)” の例文
だ東京で三年前に買つたまゝのをかぶつて居る僕の帽もこの連中れんぢゆうあかみた鳥打帽やひゞれた山高帽やまだかばうに比べれば謙遜する必要は無かつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
脚絆きゃはん足袋たびも、紺の色あせ、のみならず血色ちいろなき小指現われぬ。一声いっせい高く竹のるる音して、勢いよく燃え上がりし炎は足を焦がさんとす、されどおきなは足を引かざりき。
たき火 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
げに今まで燃えつかざりし拾木ひろいぎの、たちまち風に誘われて火を起こし、濃き煙うずまきのぼり、くれないの炎の舌見えつ隠れつす。竹の節のるる音聞こえ火の子舞い立ちぬ。火はまさしく燃えつきたり。
たき火 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)