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困
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こう
ふりがな文庫
“
困
(
こう
)” の例文
山家
(
やまが
)
あたりに
住
(
す
)
むものが、
邸中
(
やしきぢう
)
、
座敷
(
ざしき
)
まで
大
(
おほき
)
な
茸
(
きのこ
)
が
幾
(
いく
)
つともなく
出
(
で
)
て
祟
(
たゝ
)
るのに
困
(
こう
)
じて、
大峰
(
おほみね
)
葛城
(
かつらぎ
)
を
渡
(
わた
)
つた
知音
(
ちいん
)
の
山伏
(
やまぶし
)
を
頼
(
たの
)
んで
來
(
く
)
ると
くさびら
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
困
(
こう
)
じ果てた結果、あなたのことを思い出して、
今日
(
こんにち
)
参上したわけで、どうか一つ折り入っての御願いですが、彫刻を教えて下さい。
幕末維新懐古談:69 馬専門の彫刻家のこと
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
ただ
立
(
た
)
チ
端
(
ば
)
が無いまで
困
(
こう
)
じきって、御余裕のある御挨拶を得たさの余りに申しました。今一応あらためて真実心を以て御願い致しまする。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
何の
彼
(
か
)
のと、
埓
(
らち
)
もないこと云われ、藤はお山へ返せなどとも云い、館を飛び出しては騒ぎ廻り、ほとほと
困
(
こう
)
じはてておりまする。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そればかりか、さしずめこれからの身のふり方に
困
(
こう
)
じ果てた。「すまじきものは嫉妬だなあ」彼はつくづく嘆じたことである。
接吻
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
びゅうびゅうと風は吹き
募
(
つの
)
っていた。赤坊の泣くのに
困
(
こう
)
じ果てて妻はぽつりと淋しそうに
玉蜀黍殻
(
とうきびがら
)
の雪囲いの影に立っていた。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「今日まで、お
怺
(
こら
)
え遊ばしたものを、何でまた、俄かにさまで仰せあるか。玄蕃も、この儀には、ほとほと
困
(
こう
)
じ果てました」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は手首を
露
(
あら
)
はにして、私の方に差し出した。血の
氣
(
け
)
は頬からも唇からも失せて、だん/\蒼ざめてゐた。私はどうしていゝか
困
(
こう
)
じ果てゝしまつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
晴高は人々のザワメキが静かになるまで浮かない面持で身の持て扱いに
困
(
こう
)
じ果てているようであったが、満堂のザワメキがおさまると、改めて威儀を張り
明治開化 安吾捕物:15 その十四 ロッテナム美人術
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
その男もほとほと
困
(
こう
)
じ果てていると、ある夜夢に一人の老翁現われて告げていうことには、かの木の伐り屑を毎夕がた焼き捨てれば成就するだろうという。
東奥異聞
(新字新仮名)
/
佐々木喜善
(著)
理想に
適
(
かな
)
わずとて、謝絶しければ、父母も
困
(
こう
)
じ果てて、ある日
妾
(
しょう
)
に向かい、家の生計意の如くならずして、倒産の
憂
(
う
)
き目さえやがて落ちかからん有様なるに
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
ときには、ひどい
発作
(
ほっさ
)
を起して、
流石
(
さすが
)
の百合子も介抱に
困
(
こう
)
じ果ててしまうことさえ
稀
(
まれ
)
ではありませんでした。
赤耀館事件の真相
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
裔一と漢文の作り
競
(
くら
)
をする。それが
困
(
こう
)
じて、是非本当の漢文の先生に就いて
遣
(
や
)
って見たいということになる。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
十盃や二十盃はおろか、何百盃なりと決して辭退はいたしませねど、いやはや左樣のことを仰せられましては、何ともお答に
困
(
こう
)
じまする。人生七十古來稀なりとやら。
山家ものがたり
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
お通夜の人々は自分の仕振りに
困
(
こう
)
じ果ててか、慰めの言葉もいわず、いささか離れた話を話し合うてる。夜は二時となり、三時となり、静かな空気はすべてを支配した。
奈々子
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
それが、おりんの死体の処理という現実の問題に直面して、彼はいっそう
困
(
こう
)
じ果てたのであった。
釘抜藤吉捕物覚書:06 巷説蒲鉾供養
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その恋のハケ口に
困
(
こう
)
じ果てて、病床の中で羽子をついたり、病室の窓から凧を飛ばして僅かに慰め合う、あわれ深い姿を思いやって、ひどくしんみりしてしまったのです。
銭形平次捕物控:244 凧の糸目
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
