)” の例文
やがて、ピューと汽笛きてきが鳴って、車がつく。待ち合せた連中はぞろぞろがちに乗り込む。赤シャツはいの一号に上等へ飛び込んだ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
これを要するに諸人才器齷齪あくさく、天下の大事を論ずるに足らず、が長人をして萎薾いびせしめん。残念々々。足下そっか久坂をのみ頼むなり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
爪長つめながく、おほきさは七しやく乃至ないしじやう二三じやくぐらいの巨鳥きよてうが、天日てんじつくらくなるまでおびたゞしくぐんをなして、輕氣球けいきゝゆう目懸めがけて、おそつてたのである。
龐涓はうけんくこと三日みつかおほひよろこんでいはく、『われもとよりせいぐんけふなるをる。りて三日みつか士卒しそつぐるものなかばにぎたり』
と、なんという奇観きかん、人造人間は、ちに、身体を曲げて車輪になるのがあるかと思うと、四五人横に寝て、鋼鈑こうばんとなるものもある。
そンなとき鷲尾は思わず呼吸いきをつめていた。威迫されるような光景に、れ知らず懐中の赤ン坊を抱きしめているのである。——
冬枯れ (新字新仮名) / 徳永直(著)
定基は其のかたえに昼も居た、夜もして、やるせない思いに、が身の取置きも吾が心よりとは無く、ただ恍惚こうこつ杳渺ようびょうと時を過した。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
然るを船は悠然として、が実現すべからざる欲望には何の関係もなく、左右のふなべりに海峡の水を蹴つて、遠く沖合に進み出た。
黄昏の地中海 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
これを以て余は自からが不学短識を忘れ、みだりにその員にそなわれり。ただ余や不学短識、本校に補う所なかるべし(否々)。
祝東京専門学校之開校 (新字新仮名) / 小野梓(著)
さて、事件が大分だいぶ複雑化して来たなと一人で決め込んだ私の眼の前へ、車のドアはいして元気よく飛び出した男は、ナントが親友青山喬介だ。
カンカン虫殺人事件 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
おかしなもんで、一人が死ぬと『れも、吾れも』とそこで死にたがるもんでな、轢くこっちはいい迷惑よ、嫌な思いをしなけりゃならねェし。
鉄路 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
いましふ所の如くば、の勝たむこと必ずしからむ。こころねがふは、十年百姓をつかはず、一身の故を以て、万民おほむたからわづらはしいたはらしめむや。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
ここすむ近在きんざい后谷村ごやむらといふあり。此村の弥左ヱ門といふ農夫のうふおいたる双親ふたおや年頃としごろのねがひにまかせ、秋のはじめ信州善光寺へ参詣さんけいさせけり。
言うにや及ぶ、大岡は大岡、れわれはれわれ、ま、ここだけの話じゃが、拙者は、あの大岡殿の利才りさいぶった様子が、日頃から気に食わぬのじゃ。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
うつくしといもはやねやもけりともわれるべしとひとはなくに 〔巻十一・二三五五〕 柿本人麿歌集
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
竺阿彌ちくあみ、めそ/\ときながら、おほせなれば是非ぜひもなし。最後さいご一言いちごんれよ、とふ。國沴こくてんなにをかふ、はむとほつするところまをせ、とあるとき
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と大声で怒り付けながら、老刑事を突き退けて裏口の階段の方へ行こうとしたが、この時の私の腹の工合は、れながら真に迫った傑作であったと思う。
冗談に殺す (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ねがわくば君が説に賛成するあらば、共にちてこれを図り、併せてわが民族の救援につき討論せんことを請う。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
ここにその妹伊耶那美いざなみの命に問ひたまひしく、「が身はいかに成れる」と問ひたまへば、答へたまはく、「が身は成り成りて、成り合はぬところ一處あり」
が愛するものよ、請う急ぎ走れ。香ばしき山々の上にかかりて、鹿のごとく、小鹿のごとくあれ——と。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
快晴の日には佐渡も富土山も認めることが出来るそうである、この山上の大観はが北越の諸山に比較すると、飯豊いいで山の雄渾ゆうこん豪壮に対しては少しく遜色があるが
平ヶ岳登攀記 (新字新仮名) / 高頭仁兵衛(著)
かつ自分じぶん一人ひとり毬投まりなげをしてて、れとれをだましたといふので、自分じぶんみゝたゝかうとしたことを思出おもひだしました、それといふのもこの不思議ふしぎ子供こどもが、一人ひとりでありながら
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
そして児は玄関口で焼け死んでいたが、近所の人たちは怪しい火柱を見ていたので、この異変は、竹田の前妻がが子を迎えに来たがために起ったものだと云って噂しあった。
前妻の怪異 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
