こう)” の例文
湯はふねの四方にあぶれおつ、こゝをもつて此ぬるからずあつからず、天こうくわつくる時なければ人作じんさくの湯もつくなし、見るにも清潔せいけつなる事いふべからず。
第十二 学者雪ニヨリテ理学ノ諸支ヲ悟り詞人画工ニ至ルマデ詩賦しふこうヲ添ヘ山川ノ美景ヲセシム
(新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
石垣の修築は、幕府の干渉がやかましいものだが、阿波守は、わずかな河川の修復を口実にして大胆にこのこうを起こした。しかもそれは大がかりな城廓の手入れらしい。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
近来日本人は土木のこうを起すごとにつとめて欧米各国の建築を模倣せんとしているが、私の目にはいまだ一ツとして寺観の屋根を仰ぐが如き雄大なる美感を起させたものはない。
宗室そうしつくわいして、長夜ちやうやえんるにあたりては、金瓶きんべい銀榼ぎんかふ百餘ひやくよつらね、瑪瑙めなう酒盞しゆさん水晶すゐしやうはち瑠璃るりわん琥珀こはくさら、いづれもこうなる中國ちうごくいまかつてこれあらず、みな西域せいゐきよりもたらところ
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
是等の動詞の用法は海彼岸の文学の字眼じがんから学んだのではないであらうか? 字眼とは一字のこうの為に一句を穎異えいいならしめるものである。例へば下に引用する岑参しんしんの一聯にちようするがよい。
芭蕉雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
湯はふねの四方にあぶれおつ、こゝをもつて此ぬるからずあつからず、天こうくわつくる時なければ人作じんさくの湯もつくなし、見るにも清潔せいけつなる事いふべからず。