『まぼろし』

和やかな初夏の海辺には微風の気合ひも感ぜられなかつた。呑気な学生が四五人、砂浜に寝転んでとりとめもなく騒々しい雑談に花を咲かせてゐた。 「ゆらのとをわたるふなびとかぢをたへゆくへも知らぬこひのみちかな——か、今となると既にもうあの頃がなつか …

著者	牧野信一
ジャンル	文学 > 日本文学 > 小説 物語
初出	「文藝春秋　オール讀物　第三巻第四号」文藝春秋社、1933（昭和8）年4月1日
文字種別	新字旧仮名
読書目安時間	約26分（500文字/分）
朗読目安時間	約43分（300文字/分）

作品に特徴的な語句

節（メロデイ） 香（にほ） 悉皆（すつか） 身装（みじま） 上向（あをむけ） 首領（キヤプテン） 気合（けは） 鯨（ホエール） 人魚（マメイド） 衣（きもの） 羞（はにか） 寂（しん） 物語（ローマンス） 羅（うす） 実（げ） 剽軽（ひようきん） 面々（ナイト） 蓋（かさ） 私（わし） 欄干（てすり） 戯談（じようだん） 降（くだ） 吾（わ） 底（てい） 稀（たま） 四阿（あづまや） 吾（われ） 情景（シーン） 微風（そよかぜ） 脚下（あしもと） 温（ぬく） 藤（ふじ） 呼吸（いき） 盗棒（どろぼう） 曳哉（えいや） 反響（こだま） 故意（わざ）

題名が同じ作品

まぼろし （新字新仮名）／ 国木田独歩 （著）