“わきめ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
傍目56.7%
側目20.6%
脇目10.6%
傍眼3.5%
他目3.5%
側眼2.1%
傍視0.7%
傍観0.7%
0.7%
脇眼0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ふと見れば、枯蘆の中の小家から現れた女は、やはり早足にわたくしの先へ立って歩きながら、傍目わきめも触れず大門の方へ曲って行った。
元八まん (新字新仮名) / 永井荷風(著)
かくて彼は、日々にちにちの波を分けておのれの小舟を進めながら、側目わきめもふらず、じっとかじを握りしめ、目的の方へ眼を見据えている。
「先生は皆一生懸命ですよ。少し脇目わきめでもしていようものなら呶鳴りつけられますから、油断も隙もありません」
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
箇程の技倆を有ちながら空しく埋もれ、名を発せず世を経るものもある事か、傍眼わきめにさへも気の毒なるを当人の身となりては如何に口惜きことならむ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
交通巡査が交通巡査に——看護婦が看護婦に——百姓が百姓に——職工が職工に——すべての職業人が天職に向つて他目わきめも觸らないでゐる働きぶりを見かけると、偉い、と眞底から思ふ。
折々の記 (旧字旧仮名) / 吉川英治(著)
もう御神酒おみきがまはつたと見えて、小鬢こびんの禿まで赤くしながら、さすがにちつとは恥しいのか、なるべくおれの方を見無えやうに、側眼わきめばかり使つてゐやがる。
鼠小僧次郎吉 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
土のうわつらった赭土あかつちの肌の見えている処では、草は短くなってそこでは路があっちこっちに乱れていた。傍視わきめらずに一心になって草の路を追っている菊江の耳に物の気配がした。
女の怪異 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
まことに傍観わきめは心細げなれど、海浅くして沙平らかなるところの事とて、まことはあやふげ更に無く、海原に我たゞ一人立ちたる心地よさ、そらよりおろす風に塵無く、眼に入るものに厭ふべきも無し。
鼠頭魚釣り (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
手前たちゃ物のわきめえもなけりゃ物覚えも悪いと来てるんだからな。手前たちの母親おふくろは何だって手前らを海へなんぞ出したのか己にゃあわからねえ。
脇眼わきめも振らんと二人の寝顔見守りながら、寝息うかごうたり、ばたきさしてみたり、心臓に手エあててみたり、いろいろなことして試しなさって
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)