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憚
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はゞ
ふりがな文庫
“
憚
(
はゞ
)” の例文
今日は御葬り下され御
回向
(
ゑかう
)
に
預
(
あづか
)
りしことの有難く御
蔭
(
かげ
)
にて
未來
(
みらい
)
を助かりますにより
憚
(
はゞ
)
かりながら是より其
報恩
(
はうおん
)
に御前樣の
蔭身
(
かげみ
)
に添て何卒御
立身出世
(
りつしんしゆつせ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「同志も世間を
憚
(
はゞ
)
かつて來ず、一人ではあの床板を破つて、見張りの浪人を押へ、鐵三郎樣を救ひ出す工夫がなかつたのだ、それでは頼むぞ、平次殿」
銭形平次捕物控:080 捕物仁義
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
女房たちは
勿論
(
もちろん
)
それに気が付いていたのであるが、今の場合北の方に
憚
(
はゞ
)
かって、此の
優男
(
やさおとこ
)
の噂をするのを差控えながら、心の中では左大臣と比較して
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
代助はぼんやり
壁
(
かべ
)
を見詰めてゐた。
門野
(
かどの
)
をもう一返
呼
(
よ
)
んで、三千代が又くる時間を、云ひ置いて行つたか
何
(
ど
)
うか尋ねやうと思つたが、あまり愚だから
憚
(
はゞ
)
かつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
飯「黙れ孝助、主人の前も
憚
(
はゞ
)
からず
大声
(
おおごえ
)
を発して
怪
(
け
)
しからぬ奴、覚えがなければ
何
(
ど
)
うして胴巻が貴様の文庫の
中
(
うち
)
に有ったか、それを申せ、何うして胴巻があった」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
よし
一時
(
いちじ
)
は
陸奧
(
みちのく
)
の
名取川
(
なとりがは
)
、
清
(
きよ
)
からぬ
名
(
な
)
を
流
(
なが
)
しても
宜
(
よ
)
し、
憚
(
はゞ
)
かりの
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
打割
(
うちわ
)
りて
見
(
み
)
れば、
天縁
(
てんえん
)
我
(
わ
)
れに
有
(
あ
)
つて
此處
(
こヽ
)
に
運
(
はこ
)
びしかも
知
(
し
)
れず、
今
(
いま
)
こそ
一寒
(
いつかん
)
書生
(
しよせい
)
の
名
(
な
)
もなけれど
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
手紙の
記
(
しる
)
す所を見るに、壽阿彌が火事に
遭
(
あ
)
つて丸燒になつた時、水戸家は十分の
保護
(
はうご
)
を加へたらしい。それゆゑ壽阿彌は再び火事に遭つて、重ねて救を水戸家に仰ぐことを
憚
(
はゞ
)
かつたのである。
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
手
(
て
)
ん
手
(
で
)
に
活
(
い
)
きて
来
(
き
)
たやうに
思
(
おも
)
はれて、
一寸
(
ちよいと
)
触
(
さは
)
るのも
憚
(
はゞ
)
かられる。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
元は水茶屋に奉公してゐたお靜ですが、さすがに夫の留守に、子分の酒の
酌
(
しやく
)
までしてやるのを
憚
(
はゞ
)
かつたのでせう。
銭形平次捕物控:083 鉄砲汁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
存
(
なが
)
らへ御
尤
(
とが
)
めの身分を
憚
(
はゞ
)
からず
押
(
おし
)
て此段御屋形樣へ
言上
(
ごんじやう
)
仕り候此儀御用ひなき時は是非に及ばず私し儀は
含状
(
ふくみじやう
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「
可
(
い
)
でせう、ね」と代助に謝罪する様に云つて、すぐ又立つて
