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妾
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わらは
ふりがな文庫
“
妾
(
わらは
)” の例文
妾
(
わらは
)
はな、近ごろ
大
(
いか
)
い苦労をしておぢやつた。それ、お前も存じよりの黒谷の加門様の妹娘のことぢやが、あの娘が気がふれてな。
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
その
翌
(
あく
)
る朝早く、父上は吾が身の行末を頼む由仰せ残されて四国へ旅立ち給ひぬとて、ひたすらに打泣く
妾
(
わらは
)
をいたはり止めつ。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
喃
(
のう
)
、瀧口殿、
葉末
(
はずゑ
)
の露とも消えずして今まで立ちつくせるも、
妾
(
わらは
)
が
赤心
(
まごゝろ
)
打明けて、許すとの御身が
一言
(
ひとこと
)
聞かんが爲め、夢と見給ふ昔ならば
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
引からげ
堪忍
(
かんにん
)
しろと
後
(
うしろ
)
から
浴
(
あび
)
せ掛たる
氷
(
こほり
)
の
刄
(
やいば
)
肩先
(
かたさき
)
深
(
ふか
)
く切込れアツとたまきる聲の下ヤア情けなや三次どの何で
妾
(
わらは
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
志
(
こころざし
)
の末通りけるか、万里の外なる蘇武が旅寝に故郷の砧きこえしとなり。
妾
(
わらは
)
も思ひ慰むと、とてもさみしきくれはとり、綾の衣を砧にうちて心慰まばやと思ひ候
謡曲と画題
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
▼ もっと見る
いかなれば
妾
(
わらは
)
は初め君を知る明なくして、空想に耽り
實世
(
じつせ
)
に
疎
(
うと
)
き、
偏僻
(
へんぺき
)
なる人とは
看做
(
みな
)
したりけん。おん身は機微を知り給へり。機微を知るものは必ず能く勝を制す。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「殿、覚えておはせ、
御身
(
おんみ
)
が命を取らむまで、
妾
(
わらは
)
は死なじ」と謂はせも果てず、はたと
首
(
かうべ
)
を
討落
(
うちおと
)
せば、
骸
(
むくろ
)
は中心を失ひて、
真逆様
(
まつさかさま
)
になりけるにぞ、
踵
(
かゝと
)
を天井に着けたりしが
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
我が同級のもつとも仲
善
(
よ
)
かりし
某姉
(
ぼうし
)
も、まだ独身であるものを、
誰某
(
なにがし
)
もまた今は学校に奉職せられしと聞くに、
妾
(
わらは
)
のみはなど心弱くも嫁入りして、かかる憂き目を受くる事かと
こわれ指環
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
北の方初めの程は兎角のおん
答
(
いら
)
へもなく打沈みておはせしが、度々の御尋ねに
漸
(
やうや
)
く面を上げ
給而
(
たまいて
)
、さん
候
(
ざふらふ
)
、
妾
(
わらは
)
が父祖の家は逆臣がために亡ぼされ、唯一人の兄さへ行衛も
不知
(
しらず
)
なり侍りしに
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
再三再四問ひたる
後
(
のち
)
に、答へて
曰
(
い
)
ふやう、
妾
(
わらは
)
は今宵この山のうしろまで行かねばならずと。何用あつて行くやと問ひければ、そこにて児を殺したる事あれば、こよひは我も共に死なむと思ひてなり。
鬼心非鬼心:(実聞)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
覺束
(
おぼつか
)
なし、
妾
(
わらは
)
夜叉神
(
やしやじん
)
に
一命
(
いちめい
)
を
奉
(
さゝ
)
げて、
桃太郎
(
も〻たらう
)
鬼桃太郎
(旧字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
アントニオよ、
妾
(
わらは
)
を殺せ、妾を殺せ、只だ妾を棄てゝな去りそと、夫人は叫べり。其
臉
(
かほ
)
、其
眸
(
まなじり
)
、其
瞻視
(
せんし
)
、其
形相
