び
言
(
ごと
)
致した上、御嶽冠者殿参った時のみ使用致す『
鳳凰
(
ほうおう
)
の間』へ謹しんでお移し申すがよいわ!」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
勧めて無理な勉強をさして、
此様
(
こん
)
な事になってしまって、まことに
済
(
す
)
みません、と
詫
(
わ
)
ぶる外に彼等は
慰
(
なぐさ
)
めの言を知らなかった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「親分——銭形の親分さん、逃げも隠れもいたしません。しばらく待って下さい。せめて三十年の不孝を、親父にしみじみと
詫
(
わ
)
びて参ります」
銭形平次捕物控:134 仏師の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「これから精々気をつけますから……。」と
顫
(
ふる
)
え声で
詫
(
わ
)
びるのであるが、その
言
(
ことば
)
には自信も決心もなかった。ただ恐怖があるばかりであった。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
あれに代わってお
詫
(
わ
)
び申しますよ、神聖なる長老様! (この『神聖なる長老様』でアリョーシャは、思わずぎくりとした)
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
転がりまわりつつ、どんなに大きな声をあげて泣き崩れたか……心ゆくまで泣いては
詫
(
わ
)
び、あやまっては
慟哭
(
どうこく
)
したか……。
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
わたしは喜んで君の
詫
(
わ
)
び言葉を受入れます。と同時に、こちらからも厚くお詫びを申述べたい。ではご機嫌よう! (ワーニャに三度
接吻
(
せっぷん
)
する)
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
すると安斉先生は涙をホロホロこぼして、『この上はつぎの間へさがって大殿様にお
詫
(
わ
)
びを申しあげます』といったそうだ
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「わたし、これから房枝さんのお墓へお参りに行って、通じないまでもお
詫
(
わ
)
びを申してまいりたいと存じますから……」
錯覚の拷問室
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
左樣
(
さう
)
ないてくれては
困
(
こま
)
る、お
民
(
たみ
)
どのも
同
(
おな
)
じやうに
何
(
なん
)
の
事
(
こと
)
ぞ、もう
逢
(
あ
)
はれぬと
言
(
い
)
ふでもなきに
心細
(
こヽろぼそ
)
き
事
(
こと
)
いひ
給
(
たま
)
ふな、
園
(
その
)
さま
何
(
なに
)
も
詫
(
わ
)
びらるヽ
事
(
こと
)
はなし
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
彼の妻は何事かと縁側へ出て来たが、この様子を見ると彼の女は、暗のなかの通行人に向つて
頻
(
しき
)
りに
詫
(
わ
)
びて居た。彼にはそれが又腹立たしかつた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
一首は、鴨山の
巌
(
いわお
)
を枕として死んで居る吾をも知らずに、吾が妻は吾の帰るのを待ち
詫
(
わ
)
びていることであろう、まことに悲しい、という意である。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
不思議なことには、残菊物語で御存じの菊之助が
詫
(
わ
)
びがかなって大阪から戻って来たのも、やはり二十九年であった。
役者の一生
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
子供らが
叫
(
さけ
)
んでばらばら走って来て童子に
詫
(
わ
)
びたり
慰
(
なぐさ
)
めたりいたしました。
或
(
あ
)
る子は
前掛
(
まえか
)
けの
衣嚢
(
かくし
)
から
干
(
ほ
)
した
無花果
(
いちじく
)
を出して
遣
(
や
)
ろうといたしました。
雁の童子
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「寄ればよかったのに。お前、またなぜ黙って行くのさ。おかしな子だよ。お糸さんに御心配かけたよ。すみませんでしたってお
詫
(
わ
)
びをしなさい。」
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
正直者
(
しょうじきもの
)
の
香織
(
かおり
)
は、
涙
(
なみだ
)
ながらに、
臨終
(
りんじゅう
)
に
際
(
さい
)
して、
自分
(
じぶん
)
の
心懸
(
こころがけ
)
の
悪
(
わる
)
かったことをさんざん
詫
(
わ
)
びるのでした。しばらくして
彼女
(
かのじょ
)
は
言葉
(
ことば
)
をつづけました。——
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
過ぎた事は何ともならぬ、これから古法通りにしましょうと
詫
(
わ
)
び入りて、厩に赤銅板を
布
(
し
)
き太子に蓋、王の長女に払子、大夫人に食物を奉ぜしめると
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
と、この紳士は、少し
飜訳
(
ほんやく
)
口調の
嫌
(
きら
)
いあるとはいえ、先ずそんなに間違いのない日本語で梶に
詫
(
わ
)
びてから、ヨハンというハンガリヤ名の名刺を出した。
罌粟の中
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「ええ全く妙なのですが、先生があまり真面目だものですから、つい気がつきませんでした」とあたかも主人に向って
麁忽
(
そこつ
)
を
詫
(
わ
)
びているように見える。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
わたくしは此の許され難い罪の
詫
(
わ
)
びをしたいと心ではそう思いながら、そうする事の出来ない事情を悲しんでいる。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
すっかり当て込んでいたのであったが、塚本としてもせめて慰めの言葉ぐらい、でなければ
無沙汰
(
ぶさた
)
の
詫
(
わ
)
びぐらい、云わなければならない
筈
(
はず
)
なのである。
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
板の間のことをその場で
指摘
(
してき
)
されると、何ともいい訳けのない困り方でいきなり平身低頭して
詫
(
わ
)
びを入れ、ほうほうの
体
(
てい
)
で
逃
(
に
)
げ帰った借金取があったと
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
兄が無事帰ったという知らせで、自殺する筈の男が海水浴に行っていたということを余程の悪徳と考えたらしく、兄に代って弁解と
詫
(
わ
)
びが連ねてあった。
篠笹の陰の顔
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
このことと俊雄ようやく夢
覚
(
さ
)
めて父へ
詫
(
わ
)
び入り元のわが家へ立ち帰れば喜びこそすれ
気振
(
けぶ
)
りにもうらまぬ母の慈愛厚く
門際
(
もんぎわ
)
に寝ていたまぐれ犬までが尾を
かくれんぼ
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
しかし、そんなことをすれば、アンの
軽蔑
(
けいべつ
)
をうけるばかりで、何の
益
(
えき
)
にもならないと思ったので、それはやめることにして、
只
(
ただ
)
心の中で、アンに
詫
(
わ
)
びた。
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その罪はいくらお
詫
(
わ
)
びしても許されませぬほど大きいと思います。先生、どうか弱いものと思ってお
憐
(
あわれ
)
み下さい。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
そして何んという事もなしに少し涙ぐんだ。「だから、私はあした帰るわ。療養所の人達にもそう云ってお
詫
(
わ
)
びをして置くわ。それなら好いでしょう。」
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
今迄
(
いままで
)
は、元気であった父も、折々は
嗟嘆
(
さたん
)
の声を出すようになった。夕方の食事が済んで、
父娘
(
おやこ
)
が向い合っている時などに、父は娘に
詫
(
わ
)
びるように
云
(
い
)
った。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
詫
漢検準1級
部首:⾔
13画
“詫”を含む語句
御詫
詫入
詫言
詫証文
待詫
詫手紙
詫宣
詫状
詫間
詫事
詫住居
詫金
詫磨
詫異
詫火
詫書
詫入申
右詫金
詫住
詫付
...