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
へ
行
(
い
)
つた。さうして、
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
を
憚
(
はゞ
)
かる様に、記念の指環をそこ/\に用簟笥に仕舞つて
元
(
もと
)
の坐に戻つた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
素人
(
しろうと
)
にして
捨
(
す
)
てゝ
置
(
お
)
くは
惜
(
を
)
しい
物
(
もの
)
の
中
(
なか
)
に
加
(
くわ
)
へぬ、さりとてお
寺
(
てら
)
の
娘
(
むすめ
)
に
左
(
ひだ
)
り
褄
(
づま
)
、お
釋迦
(
しやか
)
が
三味
(
しやみ
)
ひく
世
(
よ
)
は
知
(
し
)
らず
人
(
ひと
)
の
聞
(
きこ
)
え
少
(
すこ
)
しは
憚
(
はゞ
)
かられて、
田町
(
たまち
)
の
通
(
とほ
)
りに
葉茶屋
(
はぢやゝ
)
の
店
(
みせ
)
を
奇麗
(
きれい
)
にしつらへ
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
何んとかの守にならうとした八十郎の野心の
逞
(
たく
)
ましさや、繼子の孝行を吹聽し乍ら、
憚
(
はゞ
)
かり恐るゝ色もないお禮の無反省が、平次の心持をフト暗くしてしまひます。
銭形平次捕物控:216 邪恋の償ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
午
(
ひる
)
には、
宜道
(
ぎだう
)
から
話
(
はなし
)
のあつた
居士
(
こじ
)
に
會
(
あ
)
つた。
此
(
この
)
居士
(
こじ
)
は
茶碗
(
ちやわん
)
を
出
(
だ
)
して、
宜道
(
ぎだう
)
に
飯
(
めし
)
を
盛
(
よそ
)
つて
貰
(
もら
)
ふとき、
憚
(
はゞ
)
かり
樣
(
さま
)
とも
何
(
なん
)
とも
云
(
い
)
はずに、たゞ
合掌
(
がつしやう
)
して
禮
(
れい
)
を
述
(
の
)
べたり、
相圖
(
あひづ
)
をしたりした。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
奧
(
おく
)
さまとろ/\としてお
目覺
(
めさむ
)
れば、
枕
(
まくら
)
もとの
縁
(
ゑん
)
がはに
男女
(
なんによ
)
の
話
(
はな
)
し
聲
(
こゑ
)
さのみ
憚
(
はゞ
)
かる
景色
(
けしき
)
も
無
(
な
)
く、
此宿
(
こゝ
)
の
旦的
(
だんつく
)
の、
奧洲
(
おくしう
)
のと、
車宿
(
くるまやど
)
の二
階
(
かい
)
で
言
(
い
)
ふやうなるは、
奧
(
おく
)
さま
此處
(
こゝ
)
にと
夢
(
ゆめ
)
にも
人
(
ひと
)
は
思
(
おも
)
はぬなるべし。
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
も
憚
(
はゞ
)
からず推參仕り候
趣
(
おもむ
)
き若年の私承たまはらん事覺束なく存じ此段言上仕り候と申上らる中納言綱條卿
聞
(
きこ
)
し
召
(
めし
)
深く驚かせ給ひ天下の一大事
出來
(
しゆつらい
)
とは何事ならん夫は
容易
(
ようい
)
ならざる事なるべし越前を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
お絹は
詮方
(
せんかた
)
もない姿でさう言ふのでした。それは恐らく掛引のない言葉でせう。お絹の大きい眼が何んの
憚
(
はゞ
)
かる色もなく信頼しきつた樣子で、平次を見入るのです。
銭形平次捕物控:269 小判の瓶
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
其晩
(
そのばん
)
彼
(
かれ
)
は
宗助
(
そうすけ
)
と一
時間
(
じかん
)
餘
(
あま
)
りも
雜談
(
ざつだん
)
に
耽
(
ふけ
)
つた。
彼
(
かれ
)
の
重々
(
おも/\
)
しい
口
(
くち
)
の
利
(
き
)
き
方
(
かた
)
、
自分
(
じぶん
)
を
憚
(
はゞ
)
かつて、
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
れない