(
ぎやうさう
)
、一として情慾に非ざるもの
莫
(
な
)
く、
而
(
しか
)
も猶美しかりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
妾
(
わらは
)
が隣の
祖母様
(
ばばさま
)
は、きつい朝起きぢやが、この
三月
(
みつき
)
ヶ程は、毎朝毎朝、一番鶏も啼かぬ
間
(
あひだ
)
に
怪
(
けし
)
い鳥の啼声を空に聞くといふし、また人の噂では、
先頃
(
さきごろ
)
摂津住吉の
地震
(
なゐ
)
強く
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
眼
(
め
)
口
(
くち
)
鼻
(
はな
)
眉
(
まゆ
)
如何
(
いか
)
で見分けむ、
唯
(
たゞ
)
、丸顔の
真白
(
ましろ
)
き輪郭ぬつと
出
(
い
)
でしと覚えしまで、予が絶叫せる声は
聞
(
きこ
)
えで婦人が
言
(
ことば
)
は耳に入りぬ、「こや人に
説
(
い
)
ふ
勿
(
なか
)
れ、
妾
(
わらは
)
が
此処
(
こゝ
)
にあることを」
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
五月雨
(
さみだれ
)
の生暖かき夜なんどは彼方の峯、
此方
(
こなた
)
の
山峡
(
やまかひ
)
より人魂の尾を引きて
此
(
この
)
寺の方へ漂ひ寄り来るを物ともせぬ
強気者
(
したゝかもの
)
に候ひしが、
妾
(
わらは
)
を見てしより如何様にか思ひ定めけむ。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
隱
(
かく
)
され給ふ
由
(
よし
)
然樣
(
さやう
)
にては
跡々
(
あと/\
)
の
仕樣
(
しやう
)
も御座なく
母樣
(
はゝさま
)
御一人にてお
困
(
こま
)
り成るゝは申迄もなく元は
妾
(
わらは
)
姉妹
(
はらから
)
二人を斯樣に
御育下
(
おそだてくだ
)
され候よりお
物入
(
ものいり
)
多く夫ゆゑ御難儀にも相成し事なれば
數
(
かず
)
ならねども私しを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
ああ
妾
(
わらは
)
と共に
憐
(
あわ
)
れなる指環よと、不覚の涙に暮るる事もあるのです。
こわれ指環
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
妾
(
わらは
)
こそは中宮の曹司横笛と申すもの、
隨意
(
まゝ
)
ならぬ世の義理に隔てられ、世にも厚き
御情
(
おんなさけ
)
に心にもなき
情
(
つれ
)
なき事の
數々
(
かず/\
)
、只今の御身の上と聞き
侍
(
はべ
)
りては、悲しさ
苦
(
くる
)
しさ、
女子
(
をなご
)
の狹き胸一つには納め得ず
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
いかに申し解き侍らんか。おん身は
妾
(
わらは
)
が心を解き誤り給ひしにはあらずやと思はれ侍りといふ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
われ胸を轟かしつゝ、今宵の婿がね、此の片面鬼三郎なりし事、兼ねてより御承知なりしやと尋ねしに、奈美殿、涙ながらに頭を打振り給ひて、否とよ。何事も
妾
(
わらは
)
は承り侍らず。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
云
掛
(
かけ
)
しかども心に染まねば強面くも
返事
(
へんじ
)
も
爲
(
なさ
)
ざりしに
不※
(
ふと
)
した事より
恥
(
はづ
)
かしながら友次郎樣と互に思ひ思はれて終に割なき中と
成
(
なり
)
しを吾助は
疾
(
とく
)
に
知
(
しり
)
しと
覺
(
おぼ
)
しく是を
口惜
(
くちをし
)
き事に思ひけん
妾
(
わらは
)
一日友次郎樣を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
菊枝
妾
(
わらは
)
一人が此処にかえ?
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
“妾”の解説
妾(めかけ、しょう)とは、婚姻した男性が、妻以外にも囲う女性のことで、経済的援助を伴う愛人を指す。
(出典:Wikipedia)
妾
漢検準1級
部首:⼥
8画
“妾”を含む語句
外妾
愛妾
洋妾
妾腹
寵妾
妾宅
妻妾
男妾
妾達
婢妾
妾狂
侍妾
蓄妾
御妾腹
妓妾
妾等
嬖妾
嬪妾
世間妾形気
側妾
...