こう)” の例文
もう宿の善悪よしあしえらぶにいとまなく、ただ泊めて呉れさえすれば宜しいとうので無暗むやみ歩行あるいて、どうこうか二晩とまって三日目に小倉に着きました。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
案内者はこう云って、仲に立った者が此レールを請負うけおって、一間ばかりの橋一つにも五十円の、枕木一本が幾円のと、不当なもうけをした事を話す。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
悪気でするではなし、私のことばたてれても女のすたるでもあるまい、こうしましょ、これからあの正直律義りちぎは口つきにも聞ゆる亀屋かめやの亭主に御前を預けて
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
計略をきこう(大)併し是だけで外に疑いは有ませんか(荻)フム無い唯だ今いッたミステリイとかの一点より外に疑わしい所は無い(大)それなら申ますがこうう次第です
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
お糸さんがおかんを直しにったひまに、ここ一寸ちょっと国元の事情を吹聴ふいちょうして置く。甞て私が学校を除籍せられた時、父が学資の仕送りを絶ったのは、こうもしたら或は帰って来るかと思ったからだ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
如何でしょう、僕と貴様とこうやって話をするのも何かの運命です、あやしい運命ですから、不思議な縁ですから一つ僕の秘密の杯を受けて下さいませんか、え、如何でしょう、受けて下さいませんか。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
どうも私幼少から読本よみほんを好きましたゆえか、こういう話を致しますると図に乗っておかしな調子になるそうで
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
引込むなど左様な大胆な事は出来ませんサア既にこうまで手配てくばりが附て居れば旦那が外から戸を叩く
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
「私はかないに不幸な者でして……こう申上げると最早もう御分かりになりましょうが」
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
所持して居る者に目を附けるとア云う様な具合で其目の附所つけどころは当人の才不才と云う者君は日頃から仏国ふらんすの探偵が何うだの英国いぎりすの理学はこうだのと洋書を独りで読んだ様な理屈を
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
一体は亀屋の亭主に御前の身の上あらましききて、失礼ながら愍然かわいそうな事や、わたしが神か仏ならば、こうもしてあげたいああもしてやりたいと思いましたが、それも出来ねばせめては心計こころばかり
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
うだ君、こうして集めたのが本統の事実だぜし探偵と分る様な風をして来て見たまえ
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
機会しおに「ほんに吾々は恐しい人じゃありません、こうして来たのも捕縛など云う恐るき目的では無いのです」是だけ聞きて倉子は少し安心の色を現すかと思いしに少しもること無く
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
貧苦の恐れと女房の嘆きに心までくらんで仕舞いうやらこうやら伯父を殺して其身代を取る気に成たのです藻西のほかには誰も其老人を殺して利益を得る者は一人も無いと云うたでは有りませんか
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)