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めかけ
ふりがな文庫
“
妾
(
めかけ
)” の例文
次はお
妾
(
めかけ
)
のお若の部屋、それは奧方の部屋よりも明るく大きく、
庶腹
(
しよふく
)
の子の徳松が、
玩具
(
ぐわんぐ
)
を部屋一パイに散らばして遊んで居ります。
銭形平次捕物控:172 神隠し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
姿
(
すがた
)
は
婀娜
(
あだ
)
でもお
妾
(
めかけ
)
ではないから、
團扇
(
うちは
)
で
小間使
(
こまづかひ
)
を
指圖
(
さしづ
)
するやうな
行儀
(
ぎやうぎ
)
でない。「
少
(
すこ
)
し
風
(
かぜ
)
過
(
す
)
ぎる
事
(
こと
)
」と、
自分
(
じぶん
)
でらふそくに
灯
(
ひ
)
を
入
(
い
)
れる。
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それを皆な
妾
(
めかけ
)
を置いたり、
芸妓
(
げいしや
)
を家に
引摺込
(
ひきずりこ
)
んだり、遊廓に毎晩のやうに行つたり、二月ばかりの中に滅茶/\にして仕舞つたゞア。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
お
妾
(
めかけ
)
ではないそうです。太閤には五妻といって、ほとんど同格に扱われた五人の夫人がありましたことは、あなたも御存じでしょう。
大菩薩峠:35 胆吹の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
お父様のお
妾
(
めかけ
)
さんだか何だかわからない女が、図々しく家政婦とか何とかいって乗込んで来てお嬢様のテル子さんを邪魔にするので
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
彼女が義明の
妾
(
めかけ
)
として木曽の館へ入り込んでから、永い月日が過ぎ去っていた。しかも彼女は純潔であった。文字通り処女であった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「お父さんがお
妾
(
めかけ
)
を置かうとどうしようと、それにあなたが出しやばるなんて、全く鼻持のならない事だわ、妾が堪らなかつた。」
熱海へ
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
残り五十両はそのまゝ
旧
(
もと
)
の通り幹の穴に隠し、右の四拾両を以て、一時
妾
(
めかけ
)
を囲ひ、
淫楽
(
いんらく
)
に
耽
(
ふけ
)
りをり候処、その妾も数年にして病死致し
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
穏当
(
おとなしく
)
なって
姪子
(
めいっこ
)
を売るのではない養女だか
妾
(
めかけ
)
だか知らぬが百両で縁を
切
(
きっ
)
で
呉
(
く
)
れろという人に
遣
(
や
)
る
計
(
ばかり
)
の事、それをお
辰
(
たつ
)
が
間夫
(
まぶ
)
でもあるか
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
でも、世間普通のお
妾
(
めかけ
)
の生活って、むずかしいものらしいのね。人の話では、お妾は普通、用が無くなると、捨てられるものですって。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
競馬に加わる若い者はその妙齢な娘の前で手柄を見せようと争った。
他人
(
ひと
)
の
妾
(
めかけ
)
に目星をつけて何になると皮肉をいうものもあった。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「妹に、気がねなんか、いりやしない。お里だって……ほんとのこというと、
榊原
(
さかきばら
)
健吉の、お
妾
(
めかけ
)
みたいなものになってるんですからね」
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
闇太郎は、お初が、さも、通い番頭のお
妾
(
めかけ
)
さんらしく、黒門町の新道の奥に、ひっそりと隠れていることを、すっかり知っているのだ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
名
遂
(
と
)
げ功成った一代の英雄や成功者が、老後に幾人の
妾
(
めかけ
)
を持っても、おそらくその心境には、常に
充
(
み
)
ちない
蕭条
(
しょうじょう
)
たるものがあるであろう。
老年と人生
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
それによると平左衛門の
妾
(
めかけ
)
のお
国
(
くに
)
が、
某日
(
あるひ
)
新三郎が死んだと云ってお露を欺したので、お露はそれを
真
(
ま
)
に受けて尼になると言いだしたが
円朝の牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
氣
(
き
)
の
早
(
はや
)
い
子
(
こ
)
だねとお
京
(
きやう
)
の
諭
(
さと
)
せば、そんならお
妾
(
めかけ
)
に
行
(
ゆ
)
くを
廢
(
や
)
めにしなさるかと
振
(
ふり
)
かへられて、
誰
(
だ
)
れも
願
(
ねが
)
ふて
行
(
ゆ
)
く
處
(
ところ
)
では
無
(
な
)
いけれど