連
(
つれ
)
王子へ花見に
行
(
ゆく
)
積
(
つも
)
りで
辨當
(
べんたう
)
なぞも
容易
(
ようい
)
致し參りましたれど
早
(
はや
)
草臥
(
くたびれ
)
殊には
腹
(
はら
)
も
空
(
すき
)
しより
茲等
(
こゝら
)
で開いて一
杯
(
ぱい
)
と思へど通に掛茶屋も有ねば
實
(
じつ
)
は
困
(
こう
)
じてをりしが
只今
(
たゞいま
)
水を
頂
(
いたゞ
)
いたを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
半ば
耄
(
ぼ
)
け果てた、落ちぶれ者の父親とたった二人、親類からも友達からも、すっかり見捨てられ尽くして、明日のたつきにも、
困
(
こう
)
じ果てていた時、その頃これも名を成さず
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
困
(
こう
)
じ果てて石に腰打ちかくれば別に苦痛も感ぜざるが、立てば身の重さ少しも減ぜず。
おばけの正体
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
剰
(
あまつさ
)
へ久く病院の乾燥せる生活に
困
(
こう
)
じて、この家を
懐
(
おも
)
ふこと切なりければ、追慕の情は
極
(
きはま
)
りて迷執し、
迫
(
せ
)
めては得るところもありやと、夜の
晩
(
おそ
)
きに貫一は
市
(
いち
)
ヶ
谷
(
や
)
なる
立退所
(
たちのきじよ
)
を出でて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
困
(
こう
)
じ果てているところへ魔がさしたというのでござりましょう、所化のころから出入りしておりましたるお
檀家
(
だんか
)
の裕福なお家さまが、命とかけたわたしの思い人を金にまかせて奪い取り
右門捕物帖:17 へび使い小町
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
茶袋は
執念
(
しゅうね
)
く談じつける。店の者はそれを
謝絶
(
ことわ
)
るに
困
(
こう
)
じているらしくあります。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
はたと
困
(
こう
)
じ果ててまたはじめの旅亭に
還
(
かえ
)
り戸を叩きながら知らぬ旅路に行きくれたる一人旅の悲しさこれより
熱海
(
あたみ
)
までなお三里ありといえばこよいは得行かじあわれ軒の下なりとも一夜の情を
旅の旅の旅
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
ことごとくぎこちなく視線のやりば首の位置すべてに
困
(
こう
)
じ果てきりきり舞いをはじめるような、そんな工合いの気持ちのことだと思うのですが、もしそれだったら、自意識過剰というものは
ダス・ゲマイネ
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
そうなるとまた佐助の言葉がアヤフヤに思えどちらの云うことが本当やらさっぱり訳が分らなくなり
困
(
こう
)
じ果てたが佐助以外に相手があろうとも考えられず今となってはきまりが悪いのでわざと反対なことを
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
困
(
こう
)
ずる
席
(
せき
)
は
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
引返
(
ひっかえ
)
した処で寝る家もない場合。梓一人が迷惑して
困
(
こう
)
じ切っている処を、
灯
(
あかり
)
がないと、交番で
咎
(
とが
)
められたが、
提灯
(
ちょうちん
)
の用意はなし、お前さん。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さしずめ加賀町さんへこの事を知らせなければならぬが、それには留守番がないしと処置に
困
(
こう
)
じていた所へ、丁度僕が来合せたというのであった。
悪霊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
しかしその後はどう云ってよいか継ぎ穂に
困
(
こう
)
じて黙ってしまった。すると老女は
仮面
(
めん
)
のような顔をわずか
綻
(
ほころ
)
ばして笑ったが
穏
(
おだや
)
かな調子でこう云った。
開運の鼓
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
申す者が、お身のような男だから、聞く方も、冗談とは思うだろうが、かりそめにも嫁入り前のむすめ、迷惑至極じゃ。——
困
(
こう
)
じ果てておる
縺
(
もつ
)
れ話を
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そんな事をさせては飛んだ事になるだろう。そんな事をさせては飛んだ事になる。葉子はますます
弱身
(
よわみ
)
になった自分を救い出す
術
(
すべ
)
に
困
(
こう
)
じ果てていた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
いかに仏心仙骨の保胤でも、我ながら、我がおぞましいことをして退けたのには今さら
困
(
こう
)
じたことであろう。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
朝鮮遠征に心から賛成の大名などは一人もをらず、各人所領内に匪賊の横行、経済難、
困
(
こう
)
じ果てゝゐる。
二流の人
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
引
(
ひき
)
ずりながら
後
(
あと
)
に從ひ音羽町の七丁目迄來りしが長三郎は此時は頻に
腹痛
(
ふくつう
)
なし初め
堪
(
こら
)
へ難なく成しかば
