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向
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こう
ふりがな文庫
“
向
(
こう
)” の例文
そう
言
(
い
)
ってお
爺
(
じい
)
さんは一
向
(
こう
)
に
取済
(
とりす
)
ましたものでしたが、
私
(
わたくし
)
としては、それでは
何
(
なに
)
やら
少
(
すこ
)
し
心細
(
こころぼそ
)
いように
感
(
かん
)
じられてならないのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
武蔵は、三名のなかへ割って入ると、
真
(
ま
)
っ
向
(
こう
)
の者を、大刀で一
颯
(
さつ
)
の下に断ち伏せ、左側の男を、左手で抜いた脇差で、横に
薙
(
な
)
いだ。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
標題楽嫌いを
真
(
ま
)
っ
向
(
こう
)
に振りかざしたルービンシュタインですら、リストの編曲の珠玉篇には帽子を脱いでいるのは興味の深いことである。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
いかにも先方は恐れ入ったように聞こゆるけれども、さて先方に
質
(
ただ
)
してみると、一
向
(
こう
)
やられたともなんとも
歯牙
(
しが
)
にかけないでおることがある。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
けれども人形は一
向
(
こう
)
鳴
(
な
)
きませんでした。さあ甚兵衛は
弱
(
よわ
)
ってしまいました。でも一
度
(
ど
)
いいだしたことですから、
今
(
いま
)
さら
取消
(
とりけ
)
すわけにはゆきません。
人形使い
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
▼ もっと見る
受けず払わず横へそれず、猛然とした広太郎、
真
(
ま
)
っ
向
(
こう
)
手一杯に打ち込んだ。すなわち長短一味の太刀、三尺の剣はこの瞬間、九尺
柄
(
え
)
の
槍
(
やり
)
と一変する。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
何
(
なに
)
が
何
(
なに
)
やら、一
向
(
こう
)
見当
(
けんとう
)
が
付
(
つ
)
かなくなった
藤吉
(
とうきち
)
は、
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
に
取
(
と
)
って
返
(
かえ
)
すと、
箪笥
(
たんす
)
をがたぴしいわせながら、
春信
(
はるのぶ
)
が
好
(
この
)
みの
鶯茶
(
うぐいすちゃ
)
の
羽織
(
はおり
)
を、
捧
(
ささ
)
げるようにして
戻
(
もど
)
って
来
(
き
)
た。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
いくらあッしが掛け合いにいっても、打つ、殴る、蹴るの散々な目に会わせるだけで、一
向
(
こう
)
埓
(
らち
)
が明かねえんでごぜえますよ。いいえ、命はね、決して惜しくねえんです。
旗本退屈男:09 第九話 江戸に帰った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「まあ、わたしに言わせると、尊攘ということを今だにまっ
向
(
こう
)
から振りかざしているのは、水戸ばかりじゃないでしょうか。そこがあの人たちの実に正直なところでもありますがね。」
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
然
(
しか
)
し、三四年前に半年あまり一
緒
(
しよ
)
に
萩
(
はぎ
)
原
淳
(
じゆん
)
七
段
(
だん
)
の高弟(?)となつて
大
(
おほ
)
いに切
磋
(
さ
)
琢磨
(
たくま
)
したのだが、二人とも一
向
(
こう
)
棋
(
き
)
力が
進
(
しん
)
歩しない所まで
似
(
に
)
てゐるのだから、
聊
(
いさゝ
)
か
好敵
(
こうてき
)
手
過
(
す
)
ぎる
嫌
(
きら
)
ひもある。
下手の横好き:―将棋いろいろ―
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
そうして支那人の
後
(
うしろ
)
にまわると、腰の日本刀を抜き放した。その時また村の方から、勇しい
馬蹄
(
ばてい
)
の響と共に、三人の将校が近づいて来た。騎兵はそれに
頓着
(
とんちゃく
)
せず、まっ
向
(
こう
)
に
刀
(
とう
)
を振り上げた。
将軍
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「何あに、一
向
(
こう
)
」
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「くそッ——」とばかり、十手を
真
(
ま
)
っ
向
(
こう
)
に飛びかかッてゆくと、周馬はまたも五、六歩逃げて、キラリと
前差
(
まえざし
)
の
小太刀
(
こだち
)
を抜いた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
現在
(
げんざい
)
の
私
(
わたくし
)
とて、まだまだ一
向
(
こう
)
駄眼
(
だめ
)
でございますが、
帰幽当座
(
きゆうとうざ
)
の
私
(
わたくし
)
などはまるで
醜
(
みに
)
くい
執着
(
しゅうじゃく
)
の
凝塊
(
かたまり
)
、
只今
(
ただいま
)
想
(
おも
)
い
出
(
だ
)
しても
顔
(
かお
)
が
赭
(
あか
)
らんで
了
(
しま
)