それでも樹木じゅもくを植え、吾が種をき、我が家を建て、吾が汗をらし、わが不浄ふじょうつちかい、而してたま/\んだ吾家の犬、猫、鶏、の幾頭いくとう幾羽いくわを葬った一町にも足らぬ土が
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
宿のが部屋の真正面にそびえているものに高崎山がある。この山は由布ゆふ、鶴見などの山系とはやや離れて、別府湾頭にひとり超然として聳えておる。れ関せずえんというふうに。
別府温泉 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
「こんなものを少しやってみたことがありますか。つまという琴などは弾いたでしょう」
源氏物語:52 東屋 (新字新仮名) / 紫式部(著)
それでもすらすら仕事の出来た後は、どんな無理なことも「はいはい」と承知してあげて、酒も愉しく上手に飲む。仕事の後の酒はれながらおいしい。酒は盃のねばる酒がきらい。
生活 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
いつしかに太い筋綱にり合わさって、いやいやが身ひとの身なんどは夢幻の池のにうかぶつかのまの泡沫うたかたにしか過ぎぬ、この怖ろしい乱壊転変らんえてんぺんすがたこそ何かしら新しいものの息吹いぶ
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
二十二年の十月発行の廿にぢう七号を終刊しうかんとして、一方いつぱうにはみやこはなが有り、一方いつぱうには大和錦やまとにしきが有つて、いづれもすこぶ強敵きやうてき版元はんもと苦戦くせんのちたふれたのです、しかし、十一月にまた吉岡書籍店よしをかしよじやくてんもよふし
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
はなはだしいかな、おとろえたるや。ひさしくゆめにだも周公しゅうこうず」
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
此の丫鬟豊雄を見て、二二一が君のここにいますはといふに、驚きて見れば、かの真女子まなご、まろやなり。あな恐ろしとて内に隠るる。金忠夫婦、こは何ぞといへば、かの二二二鬼ここにひ来る。
人として一つの癖はあるものよ、れにはゆるせ敷島の道。
(新字旧仮名) / 喜多村緑郎(著)
人生七十 力囲希咄りきいきとつ の宝剣 祖仏共に殺す(三七)
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
が向象賢氏であると心得てもらいたいのであります。
琉球史の趨勢 (新字新仮名) / 伊波普猷(著)
が恋よりもやさしきものは世にあらじ……
傍観のれ吾れにおいても拍手、快と称す
福沢諭吉 (新字新仮名) / 服部之総(著)
われが喉笛を突きさしたりして。
まぼろし (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
春さらばかざしにせむといし
光り合ういのち (新字新仮名) / 倉田百三(著)
はもよ しのぶ。藤原処女
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
の、やがて黄金こがね
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
古里ふるさとを忍べばか
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
いくら研究の時間が大切だって、学校の講義が大事だって、一生同じ所で同じ生活をしなくっちゃならないが妻じゃありませんか。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
およぜいかたきは、もつくことるのかたきにあらざるなり(五七)またべんあきらかにするのかたきにあらざるなり
この東風ひがしかぜいてために、輕氣球けいきゝゆうは、たちま進行しんかう方向ほうかうへんじて、今度こんどは、りく方面ほうめんからなゝめに、海洋かいやうほうへときやられた。
皆是れ御最期までもが君の、世を思い、家を思い、臣下を思いたまいて、孔子こうしの国を去りかね玉いたる優しき御心ぞ。
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「そうか、パチノが先祖からけついだ吸血病か、そうしてついに君にまで伝わったのか、パチノの曾孫そうそんにあたるが……」
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ここすむ近在きんざい后谷村ごやむらといふあり。此村の弥左ヱ門といふ農夫のうふおいたる双親ふたおや年頃としごろのねがひにまかせ、秋のはじめ信州善光寺へ参詣さんけいさせけり。
が従兄弟と申すは父母にはおいなり、祖父母より見れば同じく孫なり。すれば父母祖父母の心になりて見れば、従兄弟は決してうとくはならぬなり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
妾のステキな思い付きに感心してしまって、れ知らず身体からだを前に乗り出した。両手を打ち合わせて喜んだ。
ココナットの実 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
長谷はつせ五百槻ゆつきもとかくせるつまあかねさしれる月夜つくよひとてむかも 〔巻十一・二三五三〕 柿本人麿歌集
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)