)” の例文
私は舌をあらしているのにこりもせず、煙草を取り出して火をつけた。そして路のきを見ると路に沿って山吹や木苺が叢生していた。
遠野へ (新字新仮名) / 水野葉舟(著)
そのそば絹帽シルクハットが二つ並んで、その一つには葉巻のけむりが輪になってたなびいている。向うの隅に白襟しろえりの細君がひんのよい五十恰好かっこうの婦人と、きの人には聞えぬほどな低い声で何事か耳語ささやいている。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
応接間は玄関きの奥へ向って細長い室であった。
ガルスワーシーの家 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)