います……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
藤吉
(
とうきち
)
にも、
何
(
な
)
んで
師匠
(
ししょう
)
が
堺屋
(
さかいや
)
を
待
(
ま
)
たせるのか、一
向
(
こう
)
合点
(
がってん
)
がいかなかったが、
張
(
は
)
り
詰
(
つ
)
めていた
気持
(
きもち
)
が
急
(
きゅう
)
に
緩
(
ゆる
)
んだように、しょんぼりと
池
(
いけ
)
を
見詰
(
みつ
)
めて
立
(
た
)
っている
後姿
(
うしろすがた
)
を
見
(
み
)
ると
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
真
(
ま
)
っ
向
(
こう
)
上段に振りかぶり、さらにある者は破壊用の、巨大な槌を斜めに構え、「たかが三ピンただ一人、こいつさえ退治たらこっちのもの、ヤレヤレヤレ! ワッワッワッ」
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「はあ、一
向
(
こう
)
」
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
一
向
(
こう
)
見当がついて来ないので、日本左衛門も手を下しようがなく、夜光の短刀の手懸りと共に、あれ以来の日は空しく過ぎておりました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
三十
年
(
ねん
)
と
申
(
もう
)
すと
現世
(
げんせ
)
ではなかなか
長
(
なが
)
い
歳月
(
つきひ
)
でございますが、こちらでは
時
(
とき
)
を
量
(
はか
)
る
標準
(
めあて
)
が
無
(
な
)
い
故
(
せい
)
か、一
向
(
こう
)
それほどにも
感
(
かん
)
じないのでございまして……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
返事
(
へんじ
)
は
如何
(
いか
)
にも
調子
(
ちょうし
)
がよかったが、
肝腎
(
かんじん
)
の
駕籠
(
かご
)
は、一
向
(
こう
)
突
(
つ
)
ッ
走
(
ぱし
)
ってはくれなかった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
真っ二つにされた筈でございます。ワッ、やられた! と叫びながら、足もとを見ると妹のお霜が、
真
(
ま
)
っ
向
(
こう
)
から胸板まで、切り割られて仆れておりました。身代りになったのでございます。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
いつもこそこそと拙者をつけ
狙
(
ねろ
)
うておるくせに、なぜ今ここへ
真
(
ま
)
っ
向
(
こう
)
に躍り立って、いさぎよく弦之丞へ名乗りかけぬか。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
此方
(
こなた
)
花村甚五衛門は一党の軍勢を引き連れて燃える
松火
(
たいまつ
)
に路を照らし山の中腹を伝って行く。軍令厳しく兵誇らず、初冬の夜風を
真
(
ま
)
っ
向
(
こう
)
に受けて、一列縦隊ただ
粛々
(
しゅくしゅく
)
と南へ南へと進むのである。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その、無法な
胆気
(
たんき
)
と、国光の
五
(
ぐ
)
の
目
(
め
)
乱
(
みだ
)
れにおびやかされて、周馬は少し気を乱しながら、
真
(
ま
)
ッ
向
(
こう
)
兵字構
(
ひょうじがま
)
えに直って、寄らば——と
眼
(
まなこ
)
をいからせた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
軍令、政令、すべてはここからという形をととのえ、後醍醐の大本営叡山と、その対峙を
真
(
ま
)
ッ
向
(
こう
)
にしたものだった。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「こう
真
(
ま
)
ッ
向
(
こう
)
の先陣は、
公綱
(
きんつな
)
が受け持った。千早一番乗りは公綱がつかまつれば、この手はおまかせねがいたい」
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と書いて
棄権
(
きけん
)
しても一
向
(
こう
)
差支
(
さしつか
)
えないのですが、
後
(
あと
)
になって、当然知っていながら逃げたと分ると、これまた下手人同罪をまぬかれない破滅を求めるので
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
真
(
ま
)
っ
向
(
こう
)
、利害も理想も、武士大衆とは、根本からちがっていたのだ。——得意絶頂にある朝廷方は期している。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ですが、彼等にしてみれば、この小仏の日ごとに往復している帳場なので、難路も一
向
(
こう
)
難路ではありますまい。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
とさけびながら
佐分利
(
さぶり
)
五郎次、
三日月
(
みかづき
)
のごとき大刀をまっ
向
(
こう
)
にかざして、
加賀見忍剣
(
かがみにんけん
)
の
脳天
(
のうてん
)
へ斬りさげてくる。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
柄
(
つか
)
に
満
(
まん
)
を持していた弦之丞の
片肘
(
かたひじ
)
、ピクリッと脈を打ったかのごとく動いて、
真
(
ま
)
っ
向
(
こう
)
に躍ってきた影をすくうかとみれば、バッ——と
鞘
(
さや
)
を脱した
離弦
(
りげん
)
の
太刀
(
たち
)
!