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
今度の下宿はその中間をゆく家だった。おばさんはもと待合をしていたことがあるとか云って、誰かの
妾
(
めかけ
)
をしているらしかった。
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
文「うむ、聞済んでくれるか、頼みと云うは
外
(
ほか
)
ではない、只今御吟味中に
一寸
(
ちょっと
)
小耳に
挟
(
はさ
)
んだ事だが、
先役人
(
せんやくにん
)
の
妾
(
めかけ
)
に子供が有るそうじゃな」
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お玉は父親を幸福にしようと云う目的以外に、何の目的も有していなかったので、無理に堅い父親を口説き落すようにして人の
妾
(
めかけ
)
になった。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
ある時、出入の男が長次郎氏が五銭銅貨のやうに青い顔で
鬱
(
ふさ
)
ぎ込んでゐるのを見て、気晴しに
妾
(
めかけ
)
でも置いたら
何
(
ど
)
うかとお
追従
(
ついしよう
)
を言つてみた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
私は叔父が市の方に
妾
(
めかけ
)
をもっているという
噂
(
うわさ
)
を聞きました。私はその噂を昔中学の同級生であったある友達から聞いたのです。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
上さんは、
笑談
(
じょうだん
)
らしく
妾
(
めかけ
)
の周旋を頼んだりする小野田に言うのであったが、お島はやっぱりそれを聞流してはいられなかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
昔郡役所のあった町に小金持の老人があったが、借金のかたとでもいうわけか、お綱は呼び寄せられてこの老人の
妾
(
めかけ
)
になった。その時が十八。
禅僧
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
女流歌人
松
(
まつ
)
の
門
(
と
)
三艸子
(
みさこ
)
は長命であったが、その前身は井上文雄の
内弟子
(
うちでし
)
兼
妾
(
めかけ
)
で、その後、深川松井町の芸妓
小川小三
(
おがわこさん
)
である。
明治大正美人追憶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
母は
妾
(
めかけ
)
の子であった。私はその自分には祖母に当る人の写真を見たが、年配は丁度母が世を去る頃の年ごろのもので、母によく似た人を見た。
生い立ちの記
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
自分の気に入った者には、自らの
妾
(
めかけ
)
を与え、
裙紅
(
つまべに
)
さして人の娘の美しいのに歌を附けたりまるで武士の家に生れたことなぞは忘却の体である。
桶狭間合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
こんな所へ来たは
好
(
い
)
いが、一体どうする気なんだろう?——牧野はそう疑いながら、しばらくは橋づめの電柱の蔭に、
妾
(
めかけ
)
の
容子
(
ようす
)
を
窺
(
うかが
)
っていた。
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
主人となった夫は真佐子という美妻があるに
拘
(
かかわ
)
らず、
狆
(
ちん
)
の様な小間使に手をつけて、
妾
(
めかけ
)
同様にしているという噂が伝わった。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「御橋も達者だ。しかし、先生、どうもあんまり
妾
(
めかけ
)
を大切にするのでつき合い
難
(
にく
)
いよ。あ
奴
(
いつ
)
も参木のような馬鹿者だね。」
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
塩瀬の大将だっても
妾
(
めかけ
)
が
幾人
(
いくたり
)
もあると言う話です。部下のものが飲みに行く位のことは何とも思ってやしないんでしょう。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
お美代は、小間使いというよりも、お駒ちゃんが磯屋を出たあとは、おおびらに磯五の
妾
(
めかけ
)
のようになっている女であった。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
いねの記憶では十歳の時に
妾
(
めかけ
)
の家で死んだ父親が、夜半に戸板にのせられて家へ帰ってきた時のほか、自分の家で父親の姿を見たことはなかった。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
木屋町にはちゃんと旦那はんの
妾
(
めかけ
)
が……しかし登勢は顔色一つ変えず、そんなことを言いに帰ったのかと追いかえした。
蛍
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
それは
品川
(
しながわ
)
の遊女
某
(
ぼう
)
が外人に
落籍
(
らくせき
)
せられんとしたことで、当時は
邦人
(
ほうじん
)
にして外人の
妾
(
めかけ
)
となれるをラシャメンと呼び、すこぶる
