トップ
>
紅
>
こう
ふりがな文庫
“
紅
(
こう
)” の例文
襖
(
ふすま
)
が
静
(
しずか
)
に開いて現われたのが梅子である。紳士の顔も梅子の顔も
一時
(
いちじ
)
にさっと
紅
(
こう
)
をさした。梅子はわずかに会釈して内に入った。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
决
(
けつ
)
して
愚
(
おろか
)
なる
船長
(
せんちやう
)
の
言
(
い
)
ふが
如
(
ごと
)
き、
怨靈
(
おんれう
)
とか
海
(
うみ
)
の
怪物
(
ばけもの
)
とかいふ
樣
(
やう
)
な
世
(
よ
)
に
在
(
あ
)
り
得可
(
うべ
)
からざる
者
(
もの
)
の
光
(
ひかり
)
ではなく、
緑
(
りよく
)
、
紅
(
こう
)
の
兩燈
(
りようとう
)
は
確
(
たしか
)
に
船
(
ふね
)
の
舷燈
(
げんとう
)
で
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
ほか、歴戦の
猛者
(
もさ
)
が、幾十隊の部将となってくりだしたが、中には
紅
(
こう
)
一点の
女頭領
(
おんなとうりょう
)
、一丈青の
扈三娘
(
こさんじょう
)
も、こんどは一軍をひきいて行った。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
赤松の間に二三段の
紅
(
こう
)
を綴った
紅葉
(
こうよう
)
は
昔
(
むか
)
しの夢のごとく散ってつくばいに近く代る代る
花弁
(
はなびら
)
をこぼした
紅白
(
こうはく
)
の
山茶花
(
さざんか
)
も残りなく落ち尽した。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「日本語なんか僕知らないや、百がサルで
日
(
にち
)
がスベで、
紅
(
こう
)
がリだろ。英語では百日ってハンドレッド・デイっていうよ」
人造人間
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
▼ もっと見る
小獅子は
路
(
みち
)
へ橋に
反
(
そ
)
った、のけ
様
(
ざま
)
の
頤
(
あぎと
)
ふっくりと、
二
(
ふた
)
かわ
目
(
め
)
に
紅
(
こう
)
を
潮
(
ちょう
)
して、
口許
(
くちもと
)
の
可愛
(
かわい
)
らしい、色の白い
児
(
こ
)
であった。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
食堂は二十間に八間の長方形にて周囲は
紅葉流
(
もみじなが
)
しの
幔幕
(
まんまく
)
を張詰め、天井には牡丹形の
紅
(
こう
)
黄
(
おう
)
白色
(
はくしょく
)
常盤
(
ときわ
)
の緑を
点綴
(
てんてつ
)
す。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
つまり
茶話
(
ちやわ
)
会などの時に歌ふのもあつていいですね。何とか
謂
(
い
)
つた。
佐竹義敦
(
さたけよしあつ
)
、
小田野直武
(
をだのなほたけ
)
は日本洋画の
紅
(
こう
)
二点、といつた調子ですね。デカンシヨ式でも好し。
島木赤彦臨終記
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
文一郎が答はいまだ
半
(
なかば
)
ならざるに、女は
満臉
(
まんけん
)
に
紅
(
こう
)
を
潮
(
ちょう
)
して、
偏盲
(
へんもう
)
のために義眼を装っていることを告げた。そして涙を流しつつ、旧盟を破らずにいてくれと頼んだ。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
と見れば常さえ
艶
(
つや
)
やかな緑の黒髪は、
水気
(
すいき
)
を含んで
天鵞絨
(
びろうど
)
をも欺むくばかり、玉と透徹る
肌
(
はだえ
)
は塩引の色を帯びて、眼元にはホンノリと
紅
(
こう
)
を
潮
(
ちょう
)
した
塩梅
(
あんばい
)
、何処やらが
悪戯
(
いたずら
)
らしく見えるが
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
月光に照らされ
紅
(
こう
)
斑々! 心配はない、返り血だ! 中段に構えて動かない。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
後ろから追ひすがつたのは、泣き顏が痛々しく匂ふお
紅
(
こう
)
でした。
銭形平次捕物控:274 贋金
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
さればその頃初めて十九になったとやらいう小半の姿は
正
(
まさ
)
に
万緑叢中
(
ばんりょくそうちゅう
)
の
紅
(
こう
)
一点あまり引立ち過ぎて何となく気の毒にも見えまた問わずしてこの女がヨウさんの御世話になっているものと推量されるのであった。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
こなた勇武のアイアース
紅
(
こう
)
燦爛の帶贈る。 305
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
白牡丹
(
はくぼたん
)
といふといへども
紅
(
こう
)
ほのか
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
「
宵
(
よべ
)
見し夢の——夢の中なる響の名残か」と女の顔には
忽
(
たちま
)
ち
紅
(
こう
)
落ちて、冠の星はきらきらと震う。男も何事か心
躁
(
さわ
)
ぐ様にて、ゆうべ見しという夢を、女に物語らする。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
天
(
てん
)
未
(
いまだ
)
に
闇
(
くら
)
し。
東方
(
とうはう
)
臥龍山
(
ぐわりうざん
)
の
巓
(
いたゞき
)
少
(
すこ
)
しく
白
(
しら
)
みて、
旭日
(
きよくじつ
)
一帶
(
いつたい
)
の
紅
(
こう
)
を
潮
(
てう
)
せり。
昧爽
(
まいさう
)
氣
(
き
)
清
(
きよ
)
く、
神
(
しん
)
澄
(
す
)
みて、
街衢
(
がいく
)
縱横
(
じうわう
)
の
地平線
(
ちへいせん
)
、
皆
(
みな
)
眼眸
(
がんぼう
)
の
裡
(
うち
)
にあり。
然
(
しか
)
して
國主
(
こくしゆ
)
が
掌中
(
しやうちう
)
の
民
(
たみ
)
十萬
(
じふまん
)
、
今
(
いま
)
はた
何
(
なに
)
をなしつゝあるか。
鉄槌の音
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「お
紅
(
こう
)
と言つて、評判の良い娘がありますよ、十九ださうで」
銭形平次捕物控:274 贋金
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ただ詩人と
画客
(
がかく
)
なるものあって、
飽
(
あ
)
くまでこの
待対
(
たいたい
)
世界の精華を
嚼
(
か
)
んで、
徹骨徹髄
(
てっこつてつずい
)
の清きを知る。
霞
(
かすみ
)
を
餐
(
さん
)
し、露を
嚥
(
の
)
み、
紫
(
し
)
を
品
(
ひん
)
し、
紅
(
こう
)
を
評
(
ひょう
)
して、死に至って悔いぬ。彼らの楽は物に
着
(
ちゃく
)
するのではない。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
人事
(
ひとごと
)
ながら、主税は白面に
紅
(
こう
)
を潮して
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
紅
常用漢字
小6
部首:⽷
9画
“紅”を含む語句
紅玉
淡紅
淡紅色
紅潮
紅色
紅葉
真紅
薄紅
口紅
微紅
爪紅
雁来紅
紅毛
頬紅
紅提灯
紅羅
紅絹
紅殻
紅々
鮮紅
...