厠
(
かはや
)
に
入
(
いら
)
んと思へども
場末
(
ばすゑ
)
の土地とて
借
(
かり
)
んと思ふ茶屋さへ
非
(
あら
)
ぬに
困
(
こう
)
じたり
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
困
(
こう
)
じ果ててうかうか日を送ると、昨夜又々
摩訶毘盧遮那仏
(
まかころしゃなぶつ
)
夢枕に現じてのお
告
(
つげ
)
に、大伝馬町の佐久間勘解由の
許
(
もと
)
をなぜ訪ねて参らぬのじゃ、怠慢至極——と
以
(
もっ
)
ての外の御叱りじゃ
奇談クラブ〔戦後版〕:15 お竹大日如来
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
後刻
(
のち
)
ともいわさず、今が今という速急な話……こうして
困
(
こう
)
じ果てて考えている時間さえも今の人の話の容子では
危
(
あぶ
)
ないほどのこと……ハテ、どうしたものかと考えた所で師匠は留守
幕末維新懐古談:33 蠑螺堂百観音の成り行き
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
懼
(
おそ
)
れたるにもあらず、
困
(
こう
)
じたるにもあらねど、又全くさにあらざるにもあらざらん
気色
(
けしき
)
にて貫一の
容
(
かたち
)
さへ
可慎
(
つつま
)
しげに黙して控へたるは、かかる所にこの人と共にとは
思懸
(
おもひか
)
けざる
為体
(
ていたらく
)
を
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
がんりきからこう言ってせがまれると、お角も
困
(
こう
)
じ果ててしまいます。
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「相手の正体がはっきりわかってこそ、吾人の強味が発揮される。古びた壺一個、この八百八町に消えてしまったものを、いかにして探しだせばよいか、拙者らはその方策に
困
(
こう
)
じはてておる始末」
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
と、法印、
困
(
こう
)
じ果ててつぶやいて
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
のらくらものの
隙稼
(
ひまかせ
)
ぎに鑑札だけは受けているのが、いよいよ獲ものに
困
(
こう
)
ずると、極めて内証に、森の白鷺を盗み
撃
(
うち
)
する。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
困
(
こう
)
じ果てた波越警部は、今日も又、彼の唯一の智恵袋明智小五郎を訪ねて、残念ながらその教えを乞う外はなかった。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
が、
迦羅奢
(
がらしや
)
夫人が、もっと
困
(
こう
)
じ果てていることは、
忠興
(
ただおき
)
の余りに度の過ぎた強い愛情のあふれであった。
日本名婦伝:細川ガラシヤ夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
父は捨てどころに
困
(
こう
)
じて口の中に
啣
(
ふく
)
んでいた梅干の種を勢いよくグーズベリーの繁みに放りなげた。
親子
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
前田医師は夫人の様子にむしろいくらか狼狽して、素朴な怒りをあらはしかけたが、持つて行き場に
困
(
こう
)
じ果てて、やがてこの好人物は自然にうつむいてしまつてゐた。
吹雪物語:――夢と知性――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
おろかしい獣は
愈々
(
いよいよ
)
かなわぬ時は刃物をも
咬
(
か
)
みまする、あわれに愚かしいことでござります。人が
困
(
こう
)
じきりますれば
碌
(
ろく
)
でないことをも致しまする、あわれなことでござりまする。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
洗
(
あら
)
ふ水のなきをば
困
(
こう
)
じゐる
容子
(
ようす
)
を計らず
庭越
(
にはごし
)
に見やりて
此方
(
こなた
)
に打向ひ
茲等邊
(
こゝらあたり
)
に見も
懸
(
かけ
)
ぬ
立派
(
りつぱ
)
な
姿
(
なり
)
は
定
(
さだ
)
めし通行の方である可きに水がなければお
困
(
こま
)
りならん此方へ這入て
遠慮
(
ゑんりよ
)
なく手を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
平次は
困
(
こう
)
じ果てた樣子です、小娘のお松が刺されてから、もう七日以上も經つて居り、昨夜はお雪まで殺されかけて居るのに、どうも大男の伊太郎を縛る氣になれない錢形の平次でした。
銭形平次捕物控:285 隠れん坊
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
汝
(
なんぢ
)
の命を与へよと
逼
(
せま
)
らるる事あらば、その時の人の思は
如何
(
いか
)
なるべき!
可恐
(
おそろし
)
きまでに色を失へる貫一は
空
(
むなし
)
く隆三の
面
(
おもて
)
を
打目戍
(
うちまも
)
るのみ。彼は
太
(
いた
)
く
困
(
こう
)
じたる
体
(
てい
)
にて、長き髯をば揉みに揉みたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
困
常用漢字
小6
部首:⼞
7画
“困”を含む語句
困難
困苦
困憊
困却
困厄
困窮
困迫
困惑
疲労困憊
貧困
困悶
疲弊困憊
困頓
困阨
困蹶
艱難困苦
窮困
敗殘困憊
貧困人
困馬
...