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
奥州
(
みちのく
)
に武者も多いが、そちは
真
(
ま
)
っ
向
(
こう
)
二心を持たぬ奥州ざむらい。そう見込んだがゆえ、いいつけたのだが」
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
敵のいる陣ノ腰から名島の方を望むたびに、その
真
(
ま
)
っ
向
(
こう
)
から吹きなぐッて来る北風が、かぶとの
鉢金
(
はちがね
)
やよろい金具に
砂音
(
すなおと
)
をたて、皮膚の出ている部分は痛いほどだった。
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
弾
(
たま
)
は
兜
(
かぶと
)
の鉢の真ッ
向
(
こう
)
に
中
(
あた
)
ったので、倒れたのは、一時眼が
昏
(
くら
)
んだだけに過ぎなかったのだ。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
とたんに、若者の
拳
(
こぶし
)
が、
唸
(
うな
)
りをもって、真ッ
向
(
こう
)
へ来たので、宋江は無意識に身をかわした。「……うぬ」と、突ンのめった巨体から、こんどはほんものの怒りが燃えたらしい。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
十手よりやや長めなハチワリを持って、
真
(
ま
)
っ
向
(
こう
)
から、かれの小手を叩き伏せようとした。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここまでいうと、龐統はもう
真
(
ま
)
っ
向
(
こう
)
に孔明の説に反対を唱える者になっていた。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なんのことはない、この四人だけは、真っ
向
(
こう
)
に、神殿へ向って
楯
(
たて
)
を突きに来たような歩き方だ。だが、上までのぼりきると、拝殿のほうには一
瞥
(
べつ
)
も与えないで、
額
(
ひたい
)
の汗を押し
拭
(
ぬぐ
)
っている。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこを
真
(
ま
)
っ
向
(
こう
)
胸落
(
むなおと
)
し! 切ッ
尖
(
さき
)
はなお余って、
膝行袴
(
たっつけ
)
の前まで裂いた。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
深重
(
しんちょう
)
な策をめぐらすでもなく、全軍数千にもたりない小勢で、それも一角へ当たるというようなこころみでなく、まっ
向
(
こう
)
、敵の師直のふところ深い本陣へむかって猛然斬り込んで行ったのだった。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大勘は道中差を抜いて、かれの
真
(
ま
)
っ
向
(
こう
)
を待ちかまえた。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
図星をさして
真
(
ま
)
っ
向
(
こう
)
から
対手
(
あいて
)
の
胆
(
きも
)
を
挫
(
くじ
)
きにかかった。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
師直は、声をころし、眉の真ッ
向
(
こう
)
で弟を叱った。
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、感づいて、ふり
顧
(
かえ
)
った彼の
真
(
ま
)
っ
向
(
こう
)
!
増長天王
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いや、
真
(
ま
)
っ
向
(
こう
)
、腹を申しおりまする」
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「一
向
(
こう
)
に存ぜぬが」
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“向”の解説
向(しょう、こう)は、漢姓のひとつ。
同じ漢字を使う日本の姓向(むかい、むかえ、むこう)についてもこの記事で述べる。
琉球王国の向氏については、第二尚氏を参照。
(出典:Wikipedia)
向
常用漢字
小3
部首:⼝
6画
“向”を含む語句
仰向
真向
斜向
上向
一向
手向
日向
俯向
眞向
向合
向側
差向
向山
向後
方向
背向
趣向
筋向
対向
川向
...