樣
(
やう
)
な
話
(
はなし
)
の
調子
(
てうし
)
、「
然
(
しか
)
るに」と
云
(
い
)
ふ
口癖
(
くちくせ
)
、
凡
(
すべ
)
て
平生
(
へいぜい
)
の
彼
(
かれ
)
と
異
(
こと
)
なる
點
(
てん
)
はなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
よし
有
(
あ
)
りたりとも
再縁
(
さいゑん
)
する
人
(
ひと
)
さへ
世
(
よ
)
には
多
(
おほ
)
し、
何處
(
どこ
)
へ
憚
(
はゞ
)
かりのある
事
(
こと
)
ならねばとて
説諭
(
せつゆ
)
せしに、お
園
(
その
)
にこやかに
笑
(
わら
)
ひて
口先
(
くちさき
)
の
約束
(
やくそく
)
は
解
(
と
)
くにとかれもせん、
眞
(
まこと
)
の
愛
(
あい
)
なき
契
(
ちぎ
)
りは
捨
(
す
)
てヽ
再縁
(
さいゑん
)
する
人
(
ひと
)
も
有
(
ある
)
べし
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
純情家の八五郎は、まだそれを考へて居たのですが、さすがに
憚
(
はゞ
)
かつて、これ以上の事は言へません。
銭形平次捕物控:082 お局お六
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼
(
かれ
)
は
先
(
ま
)
づ
何気
(
なにげ
)
なく
懐中物
(
くわいちうもの
)
を
胸
(
むね
)
の
所
(
ところ
)
で
開
(
あ
)
けて、
中
(
なか
)
にある紙幣を、勘定もせずに
攫
(
つか
)
んで、
是
(
これ
)
を
上
(
あ
)
げるから
御使
(
おつかひ
)
なさいと無雑作に三千代の
前
(
まへ
)
へ
出
(
だ
)
した。三千代は、下女を
憚
(
はゞ
)
かる様な低い声で
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
さすがに本妻の里江と同じ屋根の下に入るのを
憚
(
はゞ
)
かつたか、自ら進んで渾天儀の番人になり度いと言ひ出し、
離室
(
はなれ
)
の塔の二階を整理させて、此處に住むことになつたのです。
銭形平次捕物控:259 軍学者の妾
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
翌日
(
よくじつ
)
眼
(
め
)
が
覺
(
さ
)
めて
役所
(
やくしよ
)
の
生活
(
せいくわつ
)
が
始
(
はじ
)
まると、
宗助
(
そうすけ
)
はもう
小六
(
ころく
)
の
事
(
こと
)
を
考
(
かんが
)
へる
暇
(
ひま
)
を
有
(
も
)
たなかつた。
家
(
うち
)
へ
歸
(
かへ
)
つて、のつそりしてゐる
時
(
とき
)
ですら、
此
(
この
)
問題
(
もんだい
)
を
確的
(
はつきり
)
眼
(
め
)
の
前
(
まへ
)
に
描
(
ゑが
)
いて
明
(
あき
)
らかにそれを
眺
(
なが
)
める
事
(
こと
)
を
憚
(
はゞ
)
かつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
誰に
憚
(
はゞ
)
かることがあるものか、お前はお豊さんと一緒になるが宜い。
榎
(
えのき
)
長者の跡を取つたら、その代り、この金を生かして費へ、——ウ、フ、こいつはつまらねえ意見だ、貧乏人はこんな事を
銭形平次捕物控:249 富士見の塔
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
四方
(
あたり
)
を
憚
(
はゞ
)
かるやうな調子で、靜かに格子を叩く者があるのです。
銭形平次捕物控:178 水垢離
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「主人の重三郎が死んでしまつた上は、支配人の總兵衞さへ居なきや、お豐は勝手に振舞へるわけでせう。妹のお新は十八の小娘だし、あとは下男のモモンガアーの茂吉たつた一人。誰に
憚
(
はゞ
)
かる者もありやしません」
銭形平次捕物控:197 罠に落ちた女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
憚
漢検1級
部首:⼼
15画
“憚”を含む語句
忌憚
乍憚
人憚
誰憚
憚様
不憚
口憚
御忌憚
憚樣
畏憚
行憚
過而勿憚改