卑下
(
ひげ
)
したものである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
御当人様ではまるで奥様を、お探しになるやうな思召、
婢
(
てかけ
)
妾
(
めかけ
)
といふやうなものでは、とてもそれだけの用に立たない。
誰が罪
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
『それじゃ太閤さんにお尋ねします、あなたにはお
妾
(
めかけ
)
さんはありませんでしたか』と詰問すると、『わしは金力で女の色香を
弄
(
もてあそ
)
んだことなどはない』
空中征服
(新字新仮名)
/
賀川豊彦
(著)
お紋を
妾
(
めかけ
)
によこせ、それだけの前金を渡してある、……そんなちょぼ一があるか、若さまどころかあいつはぺてん師だ、これが酔わずにいられるかい
野分
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
十八世紀の中葉には、身分の高い
公達
(
きんだち
)
らは公然と
妾
(
めかけ
)
をたくわえていたが、中流民らは妾を置いてもそれを隠していた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
監獄のよりも高い
煉瓦塀
(
れんがべい
)
の取りめぐらされた、工場の中に吸い込んでしまって、その中の上出来なのを、自分らの
玩弄物
(
がんろうぶつ
)
なる「
妾
(
めかけ
)
」にしてしまうんだ。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
よくよくたずぬれば、実は住持の
妾
(
めかけ
)
を置き、日暮れよりは人の来たらざらんために妖怪出ずるといいしとなり。また、白昼に妖怪出でしという家あり。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
「階下の七号に越して来た女ね、時計屋さんの
妾
(
めかけ
)
だって、お上さんがとてもチヤホヤしていて憎らしいったら……」
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
算盤
(
そろばん
)
で引いたような面しとって、
妾
(
めかけ
)
は二人も囲うちょる。それが、勝則君、今度の選挙に打って出ろうというとばい
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
その
妾
(
めかけ
)
で元映画女優、今は酒場「巴里」のマダムの村雲笑子、最近アメリカから来た、当時売出しのダンサー川俣踏絵の三人は、今こんなところにいる。
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
其れは潮来一の豪家の
子息
(
むすこ
)
某
(
なにがし
)
、何時かお光を見染め、是非
妾
(
めかけ
)
にしたい、就いては支度金として五十円、外に万作夫婦には月々十円と網一具やろうとの話だ。
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
「おっかあ、粕谷の仙ちゃんのお
妾
(
めかけ
)
の居た
家
(
うち
)
に越して来た東京のおかみさんが
通
(
とお
)
るから、出て来て見なァよゥ」
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
したがって、
人気役者
(
にんきやくしゃ
)
に
付
(
つ
)
きまとう
様々
(
さまざま
)
な
噂
(
うわさ
)
は、それからそれえと、
日毎
(
ひごと
)
におせんの
耳
(
みみ
)
へ
伝
(
つた
)
えられた。——どこそこのお
大名
(
だいみょう
)
のお
妾
(
めかけ
)
が、
小袖
(
こそで
)
を
贈
(
おく
)
ったとか。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
次郎左衛門には栃木の町に
許婚
(
いいなずけ
)
の娘があったが、そんなわけで破談となった。
妾
(
めかけ
)
を二、三人取り替えたことはあったが、一度も本妻を迎えたことはなかった。
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
陸軍の主計官とかで、その人が細君を
妾
(
めかけ
)
の
為
(
た
)
めに、非常に虐待したものから、細君は常に夫の無情を恨んで、
口惜
(
くやし
)
い
口惜
(
くやし
)
いといって
遂
(
つい
)
に死んだ、その細君が
女の膝
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
ところで私は、俗物たちが
妾
(
めかけ
)
をもって平然としているように、一夫多妻主義で納まっていることはできない。
野狐
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
秀吉はそれには耳をかさなかったが、切支丹の一婦人に
懸想
(
けそう
)
してその婦人を
妾
(
めかけ
)
にすることができなかった時、始めてほんとうに切支丹の強情を憎いと思った。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
“妾”の解説
妾(めかけ、しょう)とは、婚姻した男性が、妻以外にも囲う女性のことで、経済的援助を伴う愛人を指す。
(出典:Wikipedia)
妾
漢検準1級
部首:⼥
8画
“妾”を含む語句
外妾
愛妾
洋妾
妾腹
寵妾
妾宅
妻妾
男妾
妾達
婢妾
妾狂
侍妾
蓄妾
御妾腹
妓妾
妾等
嬖妾
嬪妾
世間妾形気
側妾
...