“そばめ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
側女58.1%
側室25.6%
側妾4.7%
侍妾2.3%
側妻2.3%
側目2.3%
2.3%
聳目2.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
おおやけのお役目がせわしいなどとよくいわれたものです。——あなたは、側女そばめの山吹がいなくなったので、それで狼狽うろたえているのでしょう」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こんなつめたいつまこころが、なんでいつまで良人おっとむねにひびかぬはずがございましょう。ヤケ気味ぎみになった良人おっとはいつしか一人ひとり側室そばめくことになりました。
「このお方は、お陣屋のお側妾そばめさまだが——お上人様——どうしたわけでございます」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ながひとやつながれし人間ひとの、急に社会このよへ出でし心地して、足も空に金眸きんぼうほらきたれば。金眸は折しも最愛の、照射ともしといへる侍妾そばめの鹿を、ほとり近くまねきよせて、酒宴に余念なかりけるが。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
客人は、二十七八歳の、弱い側妻そばめを求めていた。向島の一隅の、しもたやの二階を借りて住まっていて、五歳のててなしとふたりきりのくらしである。
雌に就いて (新字新仮名) / 太宰治(著)
泣きだすか、狂乱するか、わめくかと側目そばめづかいで行子の顔を見ていたが、行子はなんの気振りも見せず、描いたような美しい口元をひきしめながらあどけなく露草のなかをながめている。
うすゆき抄 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
年へしティトネのそばめそのうるはしき友のかひなをはなれてはや東のうてなしらみ 一—三
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
今、お辻の寝棺が悠々と泰松寺の山門——山城屋宗右衛門の老来の虚栄心が、ひそかに一郷の聳目そばめを期待して彼の富の過剰を形の上に持ちきたらしめた——をくぐつて行つた。
老主の一時期 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)